🧾古物商が毎日残す仕入れ記録5項目と利益判断の実務基準
無在庫・Base・家電・古着せどりマスター
中古品を仕入れて販売する古物商には、取引内容を帳簿などへ記録する義務があります。
ただし、レシートを保存するだけでは、相手方の年齢や本人確認方法などが抜けることがあります。反対に、法定項目だけでは「どこで仕入れると利益が残るか」までは分析できません。
そこで本記事では、2026年8月時点のルールを基に、法令対応と利益管理を一度に済ませる記録方法を整理します。
📝 仕入れの都度記録する法定項目
古物営業法第16条(https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108)では、古物を受け取ったときなどに、取引内容を帳簿や電磁的方法で記録するよう定めています。
仕入れ時に押さえる法令上の必須記録は、次の内容です。
・📅 取引年月日
商品を受け取った日を記録します。注文日、決済日、受取日が異なるネット仕入れでは、それぞれを分けて残すと確認しやすくなります。
・📦 古物の品目と数量
「カメラ1点」「ゲームソフト3点」のように記録します。原則は一品ごとの記載です。書籍は、同じ相手から同時に受け取ったものなら「コミック20冊」など、一定のまとめ方も認められています。
・🔎 商品の特徴
メーカー、型番、色、製造番号、傷、付属品など、その商品を特定できる情報です。「家電」「時計」だけでは不十分です。「SONY WH-1000XM4、黒、製造番号123456、右側に擦れ」のように書きます。
・👤 相手方の住所、氏名、職業、年齢
生年月日を記録すれば、年齢の記載として扱える場合があります。古物商同士の仕入れでも、相手方確認が当然に免除されるわけではありません。
・🪪 本人確認で取った措置
運転免許証、マイナンバーカードなど、何を使って確認したかを記録します。証明書番号などを残す場合は、閲覧権限や保管場所も決めておきましょう。
警察庁の解釈基準(https://www.npa.go.jp/laws/notification/070820_kobutu_kaisyakukijyun.pdf)では、1週間分や1か月分を後からまとめて記載する運用は認められず、少なくとも当日分は当日中に記載するのが原則とされています。
帳簿は、最終記載日から3年間の保存が必要です。電子保存も可能ですが、営業所ですぐ書面表示できる状態にしておきます。
⚠️ 1万円未満でも記録が必要になる商品
買受けの対価の総額が1万円未満なら、相手方確認と帳簿記載は原則として免除されます。ただし、商品単価ではなく、一度に持ち込まれた商品の合計額で判断します。
さらに、盗品流通の危険が高い次の商品は、1万円未満でも原則として本人確認と記録が必要です。
・🏍️ オートバイとその部品
・🎮 家庭用コンピューターゲームソフト
・📚 CD・DVD類、書籍
・🔌 電線、エアコン室外機、電気温水機器のヒートポンプ
・金属製グレーチング
室外機、電線、グレーチングなどは、2025年10月1日施行の規則改正で対象に追加されました。詳しくは警視庁の改正案内(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/kobutsu_sekoukisoku.html)で確認できます。
また、ネットオークションやフリマアプリで仕入れる場合、免許証画像を受け取るだけでは、適法な非対面本人確認にならないことがあります。電子署名、本人限定受取郵便、転送不要の簡易書留と本人名義口座の組み合わせなど、法令所定の方法が必要です。
免除対象の仕入れでも、利益管理用の記録は残しましょう。「記録義務がない」と「記録しない方がよい」は別の話です。
💰 法定台帳に利益管理項目を加える
利益を作るには、法定項目とは別に次の数字を残します。
・仕入れ価格
・想定売価
・販売手数料
・送料と梱包費
・清掃、修理、部品交換費
・想定利益と実利益
・出品日、販売日、在庫日数
・仕入れ先と販売先
・注文番号、レシート番号、商品URL
たとえば、中古カメラを仕入れるケースを考えます。
・仕入れ価格:18,000円
・想定売価:29,800円
・販売手数料:2,980円
・送料:750円
・梱包費:300円
・清掃・部品代:500円
・想定利益:7,270円
・想定利益率:約24.4%
計算式は「29,800円-18,000円-2,980円-750円-300円-500円」です。
この形で記録すれば、値下げ後の利益もすぐ再計算できます。たとえば売価を27,800円へ下げると、ほかの条件が同じなら利益は5,470円まで下がります。
月末には、仕入れ先別に次の数字を集計します。
・仕入れ件数
・販売できた件数
・平均利益
・平均在庫日数
・赤字件数
・返品・故障件数
見るべきなのは、一度だけ出た大きな利益ではありません。仕入れ先別に再現できる利益です。平均利益が高くても在庫日数が長い仕入れ先は、資金を止める原因になります。
🔍 仕入れ判断を8項目で採点する
仕入れ前に、次の8項目を確認します。
1. 相手方確認と記録ができる
2. 型番や製造番号で商品を特定できる
3. 盗品や不自然な取引を疑う事情がない
4. 直近30日以内の売却実績を3件以上確認できる
5. 想定利益が5,000円以上残る
6. 想定利益率が20%以上ある
7. 30日以内の販売を見込める
8. 傷、欠品、修理費を原価へ反映している
先ほどの中古カメラで、最初の7項目を満たし、修理費だけ確認できていないなら、集計は「適合7・未確認1」です。
目安は8項目中6項目以上ですが、すべてを点数だけで判断してはいけません。
✅ 利益条件が1項目足りないだけなら、値下げ交渉や販売先の変更を検討できます。
❌ 本人確認ができない、商品を特定できない、盗品の疑いがある場合は、合計点が高くても仕入れを見送ります。不正品の疑いがあるときは、警察官への申告が必要になる場合があります。
利益基準は販路によって調整します。返品率が高い家電なら利益率25%以上、回転の速い定番ゲームなら利益額3,000円以上など、自分の実績から基準を更新しましょう。
⏱️ 毎日10分で記録を完了する手順
記録漏れを防ぐには、帰宅後にまとめるのではなく、商品を受け取った流れで処理します。
1. 受取時に証拠を保存する
商品、型番、製造番号、傷、レシートを撮影します。
2. 管理番号を発行する
「20260812-CAM-001」のように、日付、カテゴリ、連番を組み合わせます。
3. 当日中に法定項目を入力する
取引年月日、品目、数量、特徴、相手方情報、本人確認方法を記録します。
4. 利益計算を入力する
仕入れ価格、想定売価、手数料、送料、修理費、想定利益を登録します。
5. 証拠と販売情報をひも付ける
レシート画像、注文番号、出品URL、販売日を同じ管理番号へまとめます。
失敗しやすいのは、商品名を「カメラ」とだけ書く、レシート画像と在庫番号が分かれる、売れた後に実利益を更新しない、といった運用です。
帳簿、在庫表、利益表を完全に別管理すると、同じ商品を何度も探すことになります。管理番号を共通キーにして、法令対応、在庫確認、利益分析を一つの流れにしましょう。
なお、本人確認方法や必要項目は取引形態によって異なります。非対面買取を始める場合や判断に迷う商品がある場合は、営業所を管轄する警察署の古物担当へ事前に確認してください。
