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「Softly」by jununo

木本メイコはいつも通り起床し、朝食をとっていた。今日はヨーグルトとブラックコーヒーでぼんやりした頭を目覚めさせる。ふと昨日の出来事を思い出していた。仕事帰り、友人と寄ったライブハウス。学生時代は多少入ったことのある場所だったが、それも若さのノリで過ごしていた為、一部始終の記憶や印象は覚えてなどいない。ただ無縁に近い音楽をここへ来ればたしなむことができるものとして、なんとなくあった記憶、それがライブハウスの印象だった。

友人のお気に入りのバンドが演奏を始めるとなんだか違った空気が流れ、ライブハウスを包み込む。バラードっぽい曲だったと思うけど特に1曲は感情がこもっていて表現が素晴らしかったのを覚えてる。ステージが終わるとメンバーと友人を介して会った。

「こんばんわ、はじめまして」

初対面だったメイコは挨拶と軽い自己紹介を始めた。自分は薬剤師をしていることと、音楽は好きだが演奏するまでに至ったことがないこと。そしてメンバーの演奏はとても良かったと付け加え言葉を待つことにした。

「ありがとうございます!」

ボーカルのカナトは返事に喜びを含め、同じく自己紹介した。

フィーリングはとても良かった。

そして、ブラックコーヒーも効き目を出してきた頃、着替えをし職場へ向かう。通勤路は極端には変えてないが、気分で道を選ぶ。分かれ道、どちらでもさほど変わりないルートになるが今日は昨日とは違う道を選ぼうとしたその時だった。

ドン!

勢い良くなにかとぶつかった。

転んで座り込んで、見上げた視線の先はなんと、カナトだった。

「すいま・・・え?」

二人は目を疑い、そして笑顔がこぼれた。

「カナトさん?」

なにかを言いかけたカナトを遮って名前を呼んだのはメイコの方だった。安堵に包まれたのはカナトがメイコの名前をしっかり憶えていた頃だった。近所に住まいがあることを知って最寄り駅まで二人で会話しながらの通勤になった。

駅に着き、乗る方向は別々だった。

「またね!メイコさん」

手を挙げ電車に乗り込んだと同時にカナトの姿も通勤のその中に紛れていった。残った余韻で職場まで時間が潰せそうだ。一日の始まりにしては景気のいい一日。

職場に着き、早速友人にメッセしてみた。偶然が偶然をよんだこの出来事を友人もさすがに驚いていたようだ。返信を待つと返ってきたのは、

{連絡先聞いた?}

だった。うっかり会話が弾み過ぎて連絡先の交換など今の今まで浮かばなかった自分に対し少し後悔をした。しかし、もし友人が知っていれば、介してでも連絡先の交換はできる、そう思った頃、始業の時間。このことは昼まで逆に休憩だ。

夕方。色々立て込んで忙しい一日だった。無論、友人にも連絡はとれてない。疲れを癒したいと思いながら気持ちは自宅へ一直線。着替えを済まし、お疲れ様の挨拶を交わし職場の出口へ向かう。ドアを開け勢いよく出た瞬間だった。またなにかとぶつかって転んだ。見上げると、

「木本さん」

職場の先輩Y♂が待ち構えていた。Yは同期で慎重な性格がありつつもどこか強引なところもある、といった印象だった。

「忙しかったようだね」

軽くねぎらいともとれる言葉を放ち返答を待っていたようだ。

「そうですね、世間的には給料日だから関係してるかも」

Yはなにかを言いかけたが、メイコは半ば遮って

「ではお疲れ様!」

とその場を後にした。

そして夕暮れの街に溶け込む。疲れ切ったサラリーマンや夜職の女の子が歩いてる。様々な人々とすれ違い、電車に乗った。スマホを取り出し連絡チェックしてたら友人から連絡が入ってた。内容はカナトからの伝言で連絡先を教えてほしいとのことで、メイコの返信待ちだそうだ。。直感的に頭の中が明るくなり、考えなくても答えが出ていた。私も話したいな・・・。

帰宅。シャワーを浴びたい。でも軽く食事の用意をしてからの方が事がスムーズだ。あれこれ家事も片付け全て済んだ頃は20時を回っていた。

「今日もお疲れ様・・・」

心も休まり、リラックスした頃、昨日のライブを思い出しなんとなくスマホを手にとった。知らない人からメッセが一通。どうやら友人は早速教えたらしく知らない人ではもちろんない、カナトだった。

{今日は偶然でしたね・・・}から始まって、内容はなんとも直球で分かりやすい{今度会いませんか?二人で}といった具合だった。無論嬉しくないはずがない。でも、もう少し二人のプロセスが欲しいと思いつつも返事はOK。来週の土曜日だったがたまたま空いていたのでその日に予定をした。さあ、ネイル、美容院などそれまでにこなす予定が一気にできた。張り切るメイコを夜の0時を告げていた。

忙しく過ごすうちに、気付けばあっという間の前夜だった。振り返るとなにもなかったようで実は一件だけそれなりの事件が起こった。それはY♂だ。

同じ日にデートに誘われたのだ。例にもよって突然誘われ、休憩室で気まずい時間を味わいなんとか断ったのだが、残念そうなYを見たらなんとなく憂鬱な気分になった。「今まではそんな素振りあまり見せなかったのに・・・」と。でもまあ予定通りの当日を迎えるのであった。


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