【エッセイ】俺が人生で唯一「付き合った」女の話
ミカジー
深夜まで起きてると昔のことばかり思い出す。
20代の頃、テレクラとか伝言ダイヤルで即アポ即ゲットを繰り返してた俺はたまには"まとも"な女の子とヤリたいなと思いカップリングパーティ(いまでいう街コン)に参加した。
男は非モテばかり、女は保育士とか看護士、公務員みたいなのが多かった。
俺自身、リアコミュ繋がりでセックスしたことない広義の非モテだったけど参加してる男のレベルが低かったせいかその日のパーティの1番人気だった。
そして、女側の1番人気の子とカップル成立した。
その子は薬剤師で石田ゆりこみたいな色白で透明感のある女の子だった。(以下、ゆりこ)
その日は2人で近くのカフェに流れて少し会話してバイバイする。
本当は🏩誘いたかったけど自重した。
2回目アポ。
いつものナンパの導線で使ってた新宿の小洒落たカフェバー→イルミ見てから→暗闇でキス→🏩…と行こうとしたらゆりこはグダった。
俺の最強の"導線"で初めてホテルインを拒否された。
「えっ何?このオンナ、めんどくさ!」
と思ったけど"まとも"な女ってそんなもんかなと思い直してその後も2度ほどはキス止まりのデートをした。
ナンパ的出会いからのセックスしかしたことなかった自分はそこからどうしていいかわからなかった。
*いま思えば「告白」して付き合うことにすればよかったんだと思う。
ゆりことは出会って1か月目に旅行を企画してようやくセックスした。
事件はそのあとに起きた。
泊まったホテルの部屋はツインベッド。
俺はセックスした後、そそくさともう一つのベッドに移動して酒を飲みながら読みかけの本を開いた。
ゆりこは突然、泣きだした。
👩🏻「なんで一緒に横で寝てくれないの!信じられない!!」
・・・・・・
👼(えっ!女ってそういう生き物なんだ)
と俺は写生した後のクリアな脳で思った。
・・・・・・
ゆりことはそれから1年ほど付き合った。
しかし、ある日いつものように新宿で飯食った後、ゆりこは見たこともないような深妙な顔つきになって、
👩🏻「実はいま他に私のことを大事に思ってくれる人と付き合おうと思ってるんだ。ミカエルがいつも私にしてくれる好きな映画とか本とかの難しい話をお婆ちゃんになるまでずっと聞けるのもいいなって思ってたよ。ミカエルの話は難しすぎて何言ってるかわからないけどそれを独り占めできる私は幸せ者だと思ってた。そういう人生もいいかなって思ってた。ミカエルと同じ鼻をした子どもを産みたいと思った。けどね、自分の分からない遠くに行っちゃうんじゃないかとおもって不安だった。私には荷が重すぎる。ごめんね」
恋愛経験が皆無な自分にはよくわからなかったけど、とりあえず二度とゆりことは会えないんだろうなと思ったからラブホに行って夜と朝に2回ほどセックスした。
新宿駅のホームでハグしてバイバイした。
・・・・・・
その2週間後、俺は結婚する意志を固めた。
ゆりことカップリングパーティーで出会った半年前にナンパで知り合ってその後もだらだらと月に何回かセックスするだけの関係の女(仮名:さき)がいた。
ゆりこと別れて1週間くらい経った頃、さきとセックスしてから、、
さき「ミカエルさん、なんかあったん?」
👼「なんもないよ」
さき「なんか、怖い顔してるから」
👼(……)
さき「なにがあってもいいけど私を捨てるときは早めに言ってね。それでも私はいいから」
この女は俺と付き合っていると勝手に思ってたみたいだ。
👼「は? ていうかそろそろ結婚しようぜ」
さき「えっ?」
👼「めんどくさいの嫌だからX月に結婚式あげよう。で、逆算すると来月にはお互いの親会わせてさ、、あとは会社から祝儀でこんくらいもらえるから……」
さき「そんなんで結婚していいの?」
・・・・・・
さきと結婚してもうすぐ20年。
いまこれを書いてる部屋の向こうでさきの寝息が聞こえる。
(終わり)