正しい神社のお参り方法
白犬亭(しろいぬてい)@尾も白い
初詣や、お祭りなど神社にお参りに訪れる機会もあると思います。その際の順序や注意点をまとめました。広く、みなさんのお役に立てば幸いです。
★神社でのお参りの作法★
せっかく神社にお参りするのであれば、きちんとしたお参り方法を守り、神様へ祈願をし、運気を上げましょう。
お参りに最適な時間は早朝から午前中です。遅くとも17時にはお参りを終えて神社を出るようにしましょう。
17時を過ぎてしまう場合は、日を改めてお参りください。(大晦日から元日のお参りは、終夜続く特別なお参りで、安心してお参りしてください)
以下に気を付けてお参りしましょう。
〇神社に入る前から、マナーがあります
あなたがお参りしようとしている神社の御祭神を理解していますか?
どなたにお願いしているのかもわからないのは、基本の「き」が抜けています。またどのような神様なのかを知っておくのも大切です。
神社の前などに御祭神が書いてあったりしますが、わからない場合は必ず参拝前までにはインターネットなどで調べておきましょう。
おしゃれのための帽子(冬は手袋も)、フード、サングラスなどは鳥居をくぐる前に取り、お参りして、最後に鳥居を出るまでそのまま過ごし、完全に鳥居を出たら身につけましょう。
ただし医師の指示、医療用のものは外さなくて大丈夫です。車いすの方は、座ったままの参拝でかまいません。最近はバリアフリーに尽力している神社もあります。
マスクは人混みが見られない場合は、はずすことをおすすめします。ご自身の体調(花粉症含む)、神社が混雑している場合はご自身の判断で大丈夫です。
①鳥居をくぐる
まず、心を整えて、きちんと一礼して鳥居をくぐります。鳥居は神域と俗世を分ける門なので、敬意を表しましょう。
ここからは、同行者がいる場合は無駄なおしゃべり、大声、大笑いに気を付けましょう。参詣者は心静かにお参りに来ています。
神社本殿に続くまっすぐな参道の真ん中は避け、端を歩くのが礼儀です。中心は神様の通り道とされています。しかし、初詣や特別な日は混雑防止のために参道に交通規制がひかれることがあります。
この時は、神社側の指示に従ってください。帰りも、参道の端を歩くようにします。また、参道は横切ってはいけません。
②手水舎(てみずや)
・ひしゃくの取れる位置に立ちます(混んでいる際は順番を待ちましょう)。
・ひしゃくを右手で持ち、水を汲みます。この時に汲んだ水で、以下の事を行います(ひしゃくの水を三分の一づつ使うイメージです)。
・左手、ひしゃくを持ち換えて右手の順で清めます。
・右手にひしゃくを持ち、左手に水を受け、口をすすぎます。手水舎(てみずや)の水は飲む為のものではありません。口に含んだ水は、静かに口から出します。
(この時にひしゃくに口をつけてはいけません。また、コロナ流行以降、「ゆすぐ真似」だけで、手だけすすいで、口を本当にすすぐのを避ける人もいます。手水舎で、立ったまま口をゆすぐのは水が飛び散るからとされています)
・最後にひしゃくの持ち手を洗い(流水をかけて流します)、元の位置に戻します。
・清めた手はハンカチなどで拭かず、そのまま乾かします。
③拝殿での参拝
・賽銭を入れる
お賽銭をお財布から出します(混雑時は、盗難にご注意ください。必ず、お財布はバッグなどにきちんとしまいましょう。お参りに行くことがが決まっているのならば、お賽銭用の金額を小銭入れを事前に用意しておくのも良いでしょう)。
賽銭箱にそっとお賽銭を入れます。お賽銭を投げてはいけません。差し出すように、そっと賽銭箱へ音が最小限になるようにして入れましょう。
そして鈴があれば、ひもを振って静かに鳴らします。
*初詣や特別な日で、お賽銭が「広いスペース」のように拡張されてる事があります。このような時は投げる形になりますが、「失礼します」と常に敬う気持ちを忘れないようにしましょう。
また、前の人に当たらないように気を付けてください。どうしても投げることができなければ、自分がお賽銭スペースに近づけるように待ちましょう。
・二礼二拍手一礼
1:足をそろえて、姿勢を正してから、手は体の横にして深く二回礼をします。腰の角度が90度になるくらいの最敬礼です。腰痛や曲げることができない方は、自分ができる範囲で大丈夫です。
2:両手を肩幅に開き、二回拍手をします。この時の手の高さは胸のあたりで、右手を少し引くように手を打ちます。
3:両手をそろえて、お祈りします。
*お賽銭の金額、お祈りの詳しい事は後述します。
4:最後に手を体の横に戻して、もう一度深く礼をします。
*二礼二拍手一礼は一般的な参拝の仕方です。神社や祭神様によって異なる場合があります。初めてお参りする神社では、賽銭箱の横などに作法が書いてありますので、よく読んでそれに従いましょう。
*あまりに混雑していて、礼や拍を打てないこともあるかもしれません。その際は、心の中でお詫びしましょう。状況は神様もおわかりです。
**お神酒所(おみきしょ)**
お神酒所が出ている場合で、ご自身がお酒が飲める年齢、体調ならばいただくことは失礼になりません。お参り後に、盃を受け取ってお神酒を頂きましょう。なお、おかわりは一般に失礼になります。飲み終わった盃を指示通りにお返しして、次の方のために、速やかに立ち去りましょう。「いただきます」「ありがとうございました」の言葉を忘れずに。
お守り、縁起物をいただきたい方、絵馬を奉納される方は、参拝後、またはお神酒所後のタイミングで行きましょう。
(混雑時、ルート指定がある場合は、それに従ってください)
④神社を出るとき
鳥居をくぐる前に振り返り、軽く一礼します。お参りをさせていただいた感謝を示すためです。
鳥居を出たら、帽子などをかぶって大丈夫です。
【神社でのNG行動】
せっかくのお参りが、開運どころか悪い方へ向かってしまう行動です。このような行動をするくらいなら、お参りに行かない方がいいでしょう。
・無礼な態度を取る:
ふざけた態度、、酔っての参拝、乱暴な言動、列の横入りなどはやめましょう。混雑時は、譲り合って参拝しましょう。
・写真撮影:
神社の撮影禁止エリア(本殿など)では写真を撮らないようにしましょう。七五三のご祈祷などで、神社から許可を頂いた場合は注意を守って撮影させていただきましょう(ご本尊様を写さないようになどの、注意がある場合)。
・石や草木を持ち帰る:
神社にあるものすべてに神様の意思があります。神様がそこに置いたと言ってもいいでしょう。荘厳なご本殿、きれいな花や、紅葉を堪能するのはかまいませんが、落ち葉であっても持ち帰ることはやめましょう。神様のご加護を形としていただきたい場合は、お札所で初穂料を納めて、お守りを分けていただきましょう。
・立ち入り禁止の所へは入らない:
必ず何かの所以(ゆえん)があって神社側が立ち入り禁止にしているのです。絶対に入らないようにしましょう。また、参拝ルート以外は未整備で、道が悪く、ケガにつながることもあります。
ケガをして、出血することは不浄につながるので、境内内でケガをしないようにしましょう。少量の出血なら、すぐにハンカチなどで傷を覆いましょう。万一、救急処置が必要なケガをした場合は社務所に行きましょう(時期によって社務所が無人の事もあります)。
・賽銭を投げる:
お賽銭は静かに入れるのが礼儀です。あなたはお店でも店員さんにお金を投げて支払いますか?ましてお賽銭はお支払いではなく、お納めさせていただくものです。神社内だけでなく、謙虚さは常に心がけましょう。
・飲食や喫煙:
境内での飲食や喫煙は基本的に慎むべきです。
水分の補給は本殿のお参りを済ませてからにしましょう。本堂、参道から少し外れたところで、こぼさないように飲むようにしましょう。
ベンチがある場合は、そこで水分補給しましょう。最近は境内に自動販売機がある神社もあります。そういう場所では、休憩して大丈夫です。
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【お賽銭の金額】
これは、本当に個人的な問題で、あなたの心次第です。五円なんて、失礼だ!という声や、一円玉は神社が数えるのが大変だという意見もあります。なるほどと思う方は、納める金額をご自身で自由に設定なさってください。
何よりも大切なのは、感謝の心、神様への敬意です。
よく語呂合わせに使われるお賽銭額は下記の通りです。
5円(ご縁):
「ご縁がありますように」との語呂合わせで、今も人気があります。
小額でも縁起が良いとされ、広く親しまれています。
15円(十分ご縁):
「十分ご縁がありますように、という語呂合わせです。
25円(じゅうにぶんにご縁):
「”じゅう””じゅう””に”ご縁がありますように」という意味で縁起を担ぎます。
500円や1000円:
特別なお願いや感謝を示したい場合に選ばれることが多いです。
・厄年に当たったり、人生の節目や企業など、数千円~数万円を納める事が可能な方はご祈祷をお願いすることも良いでしょう。
通常、ご祈祷は事前に予約が必要です。
七五三、新年などは込み合いますので、早めにお願いしたい神社に問い合わせておきましょう。
〇お賽銭で気をつけたいポイント
・避けたほうが良い金額
4円(「死」を連想)、9円(「苦」を連想)など、縁起が悪いとされる金額は避ける人が多いようですが、45円を「しじゅうご縁」と語呂合わせする方もいます。
・無理のない範囲で
金額は最重要ではなく、感謝の心や敬意が大切です。生活費を削るほど高額である必要は全くありません。
願い事の金額より感謝の気持ちを込めることが大切です。
むしろ、願い事が叶ったり、お金に余裕ができたなら、ご報告とお礼に出向き、その時にあらためてお礼のお賽銭をお納めするのが良いでしょう。
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【お祈りの内容】
神様へのお祈りは以下の事が主になります。
お祈りする場合は、両手を合わせたところで、まず自分の名前と住所をお伝えしましょう。自分が誰かをお伝えしたら、お願い事を手を合わせたまま続けてお伝えします。この時は、すべて心の中でとなえましょう。
一度に複数のお願いをするより、1~2つの願いに絞り、誠実な気持ちで伝えると良いでしょう。
〇感謝:
「日々の生活を守ってくださってありがとうございます。」
「家族が健康で過ごせることに感謝します。」
神様にまず感謝の気持ちを伝えるのが丁寧です。
〇健康・安全:
「家族の健康をお守りください。」
「無事に日々を過ごせますように。」
現状が満足な方は、ひき続き、穏やかな毎日を過ごせるように念じるのが良いでしょう。
〇縁結び・良縁:
「素晴らしいご縁に恵まれますように。」
恋愛や人間関係についてお願いするのは、特に人気があります。
〇学業成就・仕事の成功:
「試験に合格できますように。」
「仕事が順調に進みますように。」
学業は、学生だけではなく資格試験なども含まれます。
〇厄除け・開運:
「悪い運を払って、良い道へ導いてください。」
厄年や困難な状況の時によく祈られます。
〇交通安全:
自転車、車やバイクを利用する人が、事故のないよう祈り、また幼いお子さんがいらっしゃる場合は通園、通学の無事を祈っても良いでしょう。
〇特別なお願い:
家族の病気回復や、旅行や出産などの特別なイベントに関する願い。
【祈願で注意したい点】
〇無理や欲望の強い願い:
「宝くじを当ててください」「大儲けさせて欲しい」「賭け事を当てて」「自分だけ昇進したい」「120歳まで長生きできますように」など、過度に自己中心的なお願いは控えましょう。
*金運に特化した神社のみ、感謝と共にお金に関してお願いしてみるのは可能ですが、叶うかどうかは神様にお任せする姿勢が大切です。
〇不幸を願う:
「〇〇さんが、クビになりますように」「〇〇さんが、▲▲さんと別れますように」など他者の不幸を祈るのは、神様が大変嫌う「陰」の気です。そっくりご自身に帰ってくると思ってください。
もし人から理不尽なことをされても、相手の不幸を神様に祈るのは間違っています。不幸を願う陰の気は、開運の上でも大きな妨げになります。
人の不幸を祈る気持ちを、どうすれば自分は幸せになれるのかに置き換え、理想の自分像に向かって進みましょう。キャリアアップ転職や自分磨きの姿勢は、神様も応援してくださいます。
〇神様に頼りすぎない:
「願いっぱなし」ではなく、願いを叶えるためには、自分自身の努力も大切です。「努力する勇気を与えてください」といった願いも素敵です。感謝と共に願い事を心を込めて伝えることで、より良い参拝になります。
特に初詣はその年をどのような年にしたいか、決意表明をお伝えするのも良い年の始め方でしょう。
願いがかなったと感じたら、必ずお礼参りに行きましょう。お願いにしか神社へ行かないのは、神様に失礼です。ご報告も忘れずにしましょう。
お礼参りの参拝も、上に述べた通りの手順で、お祈りする際に心から感謝をお伝えしましょう。
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神社へ参拝する時の、一般的な流れや注意をお伝えしました。
しかし、神社によってはお参りの方法が異なる場合がありますので、その際は必ずその神社のお参りの作法に従ってください。
参拝の作法には、必ず意味があるのでくれぐれも尊重してください。
堅苦しいように感じてしまった方は、自分が目上の尊い方のお宅にご挨拶に行くことを想像してください。
大騒ぎしたり、手土産を投げつけたり、酔っぱらったり、暴れて物を壊したり、自分で持ち込んだ食べ物をむしゃむしゃ食べたりしますか?神社は神様がいらっしゃるところです。おのずと自分の振る舞い方がわかると思います。
願い事をするのであれば、お参りは終始、感謝の気持ち、誠実な気持ちで臨み、失礼のないように細心の注意を払うことが大切です。
しかし、人の多さで慌てたり、緊張で二礼二拍手一礼を間違えてしまったとしても、ほめられたことではないですが、それで天罰が下るという事はないでしょう。
また、同行した方がお参りに不慣れな場合、小さな子供さんには、さりげなくリードしてあげましょう。お子さんには、神社では騒いだり、走ってはいけないことを教えてあげてください。
お参りをした後に、心が晴れやかになる経験がある方も多いでしょう。
穢れ(ケガレ)が落ちて、清らかな「気」が満ちている証拠です。
神様と良いご縁が得られますように!
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【補足】
・絵馬には願い事と、自分の名前と住所を書くようにと聞いたことがある方も多いと思いますが、最近は個人情報の観点から、住所は都道府県から市町村名まで、名前は下の名前のみやひらがなで書かれたものも多く見受けられます。
これも時代ですので、ご自身の判断でいいと思います。個人情報が気になる方は、せめてご自身の下の名前だけでも書き添えましょう。
また、かけられた絵馬を眺めるくらいはかまいませんが、ひっくり返したり、下のものを引っ張り出して見るのはやめましょう。絵馬は参拝者と神様とのやり取りで、あなたには関係のない事です。
・厳冬期の寒い地方のお参りは、防寒の帽子、手袋をどの時点で脱ぐかは、一緒にお参りに行く方に聞くか、まわりの参詣者の方々に合わせても良いでしょう。せっかくのお参りで風邪を引いては、残念です。寒い中で並ぶ時間が長くなりそうなら、暖かい下着や上着、使い捨てカイロなどを活用しましょう。土地や地方で、お参りにも参拝者への配慮あるルールになっている場合もありますので、確認してみてください。
・昔は、女性の月経中は神社にお参りに行かない方がいいと言われていましたが、現代は問題ありません。旅先で神社などを訪れる際は、せっかくのご縁ですからお参りしましょう。ご自身が気になる場合は、日をあらためましょう。晴れ晴れとした気持ちでお参りするのも大切です。
・落語の中の話と思いますし、通常お賽銭箱に入らないので、「まれ」だとは思います。しかしお賽銭を投げるつもりで、お財布を投げてしまった方は、お賽銭箱の上なら静かに自分で取りましょう。賽銭箱の中へ入ってしまった場合は、すぐに社務所の方に事情を話して相談しましょう。人は慣れないことをする時に、意外な行動をしてしまう事もありますので注意しましょう。