見本を作ろうとファイルを開いたのに、デザインや実績の見せ方まで気になり、白紙のまま閉じてしまいます。そんな止まり方があります。
作れないからではありません。「最初の見本」と「応募に使うポートフォリオ」を、一度に完成させようとしているからです。
この記事では、前回の棚卸しで選んだ経験を、1ページの見本に変える30分の使い方を示します。完成例まで見れば、どこで作業を終えてよいか分かります。
最初の見本は、ポートフォリオの完成版ではありません
いま作るのは、自分の実力をすべて証明する資料ではありません。1つの依頼を想定し、情報をどう整理して、どんな形で返すかを確かめる1ページです。
経歴、自己紹介、複数の作品、きれいな表紙は、まだ要りません。最初から全部をそろえようとすると、書く前の準備だけで30分が終わります。
まず必要なのは、「この作業なら、最初から最後まで一度通せた」と自分で確認できるものです。1ページあれば十分です。
1ページに入れるのは4つだけです
見本には、次の4項目を上から順に置きます。
- 見本名 — 何を作ったのか
- 想定する相手 — 誰が読むのか
- 相手の困りごと — 何を分かりやすくするのか
- 作成物と確認メモ — 実際に作ったものと、見直した点
題材は、前回の棚卸しで丸を付けた1行から選びます。前回の記事を読んでいない場合は、仕事や生活で何度も説明してきた手順を1つ選んでください。
見本の目的は、得意さを大きく見せることではありません。相手と困りごとを決めて、1つの形にできると示すことです。
30分を「5分・15分・7分・3分」に分けます
時間を区切ると、途中でデザインや別の題材へ広がりにくくなります。
| 時間 | やること | 終了の目安 |
| 0〜5分 | 見本名、相手、困りごとを書く | 3項目が各1行になっている |
| 5〜20分 | 作成物を最後まで書く | 途中の空欄がない |
| 20〜27分 | 事実、順番、不要な情報を確認する | 直す箇所が残っていない |
| 27〜30分 | ファイル名を付けて保存する | 1ファイルを開き直せる |
書き出しで止まる場合だけ、AIに順番の整理を頼みます。そのときは、「次の情報だけを使い、初めて読む人向けに並べ替えてください。新しい条件や事実は足さないでください」と伝えます。
AIが足した固有名詞、日付、料金、条件は、そのまま見本へ入れません。自分で確かめられる情報だけを残します。
例:接客経験を短い案内文に変えます
ここでは、前回の棚卸しに出した「予約変更の案内」を使います。実績ではなく、作り方を示すための架空の例です。
| 項目 | 内容 |
| 見本名 | 予約変更を案内する短いメール文 |
| 想定する相手 | 初めて予約日時を変更するお客様 |
| 相手の困りごと | 変更のために、何を伝えればよいか分からない |
件名:ご予約変更の確認
ご連絡ありがとうございます。変更をご希望の場合は、次の3点をお知らせください。
・現在の予約日時
・変更を希望する日時
・予約したお名前
空き状況を確認した後、変更後の日時をご案内します。ご案内が届くまでは、変更前の予約内容が有効です。作成物(架空の例)
確認メモ
- 相手が送る情報を3点に絞った
- 変更が確定する時点を最後に書いた
- 架空の料金や受付時間を足していない
この形なら、文章の長さよりも「誰の、何を、どう分かりやすくしたか」が見えます。最初の見本で確かめたいのは、そこです。
今日の一手:1ファイル保存して終えます
今日やることは1つです。30分のタイマーをかけ、4項目を使って1ページの見本を作り、ファイル名を付けて保存してください。
ファイル名は「最初の見本_作ったもの_日付」で構いません。完了条件は、保存した1ファイルを開くと、想定する相手、困りごと、作成物、確認メモの4つが埋まっていることです。
表紙を整える、別の見本を増やす、プロフィールを書く作業は、今日はしません。最初の見本は、次に直す場所を見つけるための1回目です。
