0 前書き
童貞、捨てたいですか?
はるか数十年前の話ですが、私は童貞を捨てたくて仕方ありませんでした。処女のように貰ってもらえるものでもありませんし、持っているだけで恥ずかしく、捨てる先を探していました。まるで、捨てるまで一生ついて回るゴミでも捨てるかのように。今になって思うと、比喩としてのゴミ箱にされる女の子はたまったものではありませんが、当時の私は女性の気持ちを慮る余裕もありませんでした。当然、私の童貞を貰ってくれる女の子は現れず、結局、大学四年生の冬まで大事に持ち越しました。
本レポートをお読みの皆様は、童貞をどうにかして卒業しようと奮闘されていることでしょう。始めに断言します。童貞は卒業できます。正しい手順を踏めば数ヵ月で脱出できます。本レポートがあれば、何も知らずに童貞卒業に挑むよりも遥かに早く、簡単にそれを達成できます。正直に言いますと、本レポートを読み、実践する機会に恵まれたあなたが、私は羨ましいのです。しかし、本レポートが皆様の役に立てば、私自身童貞を拗らせた甲斐があるというものです。
1 ある晴れた日の昼下がり@コ〇ダ珈琲
Dくん 先生、俺、童貞を卒業したいです。
H先生 なぜですか?
Dくん なぜって、恥ずかしいからです(もじもじ)
H先生 そうですか、恥ずかしいですか。分かりました・・・。
Dくん 先生、何とかなりませんか?
H先生 質問に質問で返して申し訳ありませんが、なぜ童貞を卒業したいのですか?
Dくん 先ほども申し上げましたが、恥ずかしいからです。
H先生 恥ずかしいのですね。なぜ恥ずかしいのですか?
Dくん 普通、高校のうちにSEXを覚えるじゃないですか。俺、もう二十一歳ですが、彼女もいません。
H先生 童貞を捨てたい、彼女が欲しいという気持ちは分かります。ただ・・・。
Dくん ただ?
H先生 Dくんが思っているほど、女性は童貞を恥ずかしいものとは思っていませんよ。
Dくん 恥ずかしいのは、女性の気持ちではなく、僕の気持ちです。
H先生 でも、君の童貞を貰ってくれるのは女性ですよね。君は、君の童貞を女性に貰って欲しい。
君の童貞を受け取る女性の気持ちを考えたことはありますか?
女性の身体のことを考えたことがありますか?
Dくん ・・・ありません。
H先生 それでは、ダメです。童貞を卒業するために必要なのは、笑わないで聞いて下さい。愛です。
テクニックでも、ファッションセンスでも、抜群のトークでもありません。思いやりです。
Dくん 分かりました、愛ですね! ありがとうございます! それでは、失礼します。
H先生 はい、がんばって下さい。
(Dくん退店。数分したら戻って来る)
H先生 どうされましたか?
Dくん 愛って、どうやったら伝わるのですか?
H先生 はい、その質問をお待ちしていました。
今、あなたの胸にはとても大きく、一滴の水も漏らさない受け皿が用意されました。
今日は大雑把に具体的な「愛」の正体を投入します。
咀嚼して君の栄養にするのは、Dくん、あなたの仕事です。
よろしいですか?
Dくん はい、よろしくお願いします。