製造業の営業をしていると、顧客からこんな依頼が来ます。
「この図面で見積をお願いします」
図面を受け取ったら、社内に見積依頼を出す。
一見すると、それだけの仕事に見えるかもしれません。
ところが実際には、図面を受け取ってから見積を出すまでの間に、確認しておかなければならないことがたくさんあります。
材質、数量、公差、表面処理、検査、納期……。
確認を一つ見落としただけでも、
「もう一度見積してください」
「その条件では加工できません」
「その価格では赤字です」
「納期に間に合いません」
といったことが起こります。
実際、見積提出後に材質違い、公差の見落とし、表面処理、検査書類、納期などが判明すると、再見積や価格変更、納期調整が必要になる場合があります。
では、製造業の営業が図面を受け取ったとき、どこで失敗しやすいのでしょうか。
今回は、特に新人・若手営業がやりがちな5つを紹介します。
失敗① 「前回と同じだろう」と図面番号・改訂番号を確認しない
以前見積したことがある製品。
品名も形も同じ。
そんなとき、
「前回と同じ条件だろう」
と思ってしまいがちです。
しかし、図面は改訂されることがあります。
材質や寸法、公差、処理条件などが変更されている可能性があります。
以前の図面を使って見積をすると、
正しく計算したつもりでも、そもそもの前提条件が違う
ということが起こります。
「実績品だから大丈夫」
ではなく、
実績品だからこそ改訂を確認する。
これは意外と大切なポイントです。
失敗② 材質と数量を「あとで確認すればいい」と考える
図面を見ると、どうしても形状や寸法に目が行きます。
しかし営業として最初に確認しておきたいのが、
何で作るのか。
そして、
何個作るのか。
という基本条件です。
材質が変われば材料価格だけでなく、加工方法や加工時間が変わる可能性があります。
また、
1個だけ作る試作品なのか。
100個作る量産品なのか。
これでも見積の考え方は大きく変わります。
図面の形だけ見て見積を進めてはいけません。
失敗③ 寸法だけ見て「加工できそう」と判断する
図面の寸法を見ると、
「これくらいなら加工できそうだな」
と思うことがあります。
ところが重要なのは、数字そのものだけではありません。
例えば同じ寸法でも、要求される精度が厳しければ、加工方法や測定方法が変わります。
さらに、表面の仕上がり条件によっては追加工程が必要になることもあります。
PDF本編でも、寸法公差・幾何公差・表面粗さは、加工方法、工数、検査、追加工程、価格や納期に関わる情報として整理しています。
営業担当者が自分で加工可否を判断する必要はありません。
大切なのは、
「これ、普通の加工ではないかもしれない」
と気づけることです。
失敗④ 図面だけ見れば見積できると思ってしまう
製造業の見積では、
図面に書かれていることだけを確認すればいい
とは限りません。
熱処理。
表面処理。
別紙仕様書。
検査成績書。
材料証明書。
客先独自の要求。
こうした条件が、図面の外に存在することがあります。
本編でも「図面の外にある条件」まで確認しないと、工程、納期、検査、書類準備などに影響すると整理しています。
営業では、
「図面に書いてないから関係ない」
ではなく、
「図面以外に何か条件はありませんか?」
という視点も必要になります。
失敗⑤ 分からないことを自分で推測して進める
これが一番危険かもしれません。
図面を見て、
「たぶんこういう意味だろう」
「前回もこうだったから大丈夫だろう」
「わざわざ聞くほどでもないだろう」
と判断してしまう。
しかし、その「たぶん」が間違っていた場合、見積条件そのものが変わってしまいます。
分からないことがあるなら、
加工については製造担当者。
材料については購買担当者。
品質については品質管理担当者。
顧客要求が分からなければ顧客。
必要な人に確認すればいいのです。
営業担当者の役割は、すべての専門知識を自分で持つことではなく、必要な情報を集め、必要な人につなぎ、見積条件を整理することです。
5つに共通していること
今回紹介した失敗には、共通点があります。
それは、
「知らないこと」よりも「確認せずに進めてしまうこと」が問題になる
ということです。
新人営業が、図面を見ただけですべて判断できる必要はありません。
むしろ、
「ここは確認した方がいい」
「これは自分だけで判断しない方がいい」
「客先に聞いておこう」
と気づけることの方が重要です。
経験を積むと、図面を見た瞬間に気になるところが少しずつ目に入るようになります。
しかし新人のうちは、
そもそも何を確認すればいいのかが分からない。
そこで、今回、
「そのまま見積して大丈夫?
製造業営業が図面を受け取ったら 最初に確認する15項目」
という実務資料にまとめました。
本編では、
- 図面を受け取った直後に確認すること
- 加工・精度要求を見るポイント
- 図面以外に確認する条件
- 見積後の赤字やトラブルを防ぐ確認
- 見積提出前の最終確認
という流れに沿って、15の確認ポイントを具体的に解説しています。
さらに最後には、実際に図面を受け取ったときに使える**「図面受領時チェックリスト」**も収録しています。
この資料は暗記するためのものではありません。
図面が届いたときに、
「何か確認漏れはないか?」
と立ち止まるための資料です。
最初は本文を見ながら。
慣れてきたらチェックリストだけを見る。
そんな使い方を想定しています。
製造業の新人・若手営業の方や、
「見積前の確認項目を一度整理しておきたい」
という方に使っていただければと思います。
