考える → 決める → 作る
AIで思ったものにならない原因は、モデルでも、

プロンプトの言い回しでもなくて、たぶんこの順番です。
専門知識がないままAIに物を作らせてきた記録と
作り直す回数を減らすための、決め方の型です
おまけとして、その型をスキルにした3本を記事の最後で配布します
AIでゲームやアプリが作れる!
誰でも作れる!
そして作れる量だけは、いきなり増えました。
ここまでは、たぶん多くの人が体験しているところだと思います。
問題はその先でした。
作れる量が増えたぶん、思ったとおりにならないものも増えた。
しかも、できたものが本当にこれでいいのかを、自分で判断できない。
どこをどう直せばいいのかも分からない。
わたしは非エンジニアです。
コードは書けません。
正確には学生の時にC言語とかは少し齧りましたが、
もう記憶の彼方ですw
そんな状態のなかバイブコーディングでゲームを作ったりもしました。
それもチャットGPTのo3とかが出てたあたりからです。
画像もろくに作れなかったのでそれこそ大苦戦です。
今では画像もすぐに作れるので、
「これならゲームも作りやすいのでは!?」
っと思ってました。
ただ実際には、、、
当たり判定を全マップぶん目視で確認し続けたり、
HPが0なのに死なない敵を長期間放置したり。
できたと思ったらうまくいかない、
修正したと思ったら直ってない。
これはgeminiでも、GPTでも、claudeでも同じでした。
転ぶ場所がいつも同じなら、それはモデルの問題ではありません。
決め方を変えるしかない、と思ったのはそこからでした。
コードが書けるようになる必要はなくて、決め方の型だけ先に借りる。
この記事は、その決め方の記録です。
そして記事の最後に、その決め方をそのまま型にした3本のスキルを
おまけとして置いておきます。
- thinking-gate — 答える前に、材料を仕入れさせる
- spec-gate — 作る前に、要件を決めきらせる
- vibe-coding-hardening — 作っている間、「なんか動いてる」で完了させない
考える → 決める → 作る、の3つの場所にそれぞれ1本ずつです。
使い方は本文の中で全部説明するので、
スキルを入れなくても、読み物として完結するように書きました。
第1章 作れるようになった。けど、思ったものにはならなかった
作れる量だけが、いきなり増えた
正直、今はちょっとしたボーナスタイムだと思ってます。

思いついたものを投げたら、勝手にどんどん作ってくれる。
以前は一晩かけて形にしてたようなものが、
その日のうちに動くところまでいく。作る量だけで言えば、
去年とは比べものにならないくらい増えました。
で、増えたぶん、僕はどうなったか。
作りたいものが、思ったとおりにならないことが増えたんですよね。
これ、最初はモデルのせいだと思ってました。もうちょっと賢いやつを使えば、もうちょっと丁寧に指示すれば直るんじゃないか、と。
でも何回やっても同じところで転ぶ。転ぶ場所がいつも同じなら、
それはたぶんモデルの問題ではないです。
僕がAIに渡してる情報が、しょぼい。
これに気づくまでに、けっこう時間がかかりました。
というのも、渡す情報がしょぼくてもそれらしいものは出てくるんですよ。動くし、見た目もそれなりに整ってる。
だから「できた」と思ってしまう。問題が表に出てくるのは、
たいてい後からです。
RPGを作ろうとして、一生終わらなかった話
いちばん分かりやすい例が、僕が作ってたRPGです。
これ、けっこう前——ChatGPTの4とかが出てた頃から、ちまちま作ってたやつなんです。当時は画像生成もまだ思うようにできなかったので、
ブラウザ上に線を引いただけの画面に、キャラクターは全部アイコン、
みたいな状態からのスタートでした。
で、作りはじめてから何がいちばん大変だったかというと、
当たり判定です。
街の建物が1枚の画像になってるんですけど、AIはそれを「絵」としか思っていないわけです。
だから「ここが入り口です」「ここは壁なんで通れません」というのを、
座標で全部指定していかないといけない。
ここの座標は通れる、ここは通れない、
ここに立ったら別のマップに移動する
これを全マップぶん、ひとつずつ。
そして確認していくと、当然ズレてます。ここ当たっていないじゃないか、
なんでこんな変なところで止まるんだ、と。それを延々と直していく。
RPGを作ったことがある人なら分かると思うんですけど、
マジで一生終わらないんですよ、これ。
シナリオを書いたら書いたで、NPCとの会話データは別で持たないといけない。
街に入ったら、各ショップへの移動先データも全部いる。
あとから「あ、これも要るな」が無限に出てくる。
ひとつ足すたびに、確認する場所が増えていく。
「なんか動いてる」で終わってしまう怖さ
RPGなんでHPを設定してました。ダメージを受けたら減る、という当たり前の処理です。で、テストしてたら、
明らかに0になってるはずの仲間キャラがぴんぴんしてる。
死んでいないじゃないか、と。
原因は単純で、「HPが0になったら戦闘不能というフラグを立てる」という指示をしてなかっただけでした。指示していないことは、AIはやりません。
ここまでは分かる。
でも怖いのはここからで、やらなかったら止まってくれるわけではないんです。エラーも出さず、何事もなかったかのように、
変な動きのまま進んでいく。しかもゲームとしては「動いてる」ので、
パッと見ただけでは気づけない。
僕はこれを、そこそこ長いこと見逃してました。
プロの人は、要件定義に何ヶ月もかけると聞いたことがあります。
最初にそれを聞いたときは、正直「そんなにかけるものなのか」と思いました。でもAIを使ってると、その日のうちに動くものができてしまう。
できてしまうから、ためらいなく、次から次へと作ってしまう。
決めるべきことを決めないまま、作れる量だけが増えていく。
あのときの僕が転んでたのは、たぶんそこでした。
やらかした記録①
RPGの当たり判定を、全マップぶん目視で確認し続けた。「ここ通れないじゃないか」を潰しては、また別の場所がズレる。決めてから作れば一度で済んだ作業を、作ってから決めたせいで何周もした。あと、HPが0なのに死なない敵を、そこそこの期間放置していた。エラーが出ていなかったので、気づけなかった。
→ その後どうなったか
※コミットというのは、作業を区切って記録する単位、くらいの理解で大丈夫です
デウス・コードは2ヶ月・222コミット。そのうち要件を書いたコミットが4件で、直しが94件だった。当たり判定だけで5週間、同じ場所を4回作り直している。全10マップの再作成、地下フロアの全面再導出、店とマップの貼り直しが2回。
決めてから作るようにして最近作ったカードゲームは、2日・15コミット。要件を書いたコミットが7件、直しが2件。作る前に決めた回数のほうが多い。
規模が違うので「何倍速くなった」とは言わない。変わったのは、直す時間が決める時間に移ったこと、それだけである。
第2章 地図が違う人同士は、絶対に交わらない
同じ会社の中でも、見えてる景色が違う
先日、クライアントさんのところで打ち合わせに同席させてもらう機会がありました。社内システムを作ってるエンジニアさんと、実際にそれを使う現場の方と、僕、という顔ぶれです。

そこで出てきた話が、けっこう象徴的でした。
現場の人からすると、上から「これが入ったから使って」と
システムをぽんと渡されると、めちゃくちゃ困るんですよね。
今までのやり方が全部いっぺんに崩れる。
しかも、自分たちなりに少しずつ効率化してきた工夫まで巻き添えで消える。そこにまた新しいシステムが来るとそのために手を取られて、
今までやってきたことが無駄になったように感じてしまう。
で、そうなると当然「あれもしてほしい」「これもしてほしい」が一気に噴き出します。エンジニアさん側からすると、
後から後から要望が出てくると本当に収拾がつかなくなる。
だからこそ「先にどうしたいかをちゃんと決めよう」という話になる。
聞きながら、これ僕も同じことやってるな、と思いました。
部署が違うと、持ってる地図が違うんです。
ドラクエ4の地図を持ってる人と、ドラクエ5の地図を持ってる人が、
同じテーブルで話してるようなものです。「こっちはこの地図で」
「いや、こっちはこの地図で」とやってる限り、
いくら真面目に話し合っても交わりません。
求めてるものが違うのではなくて、見てる世界が違う。
これはAI相手でもまったく同じです。僕が持ってる地図を渡さないまま
「作って」と言ってるとき、AIは別の地図を広げて、
その地図の中では正しいものを作ってくる。だから出てきたものを見て
「違うんだよなあ」となる。
「やりたいことはあるのに、どう言えばいいか分からない」
クライアントさんと話してると、
めちゃくちゃよく言われることがあります。
やりたいことも、困ってることも、ちゃんとある。あるんですけど、
いざAIに渡そうとすると、どう伝えたらいいか分からない、と。
これ、能力の問題ではないと思ってます。自分が毎日やってる仕事って、
体が覚えてるぶん、言葉になっていない部分がめちゃくちゃ多いんですよね。
「そんなの当たり前だ」と思ってることほど、外の人には見えてない。
そして、その当たり前の部分にこそ、
システムが転ぶ理由が埋まってたりする。
で、僕がやり方を変えたのはここでした。
言葉で説明させるのをやめて、実物を見せる。
最初は僕も、ひたすら話を聞いて、それを整理して、AIに渡す、というやり方をしてました。手探りです。
でもこれ、途中で無理があると気づきました。
聞いた話を僕が要約した時点で、細かいところが落ちるんですよ。
しかも落ちたことに誰も気づけない。
なので今は、元のデータや実際の書類を見せて、そこから判断させるようにしてます。「こういう書類があって、ここの情報をこっちに転記したい」を、実物とセットで渡す。そうすると、僕が言葉にできていなかった条件まで拾ってくれることがあります。
AIに任せると、綺麗なダミーしか出てこない
もうひとつ、これは地味ですけど効きます。
テスト用のダミーデータを作るとき、AIに任せるとやたら綺麗なものを作ってくるんですよ。項目が全部きっちり埋まってて、
表記も揃ってて、想定外が何ひとつ入ってない、
模範解答みたいなデータです。
そんなデータ、現場には存在しません。
なので僕は、わざと失敗したものを渡すようにしてます。読み取りにくいもの、項目が抜けてるもの、想定外の形をしてるもの。そうやって初めて
「これが来たときどうする」という話になる。
たとえば、レシートを撮って読み取らせるツールを考えたとします。ここで裏面だけを撮った写真が飛んできたら、どうなるか。仕組みとしては受け取って、ファイル名を決めて、保存までやってしまう。でも読み取る中身がない。結果、中身が空っぽの行がひとつ、静かに生まれる。
エラーは出ません。誰も気づきません。
ずっと後で数字が合わないときに、やっと分かる。
こういうのを、僕は「もしもの話」として先に潰すようにしてます。
決めるというのは、作るものを決めることではなくて、
こういう変なものが来たときにどうするかを決めることなんだな、と最近は思ってます。
やらかした記録②
現場の話を聞いて、自分の頭の中で整理したものを渡して作った。動くものはできたが、実物を見せた瞬間に前提が崩れて作り直しになった。要約した時点で落ちていた条件があり、落ちたことに自分でも気づけていなかった。以来、まず実物を見せるようにしている。
ここから先の内容
第3章 「なんか動いてる」がいちばん危ない
第4章 借りた型を、自分の仕事に合わせて育てる
第5章 作る順番——私がやっているのは、この12個だけ
巻末 やらかした記録・一覧
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8月31日から 1,980円に改定します。
予告した日に必ず改定します。値上げしない値上げ予告はしません。
同じ場所で何回も転んでる自覚があるなら、たぶん役に立ちます。
そうでもないなら、無理に買わないでください。
