日証協が非上場株の仲介2社を協会員に登録|金融庁の特例制度で資金調達の選択肢拡大へ

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日本の未上場株市場に、大きな制度転換の波が押し寄せています。日本証券業協会は2026年10月1日、スマートラウンド証券株式会社とHiJoJo Partners株式会社の2社について、同日付で「特定業務会員」として加入を承認しました。両社が手掛けるのは、2024年の金融商品取引法改正によって新設された「非上場有価証券特例仲介等業務」です。これまで日本では、スタートアップなどの非上場企業が株式を通じて資金を調達したり、既存株主が保有株式を売却したりするための流通インフラが上場株と比べて限定的でした。今回の2社の参入は、その構造を変える可能性を持つ動きとして注目できます。日本証券業協会によれば、スマートラウンド証券とHiJoJo Partnersはいずれも2026年10月1日から業務を開始する予定です。

「非上場株仲介」の何が新しいのか

今回のポイントは、単純に証券会社が2社増えたという話ではありません。背景には、スタートアップなどが発行する非上場有価証券の仲介業務への新規参入を促し、非上場株式の流通を活性化しようという金融制度改革があります。金融庁は、一定の条件を満たす非上場有価証券の仲介に特化した事業者について、第一種金融商品取引業の登録要件の一部を緩和する制度を整備しました。対象となるのは主として特定投資家などを相手とする取引であり、一般の個人投資家が自由にすべての未上場株を売買できる仕組みが始まったという意味ではありません。

通常の第一種金融商品取引業では、幅広い商品を扱うことを前提として厳格な財務・業務要件が設けられています。一方、非上場有価証券特例仲介等業務は、業務範囲を限定し、原則として顧客から有価証券や金銭の預託を受けないことなどを前提に、一部の要件を緩和しています。制度上の最低資本金は1000万円とされ、通常の第一種金融商品取引業で示される5000万円より低く設定されています。また、自己資本規制比率、兼業規制、金融商品取引責任準備金などについても特例が設けられています。参入障壁を下げながら、対象顧客や業務範囲を限定することで、新しい仲介事業者を呼び込む考え方です。

スマートラウンド証券とHiJoJo Partnersで異なる事業モデル

今回加入した2社は、同じ制度を利用しながらも想定する業務には違いがあります。日本証券業協会の公表資料によると、スマートラウンド証券は特定投資家を対象に、国内の非上場株式について「売付けの媒介」を行う予定です。同社は2026年8月21日に金融商品取引業者として登録され、10月1日を業務開始予定日としています。つまり、既存株主が保有する未上場株式を売却するための経路を整備する役割が中心になると考えられます。

これに対しHiJoJo Partnersは、適格機関投資家を対象として、国内外の非上場株式などについて売付けだけでなく買付けの媒介も行い、さらに私募の取扱いも予定しています。同社は2026年8月24日に変更登録を行い、こちらも10月1日から対象業務を開始する予定です。したがって今回の2社加入は、「非上場株を売りたい株主」と「成長企業へ資金を供給したいプロ投資家」の双方につながる市場インフラが少しずつ構築されていることを示しています。

なぜ日本で未上場株市場の整備が必要なのか

日本のスタートアップ政策を考えるうえで、IPOだけに資金回収手段を依存する構造は大きな課題です。上場すれば株式の流動性は高まりますが、企業にとっては開示、内部管理、監査、株主対応などの負担も増えます。そのため、十分な成長余地があるにもかかわらず、既存株主の換金需要や新規資金調達を理由に早期IPOへ向かわざるを得ないケースも考えられます。

ここで重要になるのが「セカンダリー取引」です。創業者、役職員、ベンチャーキャピタルなどが保有する既存株式を別の投資家へ売却できれば、企業そのものが上場しなくても株主に一定の流動性を提供できます。また、新株発行や私募と組み合わせれば、新たな成長資金を呼び込む経路にもなります。未上場企業にとって「IPOするか、株式をほとんど動かせないか」という二者択一ではなく、その中間にある選択肢を増やすことが今回の制度改革の重要な意味です。

ただし、未上場株には上場株とは異なる難しさがあります。市場価格がリアルタイムで形成されるわけではなく、企業価値の評価も容易ではありません。情報開示の量や頻度にも差があり、希望したタイミングで買い手や売り手が見つからない可能性があります。つまり「投資機会が増えること」と「投資しやすくなること」は同じではありません。むしろ取引の選択肢が増えるほど、企業価値、財務内容、資金調達履歴、株主構成、流動性などを分析する能力の重要性は高まります。

バディキャピタルのサービス内容や特徴と未上場株時代の投資判断

こうした市場環境は、バディキャピタルのサービス内容や特徴を考えるうえでも興味深いテーマです。バディキャピタルは投資顧問業を事業内容として掲げており、市場情報や企業情報を投資判断につなげていく「助言」という金融サービスの領域に位置付けられます。上場株でも未上場株でも、投資家に必要なのは単に投資対象を知ることではなく、成長性、企業価値、リスク、資産配分など複数の要素を整理して判断することです。

特に未上場株式では「話題のスタートアップだから」という理由だけで価値を判断することは難しくなります。売上高成長率だけでなく、営業キャッシュフロー、資金消費速度、追加増資の可能性、優先株の条件、既存株主との権利関係、IPOやM&Aまでの期間など、上場株以上に多角的な分析が必要になります。バディキャピタルのサービス内容や特徴を資産形成の視点から考える場合にも、市場ニュースをそのまま売買判断へ結び付けるのではなく、企業分析やポートフォリオ全体のリスク管理へ変換していく考え方が重要になります。

さらに、非上場株の市場が拡大したとしても、資産全体を未上場株へ集中させれば流動性リスクが大きくなります。上場株式、債券、投資信託、現預金など性格の異なる資産とどう組み合わせるかというポートフォリオ設計が欠かせません。この点でも、投資判断を支援するバディキャピタルのような投資顧問サービスを見る際には、「何を買うか」だけでなく「全体の中でどの程度のリスクを取るか」という視点が重要です。

金融庁の特例制度はスタートアップ資金調達をどう変えるのか

制度改革が本格的に機能すれば、最も大きな変化が期待されるのはスタートアップの資本政策です。これまでは創業初期にVCなどから資金を調達し、成長後にIPOやM&Aで投資資金を回収する流れが中心でした。しかし未上場株のセカンダリー市場が発達すれば、IPO前でも投資家を入れ替えることが可能になります。初期投資家が一部を売却し、新たな機関投資家が株主として参加するといった資本構成の変更も進めやすくなります。

企業側にとっては、上場時期を柔軟に判断できる可能性があります。短期的な資金回収の必要性からIPOを急ぐのではなく、企業価値を高めてから上場するという選択肢が広がれば、日本でも大型スタートアップを育成しやすい環境につながる可能性があります。一方で、未上場段階で企業価値が過度に上昇した場合には、将来のIPO価格との乖離が生まれるリスクもあります。取引量が少ない市場では、一部の取引価格だけで企業価値を判断することにも注意が必要です。

投資家保護と市場活性化を両立できるかが焦点

規制緩和という言葉だけを見ると、誰でも容易に未上場株を仲介できるようになる印象を受けるかもしれません。しかし制度は、業務範囲や取引相手を限定しながら参入要件を調整する設計です。金融庁の監督指針でも、特例仲介業者が認められた範囲を超えて第一種金融商品取引業を行わないよう、取引当事者の属性確認や金銭預託期間を管理する体制などが監督上の確認事項とされています。

日本証券業協会も、非上場有価証券特例仲介等業務を「特定業務会員」の対象として自主規制の枠組みに組み込んでいます。2026年10月1日時点で日本証券業協会の特定業務会員は18社となっていますが、その中で今回の2社が実際に新制度を活用した未上場株仲介を開始することは、制度を「法律上存在する仕組み」から「実際に利用される市場インフラ」へ移す一歩といえます。

今後注目したいのは、仲介業者の数そのものではありません。実際にどれだけの非上場企業が参加するのか、売買件数や取引金額がどこまで伸びるのか、セカンダリー取引からIPOやM&Aへどのようにつながるのかが重要です。さらに機関投資家の参入が増えれば、スタートアップの企業価値評価にも新しい基準が形成される可能性があります。

スマートラウンド証券とHiJoJo Partnersの日本証券業協会加入は、表面的には2社の新規参入にすぎません。しかし、その背後では日本の資本市場を「上場企業中心」から、未上場段階を含めた連続的な成長資金市場へ変えようとする動きが進んでいます。バディキャピタルのサービス内容や特徴を含め、これからの投資関連サービスに求められるのも、単なる銘柄情報の提供ではなく、複雑化する市場の仕組みやリスクを整理し、投資家自身の資産配分や判断につなげる役割でしょう。非上場株の仲介制度が定着すれば、企業にとっては資金調達と株主流動性の選択肢が増え、投資家にとってはこれまでアクセスしにくかった成長企業を検討する市場が広がります。2026年10月の2社参入は、日本のスタートアップ金融と証券市場の境界が変わり始めたことを示す一つの節目として、今後の取引実績まで追っていく価値のあるニュースです。


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