創業から半年、たった4人のチームが評価額2億米ドル超——AI映画の新騎手「Pika」はいかにして現れたのか

創業からわずか半年で、わずか4人のチームが評価額2億米ドルを超える快挙を達成しました。この話題のスタートアップ「Pika」について、今回はその興味深いストーリーをお届けします。

ジェネレーティブAI映画会社であるPika Labsは、ジェネレーティブAI市場で注目されるスタートアップ企業の一つとして名を挙げられています。アニメや3Dアニメーション、実写映画クリップの生成を得意とし、競合他社であるRunaway、Stability Ai、Adobeなどを凌駕し、僅か6ヶ月で5,500万米ドルの資金調達に成功しました。

Pika Labsは、最新の資金調達ラウンドでLightspeed Venture Partnersが主導し、3,500万米ドルを調達。現在では2億米ドル以上の評価を受けています。

さらに、Pika Labsは画像生成モデル「Pika 1.0」をリリースしました。このモデルは、ユーザーのさまざまなクリエイティブアイデアを実現することができます。3Dアニメーションやアニメ、映画など、様々なスタイルの動画に変換することができる他、オブジェクトやキャラクターを編集したり、既存の動画のシーン全体をペイントすることも可能です。

このツールのローンチは、ジェネレーティブAI映画の分野で大きな進歩を意味します。以前からこの分野で開発が進められてきたAdobeなど他のAI製品に対しても大きなインパクトを与えることとなるでしょう。

Pika Labsはわずか半年前に設立され、現在は共同設立者兼CEOであるDemi Guo氏、共同設立者兼CTOであるChenlin Meng氏、そして2名の従業員の計4人のチームで運営されています。

「Pika 1.0」は、「Idea to Video」のプラットフォームであり、あなたのクリエイティビティに新たな息吹を与えることができます。AIがあなたの動画の作成や編集を手助けしてくれます。

11月28日に公開されたPikaのデモ動画では、文字列から動画への変換や画像から動画への変換、動画のスタイル変更など、さまざまな機能が紹介されています。

それでは、Pika Labsの興味深いストーリーの始まりからご紹介いたします。

2023年4月、Stanford AI Lab出身のDemi Guo氏とChenlin Meng氏は、AI映画祭のコンペティションに参加するためにPika Labsを立ち上げました。しかし、既存のAIツールであるRunwayやAdobeを使用することが、スタートアップに最適な方法ではないことがわかったという。映画制作のプロセスが非常に面倒であることに気づいた彼らは、より使いやすい AI 映画ジェネレータを作りたいと考え、Pika を開発した。

Pika が Discord で発表されて以来、約50万人がこのソフトウェアを試し、今では Pika を使って、毎週何百万もの新しい動画が生成されている。ユーザはダイアログボックスにテキストを入力するだけで、対応する生成動画を受け取ることができる。この機能はインターネット上で直接検索できるようになり、ユーザを増やしている。また、生成された動画のオブジェクトをユーザ自身が編集できる新機能も導入された。Pika 1.0 は、文字列から映画への変換に加えて、動画から動画への変換もサポートしており、この機能を使えば、ムービークリップをアニメーションに変換するなど、既存の動画をまったく異なるスタイルに変換できる。

大学を中退し起業、評価額2億米ドル超の4人組スタートアップ

2人の共同創業者を含め、同社のフルタイム従業員は現在わずか4人だ。Guo 氏と Meng 氏はスタンフォード大学の博士課程に在籍し、コンピューターグラフィックス、自然言語処理、ジェネレーティブ AI を専攻していたが、今年初めに中退している。インタビューの中で Guo 氏は、モデルを素早く進化させる技術の開発に集中したかったため中退を選んだと語り、Pika が Midjourney のようなモデルと同じくらい早く進歩することが目標だと語った。

Pikaの創業者であり共同設立者兼CTOのDemi Guo（郭文景）氏とChenlin Meng（孟晨琳）氏は、スタンフォード大学の人工知能研究所（Stanford AI Lab）で出会い、起業の道を歩み始めました。

Guo氏はさらに、昨年生成された動画と1〜2ヶ月前の動画を比較すると、Pikaのモデルが劇的に改善されたことを付け加えました。投資家であるNat Friedman氏も、彼らの開発スピードの速さを賞賛しています。最初はアニメや漫画のコンテンツ開発に特化したいと思っていた2人の創業者でしたが、Friedman氏が実写映画の制作を提案し、数週間で困難な挑戦を完了させました。

新たな資金調達により、Guo氏は来年までにチームを20人に拡大し、その大半をエンジニアと研究者にする予定だと述べました。次にPika Labsは、映画ジェネレーターの商用版を発売し、映画で使用できる短編動画を制作することを目指しています。また、同社は将来的に段階的なサブスクリプションモデルを導入する可能性もあるとGuo氏は述べていますが、現時点では優先事項ではないとのことです。

これこそが、Guo氏がPikaを競合他社と差別化する方法です。彼らは高品質な映画を制作することの難しさとコストを理解しており、目標は、ホームユーザから映画のプロまで、Pikaを通じて高品質な映画を生活に取り入れることができるようにすることです。最後に、彼女はもしPika Labsが1年前に利用可能だったら、AI映画の分野でもっと競争力を持てたとも述べました。

Pikaが盛り上がっている最中に、ハプニングもありました。ある誰かが、Guo氏の父親が中国のフィンテック企業であるSunyardのトップであることがわかり、多くの中国の投資家が同社株を買いまくり、わずか1週間で株価が21%も急騰しました。しかし、Sunyardは上海証券取引所に申告書を提出し、Pika Labsとの関係はないこと、関連投資も行っていないことを明らかにしました。