【Part 1 無料記事】2026年診療報酬改定、医療事務が最初に知るべき「全体地図」
DR.MK
はじめに:今回の改定を「怖い」と感じているあなたへ
「また改定か……」
診療報酬改定のたびに分厚い資料が届き、研修に出席し、レセコンが変わり、算定ルールを一から覚え直す。医療事務の現場にいる方なら、この繰り返しの疲労感はよくわかると思います。
2026年6月1日施行のこの改定、正直なところ過去最大級に変更点が多い改定の一つです。基本診療料の引き上げ、加算の新設・廃止・名称変更、施設基準の変更——ざっと数えても200を超える個別改定項目があります。
でも、安心してください。
重要なのは「全部覚えること」ではありません。**「自分の病院・クリニックに関係する部分を、正確に理解すること」**です。
この記事(無料)では、今回の改定の全体地図をお伝えします。「どこが変わって、どこを重点的に確認すればいいか」の羅針盤として使ってください。
有料Part 2・Part 3では、外来・在宅・入院・救急の各領域を、レセプト算定の実務に直結する形で詳しく解説します。
まず押さえる:施行日は「2段階」になっている
2026年改定の施行日は一律ではありません。これが最初の落とし穴です。
| 施行日 | 対象 |
レセコンの切り替えタイミングが2段階になっていることを確認しましょう。4月に薬価だけ変わっているのに、6月の基本診療料変更を見落とすという事態は避けなければなりません。
今回の改定の「2大テーマ」を理解する
すべての改定項目はこの2つのテーマに紐づいています。ここを理解すると、個別の変更点が「なぜそうなったか」腑に落ちるようになります。
テーマ① 賃上げ対応——医療スタッフの処遇改善
物価高騰・賃上げ圧力に対応するため、本体改定率+3.09%(2年平均)という大幅な引き上げが実施されました。具体的には:
- 初診料:291点(従来288点から+3点)
- 再診料:76点(従来75点から+1点)
- 物価対応料:新設(後述)
- ベースアップ評価料:大幅拡充
基本診療料が上がることで、算定漏れがあった場合の損失も大きくなります。初診・再診の正確な算定は今まで以上に重要です。
テーマ② 医療DX推進——マイナ保険証・電子処方箋・情報共有
医療情報取得加算・医療DX推進体制整備加算が廃止され、新たに**「電子的診療情報連携体制整備加算」**が新設されました。
名前が変わっただけでなく、要件・点数も変わっています。旧加算の届出をそのまま流用できないため、施設基準の再確認と届出の見直しが必要です。
「廃止」された主な加算——算定を続けると不正請求になる
改定で最も注意すべきは、廃止された加算をうっかり算定し続けることです。これは不正請求になります。
2026年改定で廃止された代表的な加算:
| 廃止された加算 | 代替・後継 |
レセコンのマスタ更新が正確に行われているかの確認も、医療事務の重要な役割です。
「新設」された主な加算——算定機会を逃さない
逆に、新設された加算を知らずにいると算定機会の損失になります。
| 新設加算 | 概要 |
「変更」された主要項目——要件・点数が変わった
廃止でも新設でもなく「変わった」項目が最も数が多く、かつ見落としやすいです。
外来・クリニック系で特に重要:
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ):療養計画書の署名廃止・算定要件の変更
- 地域包括診療料・加算:外来データ提出加算(新設)との関係整理
- 在宅時医学総合管理料:月2回訪問に重症患者2割要件が追加
入院・病院系で特に重要:
- 救命救急入院料:4区分→2区分に統合
- 看護必要度:A項目(処置内容)に救急処置が追加
- 入院診療計画書:患者署名廃止→カルテ記載への移行
この改定、どこから手をつければいいか
以下の順番で確認することをお勧めします。
Step 1:自院が届け出ている施設基準を一覧で確認
↓
Step 2:廃止された加算が含まれていないか確認・削除届出
↓
Step 3:新設加算のうち自院が算定できるものを確認・届出
↓
Step 4:変更項目のうち自院に関係するものの算定ルールを更新
↓
Step 5:レセコンのマスタ更新と算定チェックフローの見直し
有料Part 2・Part 3で何を解説するか
この無料記事は「地図」です。実際の「道の歩き方」は有料パートで詳しく解説します。
📘 Part 2(1,500円):外来・在宅・処方箋領域
医療事務・クリニックスタッフが最も直面する領域を徹底解説します。
- 初診料・再診料・物価対応料:点数変更と算定タイミングの注意点
- 電子的診療情報連携体制整備加算:旧加算との違いと届出手順
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ):署名廃止後の運用・何を記録すべきか
- 地域包括診療料・加算:外来データ提出加算との組み合わせ
- 在宅時医学総合管理料:重症患者割合要件の確認方法
- 電子処方箋・マイナ保険証対応:受付での確認フロー変更
- よくある疑義解釈Q&A:実際の疑義解釈資料(その1〜6)からの重要QA
📙 Part 3(1,500円):入院・救急・ICU領域
病院の医療事務・病棟事務担当者向けに、入院レセプトに直結する変更を解説します。
- 急性期病院A・B:自院は算定できるか?要件チェックリスト
- 急性期総合体制加算:旧加算からの移行で何が変わるか
- 救命救急入院料の再編:4区分→2区分の整理と看護必要度の変更
- 入院診療計画書の署名廃止:代わりに何をカルテに書くべきか
- ICU施設基準への実績要件追加:自院ICUは影響を受けるか
- 救急医療管理加算(A205):JCS・NYHAの記載と算定要件
- DPC病院向け:今改定でのDPC関連の変更点
まとめ:「全部覚えなくていい、でも自院分は完璧に」
2026年改定を乗り越えるための心構えは一つです。
改定全体を把握した上で、自院に関係する部分だけを完璧にする。
この記事で全体の地図を頭に入れてもらいました。 Part 2・Part 3では、その地図の中で「自分が毎日歩く道」を詳細に案内します。
レセプトの返戻・査定を減らし、算定漏れをなくし、自信を持って医療事務の仕事ができるように——そのために書きました。
DR.MK(救急医・医療制度解説) 本記事は2026年6月時点の情報に基づきます。疑義解釈・通知等により内容が変更される場合があります。
