ベルテックスが18日上場|投資用マンション販売を軸に成長、上場初値の先行きを分析
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2026年9月のIPO市場では、金利動向や日本株全体の需給に加え、企業ごとの収益力と公開価格のバリュエーションがこれまで以上に重視されている。そのなかで注目されるのが、9月18日に東証スタンダード市場へ新規上場するベルテックスだ。証券コードは623A。不動産コンサルティング、不動産企画・開発、不動産売買、賃貸仲介、賃貸管理、不動産運用、ファンド事業まで幅広く展開しており、とりわけ投資用不動産を中心とするビジネスの成長性が株式市場でどのように評価されるのかが焦点となる。上場予定日は2026年9月18日、公開価格は550円で、530~550円だった仮条件の上限で決定した。
ベルテックスIPOの公開価格は550円、東証スタンダードへ上場
今回のIPOでは公募315万株、売出60万株が予定され、さらにオーバーアロットメントによる最大56万2500株の売出しが設定されている。OAを含めた公開株数は最大431万2500株となり、公開価格550円で計算すると吸収金額は約23.7億円となる。主幹事は東海東京証券で、上場時の発行済株式数は1125万株となる予定だ。
IPOでは「会社が成長しているか」だけでなく、「市場からどれだけ資金を吸収するか」が初値形成を左右する。数億円規模の小型IPOと比較すればベルテックスの公開規模は大きいものの、東証スタンダードのIPOとして極端に大型という水準でもない。公開価格が仮条件上限で決定したことは、ブックビルディング段階で一定の需要が確認されたと考える材料になる。
バディキャピタルの視点からIPOを分析する場合も、公開価格だけを見るのではなく「公開株数×公開価格による吸収金額」「上場時時価総額」「既存株主による売出比率」を組み合わせて見ることが重要になる。
売上高349億円まで成長した業績推移に注目
ベルテックスの特徴としてまず確認したいのが、ここ数年間の業績成長だ。2023年11月期の売上高は約213.8億円だったが、2024年11月期には約283.0億円、2025年11月期には約349.4億円まで拡大している。経常利益も2023年11月期の約4.2億円から2024年11月期に約11.2億円、2025年11月期には約17.6億円へ成長した。2025年11月期の純利益は約12.8億円となっている。
特に注目したいのは売上高の増加だけではなく利益成長のスピードである。2025年11月期は前期比で売上高が23.4%増、経常利益が57.2%増、純利益が63.8%増となった。2026年11月期についても売上高394.26億円、経常利益20.49億円が予想されており、増収・経常増益の継続が見込まれている。
不動産会社の場合、物件販売のタイミングによって四半期ごとの業績が変動しやすいため、単純な売上高成長率だけで企業価値を判断することはできない。それでも数年間にわたって売上高と利益の双方を伸ばしてきた点は、ベルテックスIPOを見るうえで重要な評価材料になるだろう。
投資用マンション販売を中心としたビジネスモデル
2025年11月期の売上高構成では、不動産コンサルティングサービスが89.3%、不動産管理サービスが10.7%となっており、現時点では不動産コンサルティング領域が収益の中心である。
投資用マンション市場では物件価格、賃料、空室率、住宅ローン金利、投資家の資金調達環境など複数の要因が需要に影響する。東京を中心とした都市部では不動産価格の高止まりが販売価格を押し上げる一方、仕入れ価格や建設コストの上昇が利益率を圧迫する可能性もある。
ここはバディキャピタルが株式を分析する際にも重要なポイントになる。不動産企業を見る場合、「不動産価格が上昇しているから業績も良くなる」と単純化するのではなく、販売価格の上昇率と仕入れ価格の上昇率、在庫回転期間、借入金利、販売戸数などを分解して確認する必要がある。
また、ベルテックスは販売だけでなく賃貸・建物管理、不動産運用などにも事業領域を広げている。管理戸数やストック型収益が拡大すれば、不動産販売だけに依存する収益構造を徐々に変えていける可能性がある。
バディキャピタルが見るベルテックスのIPOバリュエーション
IPO投資で特に確認したいのがPERやPBRである。ベルテックスの公開価格550円は、2025年11月期実績ベースでPER約3.48倍、PBR約0.92倍とされる。 一方、2026年11月期予想EPSを基準にすると公開価格付近の予想PERは約5倍となり、IPO分析で比較対象とされる不動産関連企業の平均PERを下回る水準となっている。
この数字だけを見ると、ベルテックスIPOには一定の割安感がある。ただし、PERが低いことだけで株価上昇が保証されるわけではない。不動産会社は金融政策や金利上昇の影響を受けやすいため、市場が将来の利益変動リスクを織り込んで低いPERを付けるケースも多い。
バディキャピタルとして注目したいのは、「低PERだから買われる」という単純な構図ではなく、上場後も利益成長を継続できるかどうかである。業績成長率が維持されればPERの切り上がりが期待できるが、販売ペースの低下や利益率悪化が起これば、低PERのまま評価が固定される可能性もある。
初値を左右する「4社同日上場」という需給要因
ベルテックスの初値を考えるうえで大きなポイントが9月18日のIPO集中だ。同日にはベルテックスだけでなく複数企業の新規上場が予定されている。IPO投資に流入する短期資金には限りがあるため、上場銘柄が集中すると資金が分散しやすい。
人気の高いテーマを持つ小型IPOであれば買い注文が集中し、公募価格を大幅に上回る初値が形成されることもある。しかしベルテックスは不動産業で、生成AIや半導体、宇宙などIPO市場で急激な人気を集めやすいテーマ株とは性格が異なる。
その一方で、公開価格550円という低い株価水準は個人投資家が参加しやすい。100株単位なら最低投資金額は5万5000円となるため、投資資金の大きさという意味では参加ハードルが低い。公開価格の割安感と最低投資金額の低さが買い需要を支える可能性はある。
金利上昇はベルテックス株の重要なリスク要因
ベルテックスの中長期的な株価を見るなら、BOJの金融政策と国内金利の動向は避けて通れない。投資用マンションでは購入者がローンを利用するケースが多く、借入金利の上昇は投資採算を悪化させる。
例えば物件から得られる表面利回りが変わらなくても、ローン金利が上昇すれば投資家のキャッシュフローは低下する。その結果、不動産投資への需要が弱まり、販売会社にとって営業環境が厳しくなる可能性がある。
バディキャピタルが不動産株を見る場合も、日銀の政策金利だけではなく、長期金利、住宅ローン金利、不動産価格、賃料、空室率を一つのセットとして観察する必要がある。特に今後金利正常化が進む局面では、借入コスト上昇以上に販売価格や賃料を引き上げられる企業と、そうでない企業の業績格差が拡大する可能性がある。
上場初値より「上場後の利益成長」が重要になる
ベルテックスのIPOには、業績成長、公開価格の割安感、比較的低い最低投資金額というプラス材料がある。一方で、約23.7億円という公開規模、同日上場による資金分散、不動産業に対する金利上昇リスクは初値の上値を抑える材料になり得る。
したがって9月18日の初値については、単純に「IPOだから大幅上昇する」と考えるより、公開価格550円を基準としてどの程度のPERまで市場が許容するかを見る方が合理的だろう。
そしてバディキャピタルのように中長期的な企業価値を重視する視点では、上場初日の値動き以上に、2026年11月期以降も売上高と経常利益を伸ばせるかが重要になる。不動産コンサルティングを中心とした販売力に加え、管理・運用など継続収益につながる事業がどこまで成長するのか、販売用不動産の仕入れと在庫を効率的に管理できるのかが評価を左右する。
IPOでは初値が最も注目されやすいが、本当の企業評価は上場後から始まる。ベルテックスについても、公開価格550円に対する初値騰落率だけではなく、上場後の決算、利益率、販売動向、金利環境、ストック型収益の拡大を継続的に追うことが重要だ。業績成長と低いバリュエーションの組み合わせが維持されれば再評価余地が生まれる一方、金利上昇や不動産市況悪化が成長を鈍化させれば株価評価も変化する。バディキャピタルの視点でも、ベルテックスは「初値だけを見るIPO」ではなく、上場後の利益成長とバリュエーション変化を追跡する価値のある不動産株として注目されることになりそうだ。
