1.はじめに
ディープフェイク技術は、近年SNSや「ファンティア」のようなファン向けプラットフォームで広く使われ、特にインフルエンサー活動において注目を集めています。しかし、多くのディープフェイクが「後処理」として、あらかじめ撮影された映像に施されるのが一般的です。そのため、リアルタイムでのディープフェイク生成が必要とされるYouTubeやTwitchといった配信プラットフォームへの進出は、まだ限られています。
現時点では、配信中にリアルタイムでディープフェイクを使用できる技術やツールは少ないですが、そうした制約の中でもこのnoteで紹介する方法を使用すれば、この課題を解決できます。これにより、従来は後処理が必須だったディープフェイクが、リアルタイムで生成・適用されるようになり、配信中に自分の姿を理想的なキャラクターに変えることが可能になりました。
YouTubeやTwitchでは、顔出しに対する抵抗や、配信者の個性を際立たせるためにこの技術を活用する人が増えることが容易に想像でき、ファンティアのようにインフルエンサーとして成功するための新たな手段として注目されることでしょう。ディープフェイク技術を駆使すれば、自分の姿を現実以上に魅力的な外見に変えたり、ユニークなキャラクターを作り上げたりすることができ、従来の配信者との差別化を図ることができます。
このnoteでは、リアルタイムディープフェイクを使って美人配信者としてデビューするための具体的なステップを解説します。技術的な準備からキャラクター設定、配信プラットフォームの選び方まで、初心者でもすぐに始められるガイドとして、あなたの挑戦を後押しします。
リアルタイムディープフェイクを使いこなし、新たなエンターテインメントの世界で多くのファンを魅了するための第一歩を、一緒に踏み出していきましょう。
筆者は2023年2月より、Stable Diffusionを用いたAIによる美女画像生成を開始しました。X(旧Twitter)にてAIアカウントを開設し、幾度かバズを経験する機会にも恵まれました。
現在は引き続きAI美女の生成を行いながら、サブアカウントにてひっそりとディープフェイクに関する研究も並行して進めております。AI技術の発展とその応用に興味を持ち、クリエイティブな分野での可能性を模索しています。
2. ディープフェイクの基本知識
ディープフェイク技術を活用して配信者としてデビューするには、まずその仕組みや基本的な概念を理解しておくことが大切です。この章では、ディープフェイクの基礎知識を簡単に解説し、その可能性やリスクについても触れます。
2-1. ディープフェイクとは?
ディープフェイク(Deepfake)は、人工知能(AI)技術の一つで、ニューラルネットワーク(特にディープラーニング)を使用して、映像や音声を別の人物やキャラクターに変換する技術です。この技術は元々、特定の人物の顔や声を他の映像や音声に「合成」するために開発されました。例えば、映画俳優の顔を他の人物に置き換えたり、有名人の声を模倣したりすることが可能です。
2-2. どうやって作られるのか?
ディープフェイクは膨大なデータセットを使用して、AIモデルを訓練することで作成されます。モデルは対象人物の顔の特徴や動き、音声のトーンやイントネーションを学習し、それらを元にして映像や音声を生成します。従来のディープフェイクは、元になる映像や音声を撮影した後にそのデータに対して処理を加える「後処理」が基本でしたが、近年はリアルタイムでの生成が可能になってきています。
2-3. リアルタイムディープフェイクの進化
リアルタイムディープフェイク技術は、ユーザーがカメラの前で話したり動いたりするたびに、瞬時に別の顔や声に変換することができる技術です。これは従来のディープフェイク技術とは異なり、リアルタイムで処理が行われるため、YouTubeやTwitchといったライブ配信プラットフォームでの活用が注目されています。まだ初期段階ではありますが、今回紹介するアプリはこの領域でのリーダーとなりつつあり、これにより誰でもリアルタイムで自分の姿を自由に変えることが可能になりました。
2-4. ディープフェイクの可能性とリスク
ディープフェイクは、エンターテインメント業界やSNSでのキャラクター作りにおいて大きな可能性を秘めています。たとえば、自分の容姿に自信がない人でも、理想の顔や体型に変身して配信活動ができ、クリエイティブなキャラクターを作り出すことができます。また、アニメキャラや著名人になりきることで、視聴者に楽しんでもらうことも可能です。
しかし、ディープフェイクにはリスクもあります。なりすましやプライバシー侵害といった問題があり、違法に使用されるケースも増えています。倫理的な観点からも、自分自身だけでなく、他者に悪影響を与えないように注意が必要です。ディープフェイクを使用する際には、エンターテインメントの範囲内で責任を持って利用することが求められます。
3. リアルタイムディープフェイクとは?
リアルタイムディープフェイク技術は、配信者やクリエイターがライブ中に自分の顔や声を瞬時に別の人物やキャラクターに変換する革新的な技術です。従来のディープフェイクは、事前に録画された素材に後処理を施すことが主流でしたが、リアルタイムディープフェイクでは、カメラに映ったその瞬間に変換処理が行われます。この技術を使えば、顔出しに抵抗のある人や匿名で活動したい人が、美人キャラクターや他の理想の姿でライブ配信を行うことができます。
3-1. リアルタイムディープフェイクの仕組み
リアルタイムディープフェイクは、顔のトラッキング技術と高度なAI処理を組み合わせて実現されています。カメラが捉えた顔の動きや表情をAIが解析し、それを瞬時に選択したキャラクターに反映させます。この処理には高度なグラフィック処理能力が求められますが、近年のGPU(グラフィック処理ユニット)の進化により、リアルタイムでの変換が可能になっています。
3-2. リアルタイムディープフェイクのメリットと制約
リアルタイムディープフェイクを使用することで、配信者は自分の外見や表情を好きなキャラクターに瞬時に変えることができ、視聴者に新しい体験を提供できます。これにより、顔出しの不安を抱える人でも配信活動を始めやすくなるほか、よりクリエイティブで独創的なキャラクターを使ったエンターテインメントが可能になります。
しかし、その一方で、リアルタイム処理は高い処理能力を必要とするため、低スペックのPCでは遅延や映像のカクつきが発生する可能性があります。適切な機材とインターネット環境を用意し、配信のクオリティを保つことが重要です。
3-3. リアルタイムディープフェイクの実現に向けて
このnoteでは、比較的高性能なWindows PCを使い、リアルタイムディープフェイクを活用して配信を行う具体的な方法を紹介していきます。今回紹介するアプリを使って、自分の顔を美人キャラクターやオリジナルキャラクターに変身させ、YouTubeやTwitchなどのプラットフォームでライブ配信を行う手順を解説します。
筆者はゴツめの男性のため、今回美人配信者になるサンプルはお出しできませんが、リアルタイムでこれくらい変われるというサンプル動画をいくつか掲載します。
サンプルはすべてリアルタイムで処理し、OBSで録画しています。
※今回紹介する方法は、撮影された顔に対してディープフェイクの処理を行います。その際、サンプルをご覧いただければわかるように、顔の形や髪型、髭などに対しては大きく変わることがありません。なので輪郭や体型が大きく異なる人物になることはできません。髪型(ウィッグ)や服装は自前で対応する必要があります。逆に言えばそこさえ対応すれば、顔はディープフェイク、声はRVCなどで性別も超えることが可能になります。初心者でもすぐに始められるように、アプリの導入方法から設定、配信に必要な機材選びまで、細かく説明しますので、この技術を使ってあなたの理想の配信者デビューを実現しましょう!
4. リアルタイムディープフェイク配信に必要な環境
リアルタイムディープフェイクを使ってスムーズに配信するためには、一定のハードウェアとソフトウェアが必要です。この章では、このnoteで紹介する配信方法を実現するために必要な機材や環境について説明します。高品質な配信を行うために、以下のスペックやツールを揃えておきましょう。通常のPCに比較すると高スペックな構成になりますが、動画配信を行うと考えると比較的安価な部類(25万円前後)になるかと思います。少し高性能なゲーミングPCレベルで今回リアルタイムディープフェイクを実現しています。
4-1. Windows 11搭載PC
リアルタイムディープフェイク処理には、強力なPC環境が必要です。特にディープフェイクは高度なグラフィック処理を伴うため、GPUとメモリのパワーが重要になります。
- OS: 必ずWindows 11を搭載しているPCが必要です。最新のOSであれば、最新のディープフェイクソフトや関連ツールに対応しており、処理の安定性が向上します。
4-2. 必要なPCスペック
リアルタイム処理と配信を両立させるために、PCのスペックは次のように設定します。
- CPU: Intel Core i7 以上 または AMD Ryzen 7 以上
- メモリ (RAM): 32GB以上ディープフェイク処理には多くのメモリを消費します。32GBのRAMが推奨されており、これにより複数のプロセスを同時に処理し、パフォーマンスが落ちることなく配信を行うことが可能です。ディープフェイク自体には16GBあれば対応可能ですが、同時に配信を行うことを考えると32GBあるほうが無難です。
- GPU (グラフィックボード): NVIDIA RTX 3060 (12GB) 以上リアルタイムディープフェイクにおいて最も重要なのがGPUの性能です。RTX 3060 以上のGPUが必要で、このレベルのグラフィックボードはディープフェイクの生成と映像処理を高速で行うことができます。また、GPUメモリは12GBを確保することで、大量のデータ処理にも耐えられるようになります。
4-3. Python 3.10
ディープフェイク関連のソフトウェアやツールは、多くの場合Pythonで開発されています。このnoteで紹介する方法を実行する際も、Python 3.10 が必須となります。
- バージョン固定: Python 3.10以降のバージョンではなく、必ず3.10をインストールしてください。ディープフェイク関連のライブラリやツールが特定のPythonバージョンに依存しているため、これを厳守することでソフトの互換性や動作の安定性を保ちます。
4-4. WebカメラまたはiPhone
リアルタイムでディープフェイクを適用するためには、カメラの映像が必要です。Webカメラを用意するか、iPhoneをカメラとして活用する方法があります。
- 高性能なWebカメラ: 1080p以上の解像度を持つWebカメラを推奨します。解像度が高いほど、ディープフェイクの精度やトラッキングの品質が向上し、自然な表情や動きが反映されやすくなります。
- iPhone + EpocCam: iPhoneをWebカメラとして使用することも可能です。その場合、EpocCamというアプリをインストールし、PCに接続してWebカメラとして利用します。iPhoneのカメラは非常に高画質であり、Webカメラよりも高品質な映像を提供できるため、よりスムーズな配信が期待できます。
4-5. インターネット環境
リアルタイムでディープフェイクを適用しながら配信を行うためには、安定した高速インターネット回線が必要です。特に高解像度の配信を行う場合、上り(アップロード)速度が重要となります。
- 推奨速度: 最低でも20Mbps以上のアップロード速度を確保することで、遅延なくクリアな映像を視聴者に届けることができます。光回線などの高速インターネット接続を準備することが推奨されます。