1. 不採用連絡、何に悩む?この記事で作れるもの
中小企業や店舗で、事務をしながら採用担当も兼ねていると、書類選考や面接のあとに「不採用通知」を送る作業が待っています。
忙しい合間に文面を考え、「不合格」と書くと冷たすぎる気がする、「今回は見送り」で失礼にならないか、応募書類はどう扱うと伝えるべきか、毎回悩んでしまう方は少なくありません。
たとえば、架空の例として、店舗の事務担当Aさんが、営業時間の合間に候補者対応のメールを書こうとして、言葉選びに30分以上迷ってしまう、という場面が考えられます。
この記事では、そんな採用担当の方に向けて、AIチャットを使って不採用通知の下書きを作る方法を扱います。
AIチャットとは、文章でお願いすると、メールや電話用の台本などのたたき台を返してくれるサービスです。
ここで作れるのは、書類選考後・面接後の不採用メール、電話で読み上げるための短い言葉、書面で送る場合の下書き、そして送る前の確認チェックリストです。
大切なのは、AIチャットの出力をそのまま送らないことです。AIチャットは下書きを作る補助であり、最終確認は採用担当者であるあなたが行います。成功の見分け方は、宛名、件名、結果の伝え方、応募書類の取り扱い、署名、送信先が自分で確認できている状態です。もし文章が冷たく感じる、長すぎる、個人情報が入っていそうだと感じたら、AIチャットに条件を足して作り直すか、いったん使うのをやめて社内の確認者に回してください。この記事を読み終えるころには、不採用通知の言葉に毎回悩みすぎず、送る前に自分で確認できるようになります。
2. 送る前に準備すること(手段・タイミング・個人情報の扱い)
AIチャットに文章を作らせる前に、次の準備をしてください。
ここを決めずに依頼すると、あとから文面を何度も直すことになります。
まず、通知手段を決めます。
メールは記録が残り便利ですが、宛名や送付先の誤りに注意が必要です。
電話は心理的負担が大きいため、すでに面接などで信頼関係がある場合に限定して使うのがよいとされています。
書面で送る場合は、封筒に「親展」と記載し、個人宛のプライベートな通知であることを示します。
転職エージェント経由の応募者には、直接ではなくエージェントを通じて通知するべきとされています。
次に、送付タイミングを決めます。書類選考後は7日以内、面接後は3日以内に通知するのが望ましいとされています。別の実務情報では、可能であれば2〜3日以内、遅くとも1週間以内が望ましいとされています。遅れそうな場合は、あいまいにせず、社内で送れる日を確認してから文面を作りましょう。
個人情報の扱いも事前に決めます。応募書類を破棄するか返送するかを明記する必要があります。破棄するのか、返却するのかを先に決め、応募者にわかる言葉で伝えます。AIチャットを使うときは、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、評価コメントなど、個人を特定できる情報はできるだけ入力しないでください。入力例では「応募者A」のように置き換えると安全です。使うAIチャットの利用条件や社内ルールも確認しておき、会社として許可された範囲で使いましょう。
送る前の確認項目:通知手段、送付日、応募書類の取り扱い、エージェント経由かどうか、AIチャットに入れた情報に個人情報がないか、の5点です。 もし手段や書類の扱いが未決定なら、文面を作る前に戻ってください。送付先が不安な場合は、送信ボタンを押す前に、メールソフトや住所を指で確認するつもりで見直しましょう。

3. AIチャットへの指示文の作り方
AIチャットに不採用通知の下書きを作ってもらうときは、いきなり「不採用メールを書いて」と頼むのではなく、前提情報を順番に整理して伝えます。
手順は次のとおりです。
- 目的を伝える。「不採用通知の下書きを作りたい」と書きます。
- 選考段階を伝える。「書類選考後」か「面接後」を指定します。
- 通知手段を伝える。「メール」「電話」「書面」のどれかを指定します。
- 会社名や差出人、敬語レベルを伝える。実名を入れたくない場合は「株式会社さくら商店(架空)」「採用担当 山田」のように、架空または置き換えた名前を使います。
- トーンを伝える。「感謝を伝える」「角が立たない」「簡潔」「冷たくしない」など、希望を言葉にします。
- 応募書類の扱いを伝える。「破棄する」「返却する」のどちらかを指定します。
- 出力してほしい形を伝える。「件名、本文、署名、送信前チェックリスト」のように指定します。
- 個人情報を入れない。氏名や住所などは「応募者A」と置き換えます。
入力例は、たとえば次のようにします(これは架空の例です)。
あなたは中小企業の採用担当を手伝うアシスタントです。 次の条件で、不採用通知メールの下書きを1つ作ってください。 ・選考段階:書類選考後 ・通知手段:メール ・会社名:株式会社さくら商店(架空) ・差出人:採用担当 山田 ・トーン:応募への感謝を伝え、角が立たない、簡潔 ・件名:内容が一目でわかる形 ・応募書類:破棄する予定。その旨を本文に入れる ・個人情報:氏名は「応募者A」と記載 ・出力:件名、本文、署名、送信前チェックリスト
電話用の言葉を作りたい場合は「通知手段:電話」「読み上げ用に短く」「相手が沈黙した場合の言い換えを3つ」と指定します。
書面なら「通知手段:書面」「封筒に親展と記載する前提」「本文はメールより少し丁寧に」と指定します。
AIチャットの出力は、必ず自分で確認・修正してから使います。 確認するのは、会社名や部署名が正しいか、応募者名が正しいか、選考段階が合っているか、具体的な不採用理由が入っていないか、応募書類の扱いが入っているか、です。もし文面が硬すぎる、長すぎる、逆に軽すぎると感じたら、「もう少し柔らかく」「200字程度に短く」「具体的な理由は書かないで」と追加で指示して作り直します。個人情報が出力に混ざった場合は、その部分を削除し、入力内容を見直してからやり直してください。
4. 書類選考後の不採用メール文例を作る
書類選考後の不採用メールは、応募への感謝、結果、応募書類の取り扱いをわかりやすく伝えることが大切です。件名は「【選考結果のご連絡】」のように、差出人と内容が一目でわかる形にします。 ここでは架空の会社名・氏名を使った例で説明します。
AIチャットへの入力例は次のとおりです(架空の例です)。
書類選考後の不採用通知メールの下書きを作ってください。 ・会社名:株式会社さくら商店(架空) ・差出人:採用担当 山田 ・宛名:応募者A ・件名:内容が一目でわかる形 ・本文に入れること:応募への感謝、ご期待に添えない結果になった旨、応募書類は破棄すること ・トーン:丁寧、簡潔、角が立たない ・出力:件名、本文、署名、送信前チェックリスト
出力される文例のイメージは、次のようなものです。
これは架空の例であり、実際に送る前に自社の情報に置き換えてください。
件名:【選考結果のご連絡】 応募者A 様 株式会社さくら商店 採用担当の山田です。 このたびは弊社の募集にご応募いただき、誠にありがとうございました。 書類選考の結果、誠に残念ながら、今回はご期待に添えない結果となりました。 貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり申し訳ございません。 なお、ご提出いただいた応募書類は、弊社で責任をもって破棄させていただきます。 今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 株式会社さくら商店 採用担当 山田
応募書類を返却する場合は、「破棄させていただきます」の部分を「返却させていただきます。返却方法について別途ご連絡いたします」などに差し替えます。返却か破棄かは、送る前に社内で決めておき、文面と実際の対応が食い違わないようにしてください。
送信前には、宛名、件名、会社名、応募者名、選考段階、結果の言い方、応募書類の扱い、署名、送信先を確認します。
エージェント経由の応募者なら、直接送らずエージェントを通じます。
もしAIチャットが「不合格」など強すぎる言葉を出したら、「ご期待に添えない結果」に直します。
具体的な不採用理由が入っていたら削除し、理由を聞かれた場合に備えるなら「求める人材像に見合わなかった」程度の表現に留めます。
宛先を間違えたまま送りそうなときは、いったん下書き保存に戻り、送信先を確認し直してください。
5. 面接後の不採用メール・電話スクリプトを作る
面接まで進んだ相手への不採用連絡は、書類選考のときより気を使います。
会って話している分、そっけない文面だと冷たい印象になりやすいからです。
ここでは、AIチャットにメール文例と電話用のスクリプト(話す台本)を作らせる手順を説明します。
始める前に用意するものは、パソコンかスマホ、使えるAIチャット、そして次のメモです。
面接日、応募職種、送信元の会社名と担当者名、応募書類を返送するか破棄するか、転職エージェント経由の応募かどうか。
費用はAIチャットの利用料のみで、無料の範囲でも下書きは作れます。
注意点が2つあります。実在の応募者の氏名・住所・電話番号はそのまま入力しないこと。氏名は〔応募者名〕のように置き換えて作り、あとで自分で戻します。もう1つは、できあがるのは下書きだということです。送信は必ず人が確認してから行います。
手順1は、メールの下書きを作ることです。
AIチャットに次のように指示します(内容は架空の例です)。
面接後にお送りする不採用通知メールの下書きを1通作ってください。 ・応募者: 〔応募者名〕様 ・面接日: 2025年6月10日 ・職種: 店舗スタッフ ・送信元: ○○商店 採用担当 ・応募書類: 返送します ・条件: 件名を付ける。本文は250字前後。不採用の理由は詳しく書かない。今後の応募を約束する表現は入れない。
手順2は、電話スクリプトを作ることです。電話は心理的な負担が大きく、当日に言葉を考えると声が硬くなったり余計なことを言ったりしやすくなります。だから事前に用意しておきます。また、電話はすでに面接などで信頼関係がある相手に限定し、それ以外はメールや書面が無難です。
不採用を電話で伝えるときのスクリプトを作ってください。 流れ: 冒頭のあいさつ→結果の伝達→お礼→応募書類の扱い→電話を終える一言。 ・一文は短く、3分以内に収まる分量 ・理由の詳細は話さない ・相手が納得しない場合に「担当者に確認して改めてご連絡します」と切り上げる一言も入れる
手順3は、エージェント経由かどうかを反映させることです。
転職エージェントを通じて応募した人には、自分から直接連絡せず、エージェント経由で通知します。
指示文に「エージェント経由の応募者なので、エージェントに送る文面として作る」と書き添えると、本人宛の文面ができてしまう事故を防げます。
できあがりの確認は、声に出して読み、宛名・面接日・書類の扱い・件名を指でなぞって行います。
相手を責める言葉が入っていないかも見ます。
期待と違ったときは、硬すぎるなら「もう少しやわらかい語尾に。
軽すぎない丁寧さは保って」、長すぎるなら「250字以内。
削るのは経緯の説明で、お詫びと書類の扱いは残して」と伝えます。
エージェント経由なのに本人宛になっていたら、前提を追加して作り直します。

6. 理由を聞かれた時の言い回しを一緒に作る
不採用理由を伝える法的な義務はなく、採否の理由を明示・公開しない自由が裁判例で認められています。 「なぜ落ちたのか」と聞かれても、すべてを正直に説明する必要はありません。
むしろ、具体的な選考基準を詳しく伝えると、SNSなどで広まって企業に不利益になることがあります。
誰と比べてどうだったか、どこが何点だったか、といった内容は書かない方針にします。
AIチャットへの指示例は次のとおりです(架空の例です)。
不採用通知に対して「なぜ不採用だったのか教えてほしい」と返信が来たときの返答案を作ってください。 ・理由の詳細は書かない ・「今回は求める人材像に見合わなかった」という趣旨にとどめる ・150〜200字 ・相手の経験や能力を否定する表現は使わない ・追加の面接や次回の選考を約束する表現は入れない
電話で聞かれた場合は、たとえば次のように短く答えて切り上げます。
「選考の詳しい内容はお伝えしていないのですが、今回は求める人材像と重なる点が少なかったため、見送らせていただきました」。
確認と立て直し
年齢・経験年数・他の応募者との比較・評価の点数が入っていないかを読み返し、「この文がSNSに貼られたら困るか」を基準に確認します。
AIが理由を詳しく書きすぎたときは「理由は1文だけ。
それ以外はお礼と書類の扱いだけにして」と再依頼します。
それでも詳しいままなら、理由の部分を自分で1文に削ります。
7. 送る前の確認チェックリスト
AIチャットが作った文はあくまで下書きです。
送る前に次を確認します。
- 宛名と敬称、メールアドレスや住所が正しいか
- 件名が「【選考結果のご連絡】」のように内容を一目で示しているか
- 送付タイミングが遅れていないか(書類選考後は7日以内、面接後は3日以内が望ましく、メールは可能なら2〜3日以内、遅くとも1週間以内)
- 応募書類を破棄するか返送するかを明記しているか
- 書面なら封筒に「親展」と書いたか
- 個人情報の取り扱い(書類の返送・破棄)が文面に書かれているか
- 理由の説明が詳しくなりすぎていないか
AIチャットに最終チェックさせる指示例は次のとおりです(架空の例です)。
次の不採用通知メールの文面を、送信前チェックリストとして点検してください。 点検項目は、宛名と送付先、件名、応募書類の取り扱いの記載、個人情報の取り扱いの記載、理由の詳しさ、です。 各項目に「問題なし」または「要確認」を付け、要確認の場合は該当箇所と直し方を1行で示してください。 文面:(ここに貼る)
AIは宛名や送付先が実在するかまでは判断できません。
そこは自分で確認し、結果は補助として使います。
「問題なし」ばかりで中身がないときは「個人情報の記載があるか、文面を1文字ずつ確認して」と具体的に頼み直します。

8. うまく生成できない時の立て直し方
期待と違う出力になったときは、次のように指示を足して直します。
- 硬すぎる:「内容はそのままで、語尾をやわらかく。軽すぎない丁寧さは保って」
- 長すぎる:「200字以内に短く。削るのは経緯の説明。お詫びと応募書類の扱いは残して」
- 具体性がない:職種、面接日、送信元、エージェント経由かどうか、書類を返送するか破棄するかを追加する
- 一部だけ直したい:「3段落目だけ書き直して。ほかは変えないで」
- 話がずれた:最初の指示文を書き直し、最初から作り直す
修正後は、日付・氏名・書類の扱いが勝手に変わっていないかを確認します。変わっていたら元に戻します。何度頼んでも合わないときは、近い文例をそのまま使って自分で手直しする方が速いこともあります。最後は必ず人が全文を読み、実名などの個人情報を入力していないことを確かめてから送ります。
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