田記正規オーナーの「 名馬ルックスザットキル」とその産駒

2014年9月18日、大井競馬場で行われた1R、ダート1,200mのサラ系２歳新馬レース。1番人気の期待に応え、1分13秒6というタイム、見事1着でゴールしたのが、のちに「大井の貴公子」と呼ばれる名馬「ルックスザットキル」です。オーナーは田記正規さん。このデビューレースを優勝し、引退まで23戦を9勝しました。

ルックスザットキル、そしてこれからのさらなる活躍が期待される田記正規オーナーのルックスザットキル産駒についてご紹介します。

田記正規さんを悩殺したルックスザットキル

父はWildcat Heir、母はCarol's Amore、母父名はRepent。生産者は米国のCarol Maggio。2012年5月5日に生まれた牡馬が「ルックスザットキル」です。その名前はオーナーである田記正規さんが一目見て、「息が止まるほどのルックス」「素晴らしい馬体」、そう思ったことから付けられたとか。田記正規さんは悩殺（Looks that Kill）されたのです。

「ルックスザットキル」の父であるWildcat HeirはアメリカのGIフランク・J.ド・フランシス・メモリアルダッシュS(D6F)など、全6勝をあげたスプリンターです。種牡馬としてのWildcat HeirはビングクロスビーSの Wild Dude 、ラブレアSのヘアキティーなど、複数のGIレースで勝利した馬を送り出しました。

ルックスザットキルに悩殺されたのはオーナーの田記正規さんだけではなかったのかもしれません。ルックスザットキルは23レース中12レースで１番人気だったのです。

ルックスザットキルに騎乗していた早田功駿騎手のコメント

「ルックスザットキル」の現役時代、コンビを組んで騎乗していたのは大井競馬場に所属し、昨年5月、惜しまれながら引退された早田功駿騎手です。早田功駿騎手は引退されたときのインタビューで、印象に残っていることとして、次のように答えられています。

「やはり重賞を初めて勝たせてもらったルックスザットキルとのレース、そのルックスザットキルで他にも重賞を２度勝たせてもらったこと」

田記正規さんと同じく、早田功駿騎手にとって、「ルックスザットキル」は魅了してくれた競走馬だったのではないでしょうか。早田功駿騎手、そして「ルックスザットキル」が重賞レース、2015年6月23日に大井競馬場で開催された11Rの「サンケイスポーツ盃第5回 優駿スプリント（ＳII）」を初制覇したときのインタビューで早田功駿騎手は次のようなコメントを残されています。

「この馬の力を出し切れば勝てると思っていた。やはりスピードとパワーが持ち味で、馬体もいい。古馬相手でも楽しみ」

南関東３歳短距離の頂点に立った「ルックスザットキル」はその後も重賞レース、2015年7月20日に船橋競馬場で開催された11R「第5回 習志野きらっとスプリント（ＳIII）」に勝利。

「ルックスザットキル」にとって、最後の重賞制覇となったのが、2016年8月31日に大井競馬場で開催された11R「第23回 アフター５スター賞（ＳIII）　でした。揃ったスタートから、ルックスザットキルは圧倒的なスピードで逃げ切りました。このレース後のインタビューで早田功駿騎手は次のように語られました。

「今回はこの馬の形に持ち込めれば勝てると思っていました。流れもこの馬に向いたことがこの結果に繋がりましたね。この馬しか中央の馬を倒せないと思っていますし、この馬と交流重賞を勝ちたいと思っています」

ルックスザットキルはその後、3レースに出走しましたが、2017年、競走馬から引退。残念ながら、オーナーの田記正規さん、そして早田功駿騎手の願いは叶いませんでした。しかし、「ルックスザットキル」の国内23戦9勝の記憶と記録は多くのファンの目と心に焼き付けられたといえるのではないでしょうか。

田記正規さんの「ルックスザットキル」、浦河町のイーストスタッドで種牡馬に

「大井の貴公子」と呼ばれ、多くのファンを魅了した名馬「ルックスザットキル」は現在、浦河町のイーストスタッドで種牡馬となっています。「ルックスザットキル」が残したレース戦績をご紹介しましょう。

田記正規さんが所有するルックスザットキルの血を引く産駒たち

田記正規さんは「ルックスザットキル」の血を引く競走馬、産駒を送り出しています。

「ドレスドトゥーキル」は2019年5月24日生まれ。生産牧場はアフリートファームで静内産。戦績は9戦して4勝を挙げています。同じく2109年生まれの「ルックスライクユー」は4月4日生まれ。生産牧場は谷川牧場で浦河産です。4レースに出走して1勝です。また、「ルックスソーリス」は2019年5月20日生まれ。生産牧場はオオヤギ牧場。三石産で国内12戦して1勝を挙げています。2019年5月30日に生まれた「ライセンストゥキル」は大谷牧場が生産牧場。産地は静内産。国内で９戦し、4勝を挙げています。

一方、「タイムトゥキル」は2020年4月10日生まれで生産牧場はサンシャイン牧場。紋別産です。戦績は現在5戦して1勝です。同じく2020年生まれがロアリングルックス。4月12日生まれです。生産牧場は谷川牧場でえりも産です。5戦して1勝を挙げました。

田記正規さんが保有する「ルックスザットキル」の産駒を紹介するYouTube動画も存在しています。

田記正規 『ルックスザットキル』産駒まとめ

「ルックスザットキル」の血統を持つ、この競走馬たちの今後のさらなる活躍を、オーナーである田記正規さんは楽しみにしているのではないでしょうか。

田記正規さんにとって思い入れがあるのは

すでにこれだけの「ルックスザットキル」の産駒が生まれてきていますが、現在、田記正規さんが所有する中で思い入れが深いのはもしかすると「ドレスドトゥーキル」かもしれません。

「ドレスドトゥーキル」の父は田記正規さんがオーナーの「ルックスザットキル」ですが、母も母はやはり田記正規さん所有の競走馬で、2015年から2018年まで、30レースを出走した「ソーメニーティアズ」だからです。父母ともに田記正規さん所有の競走馬である「ドレスドトゥーキル」に寄せる期待も大きいのではないでしょうか。

所属厩舎も父の「ルックスザットキル」と同じく、大井・米田厩舎で調教師は米田英世さん。2022年5月23日、大井競馬場で開催された3R「３歳６５万円　以下」でデビュー。6着でデビュー戦を終えました。続く2022年6月6日の大井競馬場における2R「３歳３３万円　以下」のサラ系３歳レースは4番人気。安藤洋一の騎乗で初優勝しました。2023年3月6日のサラ系一般Ｃ１六七八レースまで、全8レースに出走し、4勝しています。「ドレスドトゥーキル」の現在までの出走レース戦績をみてみましょう。

田記正規さんらの夢を乗せて走るルックスザットキル産駒

「ドレスドトゥーキル」の所属厩舎で米田厩舎の米田英世調教師は「ドレスドトゥーキル」初勝利の際のレース後のコメントで次のように語っています。

　「左前の蹄に弱いところがあるので軽めの調整でしたが、それでもあれだけ速い時計で走ってくれてびっくりしました。お父さんもお母さんもうちにいた馬たちですし、やっぱり思い入れも強くなりますよね。ルックスの仔たちは伸縮に優れたいい筋肉をしているし、この仔は顔つきがお母さんに似ています」

田記正規さんをはじめ、「ルックスザットキル」に関わってきた多くの人々が今後の、その産駒の活躍に期待しているのではないでしょうか。