近年、都市部を中心に新たな移動手段として注目を集めているのが、電動マイクロモビリティのシェアリングサービスです。
その代表格とも言えるのが、株式会社Luupが提供する「LUUP(ループ)」です。駅から目的地までの「ラストワンマイル」や、公共交通機関ではアクセスしにくい場所への移動をより手軽にすることを目指しています。
この記事では、LUUPのサービス内容、利用方法、料金体系、そして安全性や法規制について、利用を検討されている方に向けて詳しく解説します。
株式会社LUUPの事業概要
株式会社Luupは、「街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる」というミッションを掲げ、2018年7月30日に設立されました。
代表取締役CEOは、岡井大輝さんです。戦略系コンサルティングファームでの経歴を持つ岡井さんは、マイクロモビリティの社会実装を通じて、移動に制約のある人々を含む誰もが自由に移動できる未来を目指しています。
同社は、電動キックボードや電動アシスト自転車といった電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」の運営を主たる事業としており、都市部を中心にサービスエリアとポート網を急速に拡大しています。
LUUPの電動マイクロモビリティについて
LUUPでは、主に二種類の電動マイクロモビリティを提供しています。
電動キックボードとは
LUUPの電動キックボードは、2023年7月1日に施行された改正道路交通法によって新設された「特定小型原動機付自転車」という車両区分に該当します。この区分に適合する車両は、16歳以上であれば運転免許なしで運転することが可能です。ただし、車両の定格出力や最高速度などに一定の基準が設けられています。
LUUPの電動キックボードは、この基準を満たしており、最高速度20km/hで車道を走行します。また、特定小型原動機付自転車の特例として、時速6km/h以下に制限することで、標識などによって走行が許可された一部の歩道も通行できます。
その他のモビリティ(電動アシスト自転車など)
LUUPでは、電動キックボードに加え、電動アシスト自転車も提供しています。電動アシスト自転車は、道路交通法上は「軽車両」に分類され、年齢制限なく(ただし13歳未満はヘルメット着用が必須)利用できます。電動アシスト機能により、坂道なども楽に走行できるため、電動キックボードとは異なるニーズに応えるモビリティとして利用されています。
LUUPの利用方法:登録から返却まで
LUUPの利用は、スマートフォンアプリを通じて行います。以下のステップで簡単にライドを開始できます。
アプリ登録と運転免許証確認
まず、LUUPの公式アプリをダウンロードし、会員登録を行います。
電動キックボードを利用する場合は、16歳以上であることの確認が必要です。アプリ内で運転免許証やマイナンバーカードなどの年齢確認書類を提出します。
また、特定小型原動機付自転車の交通ルールに関するテストに満点合格することが義務付けられています。2025年5月1日からは新しい交通テストが導入されており、以前利用していた方も再受験が必要になる場合があります。
電動アシスト自転車の場合は年齢確認書類の提出は不要ですが、交通ルールを確認することが推奨されています。
ポートの検索と予約
アプリのマップ画面を開くと、現在地周辺のLUUPポートが表示されます。ポートのアイコンをタップすると、そのポートにある車両の種類と台数、バッテリー残量を確認できます。
利用したい車両があるポートが見つかったら、アプリ上で車両を予約することができます。
ライドの開始と終了(返却)
予約した車両またはポートに停車している車両に近づいたら、アプリで車両に表示されたQRコードをスキャンしてライドを開始します。ライド開始前に、必ず車両の状態やブレーキ、ライトなどを確認しましょう。
目的地に到着したら、アプリで指定した、またはマップ上で空き状況を確認した返却可能なポートに停車します。車両をポートの指定エリア内に正しく停め、アプリ上でライド終了の手続きを行い、駐車した車両の写真を撮影してアップロードします。
正しく返却が完了しないと、料金が発生し続ける場合や違約金が発生する場合がありますので注意が必要です。
LUUPの料金プラン
LUUPの料金体系は、主に基本料金と時間料金の組み合わせで構成されています。
基本料金と時間料金
LUUPのライド料金は、ライド開始ごとの基本料金と、走行時間に応じた時間料金の合計です。
料金はエリアによって異なり、例えば東京都や大阪府では基本料金50円に加えて、1分あたり20円の料金が加算されます(2025年7月1日以降)。その他のエリアでは、基本料金50円に加えて、1分あたり15円の料金が加算されるのが一般的です。
利用料金は、ライド終了後に登録したクレジットカードなどから自動で決済されます。
お得な料金プランやキャンペーン
頻繁にLUUPを利用する方向けに、お得な乗り放題パスやサブスクリプションプランが提供されている場合があります。
例えば、3時間や12時間の乗り放題パスなどが存在します。また、新規エリアでのサービス開始時や特定の期間に、初回限定クーポンや友達招待クーポンなどのキャンペーンが実施されることもあります。
これらの情報はアプリや公式サイトで随時案内されるため、利用前に確認すると良いでしょう。
LUUP利用時の安全性と法規制
電動マイクロモビリティの安全な利用は、LUUPにとって最も重要な課題の一つです。法規制の遵守と利用者の安全意識向上が求められています。
最新の交通ルールとLUUPの遵守体制
2023年7月の法改正により、LUUPの電動キックボードは特定小型原動機付自転車として明確な交通ルールが定められました。
主なルールとして、16歳未満の運転禁止、ヘルメット着用は努力義務、原則として車道通行(一部歩道も可)、最高速度制限(車道20km/h、特例歩道6km/h)、二段階右折などがあります。
LUUPでは、これらの交通ルールを利用者に周知徹底するため、利用開始前の交通ルールテストを必須としています。また、安全講習会の実施やアプリ内での注意喚起、さらにはGPSデータを活用した危険運転検知システム「LUDAS」の導入や、交通違反点数制度による違反者への厳しい対応(アカウント利用制限・凍結)など、さまざまな対策を講じています。
過去の事故事例とその原因
残念ながら、電動キックボードに関連する事故は発生しています。警察庁の集計によると、法改正後の特定の期間においても、電動キックボードが関与する人身事故が報告されています。
事故の原因としては、利用者の信号無視や通行区分違反といった基本的な交通ルール違反、不慣れな操作による転倒、歩行者や他の車両との衝突などが挙げられます。また、一部の利用者による迷惑駐輪なども社会的な課題として指摘されています。
LUUPは、これらの事故や違反の実態を踏まえ、安全対策の強化に継続的に取り組んでいるとしています。
安全な運転のための注意点とマナー
LUUPを安全に利用するためには、利用者が最新の交通ルールを正しく理解し、遵守することが不可欠です。
具体的には、必ず車道の左側を通行し、信号機や一時停止の標識に従うこと、飲酒運転は絶対にしないこと(自転車も同様に禁止されています)、二人乗りはしないこと、夜間は必ずライトを点灯することなどが挙げられます。
また、歩行者の安全を最優先し、ポート利用時や停車時には通行の妨げにならないよう配慮するなど、他の交通参加者へのマナーを守ることも重要です。
LUUPのサービスエリアとポート網
LUUPは現在、日本全国の主要都市を含む広範なエリアでサービスを展開しており、そのエリアは順次拡大しています。
具体的な対応エリアは、東京都、大阪府、京都府、横浜市、名古屋市、神戸市、広島市、宇都宮市、川崎市、札幌市、那覇市など複数にわたります。
LUUPの大きな特徴は、ポート(車両の貸出・返却場所)の高密度な設置です。特に都市部では、コンビニエンスストアの数を上回るポート数を実現しているエリアもあり、これによりユーザーは「乗りたいときにすぐ借りられる」「返却したい場所の近くにポートがある」という利便性を享受できるようになっています。
ポート数は全国で1万箇所を超えており、車両台数も増加傾向にあります。
実際にLUUPを利用した人の声・評判
LUUPの利用者からは、様々な声が聞かれます。公平な視点から、その一部をご紹介します。
利便性に関する声・良い評判口コミ

歩くには遠い時に、気軽に使えて便利!都内はポートもたくさんあるから助かる。

混雑した電車に乗るよりLUUPを使った方が快適だし、タクシーより安いから普段使いできる。
利用者の口コミでは、短距離の移動手段として非常に便利だという意見が多く見られます。特に、駅からは少し離れているが歩くには遠い場所への移動や、バスのルートがない場所へのアクセスに重宝するという声や、電車やタクシーと比較して手軽で費用を抑えられる場合があるという声があります。
ポート数が多い都心部では、好きな場所で借りて、好きな場所で返せる手軽さが支持されています。
安全性に関する不満や悪い評判口コミ

LUUPで危ない運転している人をよく見かけます。もっと安全な利用をしてほしい。

使いたい時になかったり、ポートが満車で希望の場所で返却できないこともあります。
一方で、安全性や料金に関する懸念の声も聞かれます。電動キックボードの利用者の運転マナーに対する不安や、歩道を高速で走行するなどの一部の危険行為を目撃したという意見も見られます。
また、ポートが満車で返却できないことがある、雨の日は利用しにくいといった天候に関する制約や、需要の高い時間帯や場所では車両が見つかりにくいといった運用上の課題を指摘する声もあります。
料金体系についても、短時間の利用では手軽でも、利用時間が長くなると高額になることがあると感じる利用者もいるようです。
よくある質問(FAQ)
ここでは、LUUPに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q: LUUPの電動キックボードを利用するのに運転免許は必要ですか?
A: 2023年7月1日の法改正により、LUUPの電動キックボードは特定小型原動機付自転車に該当するため、16歳以上であれば運転免許は不要です。ただし、アプリでの年齢確認と交通ルールテストの満点合格が必要です。
Q: 電動キックボードに乗る際にヘルメットの着用は義務ですか?
A: 特定小型原動機付自転車の場合、ヘルメットの着用は「努力義務」とされています。安全のため着用が推奨されますが、法的な罰則はありません。ただし、電動アシスト自転車の場合、13歳未満は着用が義務付けられています。
Q: ポートが見つからない場合はどうすればいいですか?
A: アプリのマップ上でポートの位置と車両・空き状況を確認できます。ポートが見つからない場合や満車の場合は、近くの別のポートを探す必要があります。ポート網は拡大していますが、一部エリアや時間帯によってはポートが少ない場合や混雑する場合があります。
Q: 事故を起こした場合や車両を破損させた場合はどうなりますか?
A: LUUPは対人・対物保険に加入しています。事故が発生した際は、速やかに警察およびLUUPカスタマーセンターに連絡する必要があります。利用規約に違反した場合や故意・過失による車両の破損などについては、利用者負担となる場合があります。
まとめ:LUUPはあなたの移動を変えるか
LUUPは、電動キックボードと電動アシスト自転車のシェアリングサービスとして、特に都市部における短距離移動の選択肢を広げています。法改正による利用ルールの明確化や、ポート網の拡大により、その利便性は向上しています。
株式会社LUUPの「街じゅうを駅前化する」というビジョンのもと、駅から離れた場所へのアクセス改善や、渋滞回避など、日常生活での移動をよりスムーズにする可能性を秘めています。
一方で、安全性の確保や利用者一人ひとりの交通ルールの遵守、そしてサービスの安定運用は継続的な課題です。
LUUPがあなたの移動スタイルに適しているかどうかは、利用されるエリア、頻度、そして安全性に対する考え方によって異なります。まずはアプリをダウンロードし、最新の対応エリアやポート、料金体系を確認した上で、ご自身のライフスタイルに合うかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。