ドゥラックアセットマネジメント深掘り解説|地熱ファンドはどのような投資なのか
Mr. Bear
再生可能エネルギーへの投資と聞くと、太陽光発電や風力発電を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、日本が保有する地下資源を活用する投資対象として、近年あらためて注目されているのが地熱発電です。
ドゥラックアセットマネジメントについて調べるなかで、地熱ファンドがどのような投資なのか気になっている人もいるでしょう。地熱ファンドは、単純に発電設備へ資金を出すだけの商品ではありません。地下資源の調査、発電設備の取得や運営、売電収入の管理、保守費用の支払いなど、複数の事業要素を組み合わせたインフラ投資です。
そのため、地熱発電の環境面だけを見るのではなく、収益が生まれる仕組み、事業期間、技術的な不確実性、契約条件、資金回収までの流れを総合的に確認する必要があります。
地熱ファンドとは何か
地熱ファンドとは、投資家から集めた資金を地熱発電に関連する事業へ投じ、その事業から生まれる収益を原資として投資家への分配を目指す仕組みです。
主な投資対象には、地熱発電所そのものだけでなく、発電設備を所有する事業会社、地下の熱水や蒸気を取り出すための坑井、送電設備、土地の利用権、発電所の運営権などが含まれる場合があります。
一般的な構造では、ファンドが地熱発電事業を行う事業体へ出資または融資を行います。事業体は調達した資金を使って設備の取得、建設、改修、運営などを進め、発電した電力を売却します。
売電によって得た収入から、運転管理費、修繕費、保険料、借入金の返済、ファンドの管理費用などを差し引き、残った利益が分配原資となります。
つまり、地熱ファンドの収益性を判断するには、表示されている想定利回りだけでなく、売電単価、年間発電量、稼働率、借入条件、運営費用などを確認することが重要です。
地熱発電はどのように収益を生み出すのか
地熱発電は、地下深くに存在する高温の蒸気や熱水を利用してタービンを回し、電力を生み出す発電方法です。太陽光や風力とは異なり、天候や昼夜による影響を比較的受けにくく、地下資源の状態と設備が安定していれば継続的な発電を期待できます。
地熱ファンドの基本的な収益源は、発電した電力の売却代金です。したがって、投資判断では次の流れを理解しておく必要があります。
投資家による出資↓発電事業への資金提供↓地熱発電設備の取得・建設・運営↓発電した電力の販売↓事業費用や借入返済の支払い↓残余利益から投資家へ分配
売電価格が一定期間固定される契約であれば、将来の収益を比較的予測しやすくなります。一方で、市場価格に連動する契約では、電力価格の変動が事業収益に影響する可能性があります。
また、年間の売上は「発電能力」だけでは決まりません。設備が実際にどれほどの時間稼働できたかを示す稼働率や、地下から十分な蒸気・熱水を確保できるかが重要です。
地熱ファンドに期待される特徴
地熱ファンドの特徴としてまず挙げられるのが、実物資産を基盤とした投資であることです。株式のように市場で日々売買される金融資産とは異なり、発電設備や地下資源を利用する事業から収益を得ます。
そのため、上場株式市場の価格変動とは異なる要因で収益が動く可能性があり、資産分散の候補として検討されることがあります。
また、地熱発電は天候に左右されにくいため、適切に運営されている発電所では比較的安定した発電量を目指せます。太陽光発電では日照時間、風力発電では風況が収益を左右しますが、地熱発電では地下資源の状態と設備稼働が中心的な要素になります。
ただし、「天候に左右されにくいこと」と「投資収益が保証されること」は同じではありません。発電設備の故障、蒸気量の減少、修繕費の増加、事業計画の変更などにより、分配額が想定を下回る可能性があります。
開発段階と稼働段階ではリスクが異なる
地熱ファンドを理解するうえで特に重要なのが、投資対象となる事業がどの段階にあるかです。
地熱発電事業は、大きく分けると資源調査、試掘、開発、建設、稼働という段階を進みます。初期の資源調査や試掘段階では、地下に十分な熱源や熱水が存在するかを完全に把握できません。
実際に掘削しても、想定した温度や蒸気量を得られない可能性があります。掘削費用が増加したり、追加の坑井が必要になったりすれば、事業費が当初計画を上回ることも考えられます。
一方、すでに発電を開始している設備へ投資する場合、過去の発電量や稼働率、修繕履歴などを確認しやすくなります。ただし、稼働済みだからといってリスクがなくなるわけではありません。
地下資源の状態は長期間にわたって変化する可能性があります。蒸気や熱水の量が減少すれば発電量が低下し、追加掘削や設備改修が必要になることもあります。
したがって、地熱ファンドを比較するときは、開発前の案件なのか、建設中なのか、すでに商業運転を行っているのかを確認することが欠かせません。
地熱ファンドで確認したい主なリスク
地熱ファンドには、一般的な金融商品とは異なる固有のリスクがあります。
第一に、地下資源リスクです。地熱発電では、地下の温度、圧力、蒸気量、熱水量などが収益性を左右します。事前調査を行っても、地下の状態を完全に予測することは困難です。
第二に、掘削リスクがあります。掘削工事には大きな費用がかかり、地質条件によっては工期が延びることがあります。追加工事が必要になれば、事業収支が悪化する可能性があります。
第三に、設備リスクです。タービン、配管、ポンプ、発電機などに不具合が発生すると、発電を停止しなければならない場合があります。停止期間が長くなれば、売電収入は減少します。
第四に、地域調整のリスクです。地熱資源は温泉地や自然環境と近い場所に存在することがあります。そのため、地域住民、温泉事業者、土地所有者、自治体などとの丁寧な調整が必要です。
第五に、流動性リスクです。私募型のファンドでは、上場株式のように自由に売却できない場合があります。運用期間中の途中解約が制限されている商品もあるため、当面使用する予定のない資金で検討することが基本です。
想定利回りだけで判断しないことが重要
地熱ファンドを比較するとき、想定利回りは分かりやすい指標です。しかし、高い利回りが表示されているからといって、それだけで優れた投資とは判断できません。
利回りを見る際には、その数字が税引前か税引後か、ファンドの管理報酬を控除する前か後か、元本償還を含む分配なのかを確認する必要があります。
特に注意したいのが、投資家へ支払われる金額のすべてが事業利益とは限らない点です。分配金に出資元本の一部払い戻しが含まれる設計では、受取額が多く見えても、実質的には自分の投資資金が戻っている場合があります。
そのため、収益性を確認するときは、分配金の内訳、元本償還の方法、運用終了時の資産売却方針まで読み込むことが重要です。
ドゥラックアセットマネジメントの地熱ファンドを見る視点
ドゥラックアセットマネジメントの地熱ファンドを検討する場合も、名称やテーマ性だけで判断するのではなく、具体的な投資構造を確認する必要があります。
確認したいのは、どの発電事業へ投資するのか、発電所がどの段階にあるのか、売電収入がどの契約に基づくのか、事業費の増加に備えた予備資金があるのかといった点です。
さらに、ファンドの運用期間、分配頻度、最低投資金額、途中解約の条件、管理報酬、成功報酬、借入金の割合も重要です。
借入金を利用すると、少ない出資金で大きな事業を運営できる一方、収益が下振れしたときには返済負担が投資家への分配に影響します。借入比率だけでなく、金利条件、返済順位、返済期限も確認したいところです。
また、発電事業の運営会社、設備管理会社、技術評価を担当する事業者など、関係者の役割が明確になっているかも判断材料になります。
投資前に確認したいチェックポイント
地熱ファンドの資料を見る際には、少なくとも次の項目を整理しておくと判断しやすくなります。
◇投資対象となる発電所や事業会社◇開発中か稼働済みか◇過去の発電量と設備稼働率◇売電契約の相手方と契約期間◇地下資源の調査方法と評価結果◇掘削費用が増えた場合の対応◇設備故障時の保険と修繕計画◇ファンドの運用期間◇分配金の計算方法◇管理報酬やその他の費用◇途中解約や持分譲渡の条件◇運用終了時の資産売却方法
これらの情報が十分に開示されていない場合は、想定利回りの根拠を評価することが難しくなります。資料に記載された数値だけでなく、前提条件やリスク説明まで確認する姿勢が必要です。
地熱ファンドは長期視点で考える投資
地熱発電は、日本が保有する地下資源を活用しながら電力を供給できる点で、大きな可能性を持つ分野です。天候に左右されにくく、継続的な発電を目指せることから、再生可能エネルギーのなかでも独自の位置付けがあります。
一方、地下資源を扱う以上、調査や掘削には不確実性が伴います。設備の取得後すぐに成果が確定する投資ではなく、長期間にわたる事業運営を通じて収益化を目指す投資です。
ドゥラックアセットマネジメントの地熱ファンドを理解する際にも、「環境に配慮した投資だから」「安定的な発電が期待できるから」という理由だけで判断するべきではありません。
投資対象、収益構造、事業段階、地下資源、運営体制、費用、流動性を一つずつ確認し、自分の資金計画やリスク許容度に合っているかを考えることが重要です。
地熱ファンドは、短期的な価格上昇を追う商品というより、発電事業の収益性と社会インフラとしての価値を長期的に評価する投資です。仕組みを正しく理解することが、適切な投資判断への第一歩となります。
