「2週間でできます」と言った仕事が、気づけば1か月。あの見積もりは、いったい何だったのか。
プロジェクトを任されると、最初にぶつかるのが「見積もり」です。PM(プロジェクトマネージャー=段取りと進行をまとめる役回りのことです)でも、別の本業の片手間で現場を回している人でも、ここは同じです。そして多くの人が、ここでつまずきます。私自身、30年この仕事をしてきて、見積もりほど「当たらないのが当たり前」になっている工程を他に知りません。
これから初めて見積もりを任される人も、独学でなんとか回してきた人も、いまさら誰にも聞きにくい——そんな場面で読んでもらえたらと思って書きました。今からでも遅くありません。一歩ずついきましょう。
この記事では、なぜ見積もりが当たらないのかを現場目線で分解したうえで、AI(ここではClaude Codeのような対話型のAIツールを想定しています)を使って「当たり」の精度を上げる進め方をお伝えします。
完璧に当てる魔法はありません。ただ、「外し方を小さくする」ことなら、やってみると意外とできます。
この記事の流れ(目次)
- 【無料】現場のつらさ — 「見積もり、また外れた」のあるある
- 【無料】これまで私たちはどう凌いでいたか
- 【無料】AIで何が変わるのか(考え方の入口)
- 【有料】AIで工数の当たりをつける具体手順(5ステップ)
- 【有料】そのまま使えるAIへの指示文(プロンプト)例
- 【有料】見積もりレビューのチェック観点
- 【有料】私の失敗談と、そこからのリカバリ
1.【無料】現場のつらさ —「見積もり、また外れた」のあるある
見積もりが外れたときの空気を、思い出してみてください。
- 「最初に2週間って言いましたよね?」と詰められる
- 自分でも「なんでこんなにかかってるんだ」と分からない
- 残業で帳尻を合わせ、品質はギリギリ
- 次の見積もりは「怖いから」と多めに盛る。すると今度は「高い」と言われる
私が見てきた限り、見積もりが外れる原因の多くは、能力でも気合いでもありません。「見えていなかったものが、後から出てきた」だけです。
よくある「後から出てくるもの」を並べてみます。
- 隠れた作業:本体は作れても、テスト・データ移行・関係者への説明・手戻りの修正が抜けていた
- 確認待ちの時間:自分は動けるのに、誰かの返事を待つ「止まっている時間」が積み上がる
- 言葉のズレ:「ちょっと直すだけ」の「ちょっと」が、人によって全然違う
- 割り込み:見積もったときには存在しなかった別件が、平気で入ってくる
ここで大事なのは、これらが「異常事態」ではなく「毎回起きること」だという点です。
つまり、毎回起きるなら、毎回それを織り込む仕組みがあればいい。逆に言えば、仕組みがないまま勘で出している限り、見積もりは当たりません。
若手の方へ:見積もりが外れるのは、あなたが未熟だからではありません。ベテランでも外します。違うのは「外し方の幅」と「外したあとの説明力」です。ここは後から伸ばせます。
2.【無料】これまで私たちはどう凌いでいたか
AIが無かった時代、私を含め現場の人間がやってきた工夫は、だいたい次のどれかでした。
(1) バッファ(余裕時間)を上乗せする
「だいたい1.5倍にしておけ」という、あの経験則です。効果はありますが、問題もあります。なぜ1.5倍なのかを説明できないため、相手に「盛ってるだけでは?」と疑われます。根拠のない余裕は、信頼を削ります。
(2) 過去の似た案件を引っぱってくる
「前にやったアレが3週間だったから、今回も同じくらい」。これは筋が良い方法です。ただし、似た案件の記録がきちんと残っていることが前提で、現実には記憶頼みになりがちです。記憶は、都合よく短くなります。
(3) えいやで決めて、あとで謝る
いちばん多いのが、正直これかもしれません。時間がないなかで決めなければならず、走りながら調整する。悪いやり方ではありませんが、「謝る前提」になっているのは、やはり苦しい。
これらに共通する弱点は、「分解が足りない」ことです。
大きな塊のまま「えいや」で見積もるから外れる。塊を小さく割れば割るほど、一つひとつは読みやすくなり、抜け漏れも見つけやすくなります。
ただ、この「細かく割る」作業は、地味で、面倒で、時間がかかります。だから、つい飛ばしてしまう。——ここが、AIの出番です。
3.【無料】AIで何が変わるのか(考え方の入口)
AIを「答えを出してくれる機械」だと思うと、見積もりには使えません。AIは未来を知らないので、正確な工数を当ててはくれません。
そうではなく、AIは「分解と、抜け漏れの洗い出しを、嫌がらずに何度でもやってくれる相棒」だと考えると、急に役に立ちます。
考え方の軸は、たった3つです。
- 割る:やることを、半日〜1日で終わる粒まで細かく割る。この退屈な作業をAIに手伝わせる。
- 抜けを探す:「この見積もりで、抜けている作業は何か?」とAIに突っ込ませる。人は自分の盲点が見えませんが、AIは平気で「テストは?」「移行は?」と聞いてきます。
- 幅で出す:「10日」ではなく「最短8日〜最長14日、確度はこのくらい」と幅で出す。AIはこの整理が得意です。
この3つだけでも、見積もりの体質は変わります。「一点で当てにいく」のをやめて、「幅と根拠で語る」に切り替える。当てるのではなく、外し方をコントロールするという発想です。
ここまでが、考え方の話です。ここから先は、私が実際にやっている具体的な手順・AIへの指示文・レビューの観点・失敗談をお見せします。そのまま真似できるところまで落としているので、明日の見積もりから使えるはずです。
無料パートで「考え方」をお伝えしました。ここからは、私が現場で実際に回している「やり方そのもの」です。指示文はコピーして、そのまま使っていただけます。
