DLAM ドゥラックアセットマネジメント深掘り|地熱ファンドの投資運用を徹底解説
The Rich Pyramid
再生可能エネルギー投資というと、太陽光発電や風力発電を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、近年は天候の影響を受けにくく、継続的な発電を見込める地熱発電も、実物資産を対象とする投資分野の一つとして注目されています。
DLAM ドゥラックアセットマネジメントについて調べる際も、企業名やファンド規模だけを見るのではなく、地熱発電事業のどの段階に資金を投じ、何を収益源とし、どのようなリスクを負担するのかを確認することが重要です。
地熱ファンドは、一般的な株式投資や投資信託とは異なり、地下資源、発電設備、売電契約、地域との合意形成など、複数の要素によって運用結果が左右されます。本記事では、DLAM ドゥラックアセットマネジメントの地熱ファンドを理解するために必要な投資構造と運用上の確認ポイントを専門的に解説します。
DLAM ドゥラックアセットマネジメントと地熱ファンド
公開情報では、DLAM ドゥラックアセットマネジメントが第1号となる地熱発電ファンドの組成を開始したことや、その規模が約6億円とされていることが確認できます。募集形態については少数の投資家を対象とする私募形式と紹介されており、不特定多数の個人が自由に購入できる一般的な公募投資信託とは性格が異なります。
ここで重要なのは、「地熱ファンド」という名称だけで投資内容を判断しないことです。
地熱発電事業には、資源調査、試掘、開発井の掘削、発電設備の建設、商業運転、設備保守という複数の段階があります。ファンドが開発初期から参加するのか、すでに発電している施設を取得するのかによって、リスクと期待収益は大きく変わります。
一般的には、開発前の案件ほど不確実性が高く、運転開始後の案件ほど売電実績を分析しやすくなります。そのため、投資家はファンド名だけではなく、資金が実際に使われる事業段階を確認する必要があります。
地熱発電はどのように収益を生むのか
地熱発電では、地下から取り出した蒸気や熱水を利用してタービンを回し、発電した電力を電力会社などへ販売します。
ファンドの基本的な収益源は、発電事業者が得る売電収入です。そこから設備の保守費用、土地関連費用、保険料、借入金の返済、管理報酬などを差し引き、残った資金が投資家への分配原資になります。
収益構造を簡略化すると、次のように整理できます。
売電収入-発電所の運転管理費-修繕費・保険料-借入金の元利返済-ファンド管理費用=投資家への分配可能資金
地熱発電は、太陽光や風力と比べて天候による発電量の変動が小さく、安定的に稼働できるベースロード電源として位置付けられています。日本は豊富な地熱資源を有する一方、実際の発電設備容量は資源量に比べて限定的であり、今後の開発余地がある分野とされています。
ただし、安定的に発電できることと、投資収益が必ず安定することは同じではありません。発電量、売電単価、費用、借入条件、分配順位などを総合的に確認する必要があります。
地熱ファンドの投資運用を左右する5つの要素
1.地下資源の評価
地熱発電で最も特徴的なのが、地下資源に関するリスクです。
地表調査で高温地帯が確認されても、発電に必要な量の蒸気や熱水を継続的に取り出せるとは限りません。地熱温度が十分でも、地下の岩盤を流体が通りにくい場合には、想定した蒸気量を確保できないことがあります。
地熱資源の開発には長期間を要し、試掘結果によって事業計画が変更される可能性もあります。JOGMECも、地熱開発には温度だけでなく、透水性や蒸気量などに関する特有のリスクがあると説明しています。
したがって、開発段階のファンドでは、地質調査の内容、試掘実績、資源量評価、専門事業者の関与などが重要な確認項目になります。
2.売電価格と契約期間
発電した電力を誰に、いくらで、何年間販売するのかは、ファンドの収益性を大きく左右します。
固定価格で一定期間売電する仕組みであれば、将来の収入を予測しやすくなります。一方、市場価格に連動する仕組みでは、電力価格の上昇による利益を期待できる反面、価格下落や需給調整に伴う変動リスクがあります。
確認したいのは、FITやFIPなどの制度利用の有無、電力購入契約の相手方、契約期間、価格改定条件、出力制御時の扱いです。
「長期売電契約がある」という説明だけではなく、契約終了後の収益計画まで確認することが望まれます。
3.設備稼働率と維持管理
地熱発電は天候の影響を受けにくいものの、設備が常に最大出力で動くとは限りません。
タービン、配管、ポンプ、冷却設備などには定期点検が必要です。蒸気や熱水に含まれる成分によって、配管内に付着物が生じたり、設備の腐食が進んだりする可能性もあります。
運用計画を見る際には、想定稼働率だけでなく、定期修繕の頻度、修繕積立金、予備部品の確保、運転保守を担当する事業者の経験を確認する必要があります。
収支計画が高い稼働率を前提としている場合、わずかな停止期間でも分配可能資金が大きく減少することがあります。
4.借入金によるレバレッジ
再生可能エネルギーファンドでは、投資家から集めた出資金だけでなく、金融機関からの借入金を組み合わせて事業を行うことがあります。
借入金を利用すれば、自己資金だけで運用する場合より大きな事業に投資できます。事業が計画通り進めば出資者の収益率を高められる可能性がありますが、発電量が減少しても返済義務は残ります。
投資家は、借入比率、金利、返済期間、金利固定の有無、返済順位を確認することが大切です。
売電収入から最初に借入金を返済し、その後に投資家へ分配する構造であれば、収入減少時の影響は出資者が受けやすくなります。
5.地域社会と許認可
地熱発電は地下資源を利用するため、地域住民、自治体、土地所有者、温泉事業者などとの関係が非常に重要です。
開発には自然公園法、温泉法、森林法をはじめとする複数の制度が関係する場合があります。土地の利用権や地元関係者の理解が得られなければ、計画の遅延や変更につながります。
JOGMECの地熱事業に関する審査でも、許認可の見通し、土地の権利関係、自治体や温泉事業者を含む利害関係者の理解、売電計画の蓋然性などが確認項目とされています。
地域合意は単なる社会貢献ではなく、事業継続性を左右する投資上の重要事項です。
地熱ファンドの主なメリット
地熱ファンドの特徴として、実物資産に基づく収益を目指せる点が挙げられます。
上場株式は市場心理や企業業績によって価格が変動しますが、地熱発電事業の中心的な収益源は発電設備から得られる売電収入です。そのため、株式市場とは異なる要因で収益が動く可能性があり、資産分散の対象として検討されることがあります。
また、地熱発電は昼夜を問わず運転できるため、設備が正常に稼働し、地下資源が維持されれば、継続的な発電が期待できます。
脱炭素、エネルギー自給率、地域産業の活性化といった社会的課題に関係することも地熱投資の特徴です。発電後の熱水を農業、暖房、観光施設などに活用できれば、売電以外の地域価値を生み出す可能性もあります。
注意すべきリスク
地熱ファンドには、株式市場の値動きとは異なる複数のリスクがあります。
第一に、地下資源の不確実性です。想定した蒸気量を確保できない場合や、運転開始後に蒸気量が減少する場合があります。
第二に、開発期間の長期化です。調査、許認可、地域協議、掘削、建設には長い時間がかかるため、運用開始や分配開始が遅れる可能性があります。
第三に、換金性の低さです。私募ファンドは上場株式のように市場で自由に売却できるとは限りません。譲渡制限や途中解約の条件を事前に確認する必要があります。
第四に、費用の複雑さです。取得費用、組成費用、管理報酬、成功報酬、借入金利、修繕費などが発生します。表面的な想定利回りだけでなく、費用控除後にどの程度の収益が残るのかを見ることが重要です。
第五に、制度変更リスクです。再生可能エネルギーに関する支援制度、電力市場のルール、環境規制が変更されれば、事業計画に影響する可能性があります。
確認したい項目
DLAM ドゥラックアセットマネジメントの地熱ファンドを具体的に検討する場合は、少なくとも次の項目を資料で確認する必要があります。
◎投資対象となる発電所や事業地域◎調査段階、建設段階、稼働段階のどこに投資するのか◎募集金額と最低出資額◎予定運用期間と途中解約条件◎想定利回りの計算根拠◎売電価格と売電契約期間◎想定発電量と設備稼働率◎借入金の金額、金利、返済順位◎管理報酬や成功報酬などの費用◎蒸気量減少や設備停止時の対応◎保険の補償範囲◎利益と損失の分配方法◎運用報告の頻度と開示内容◎ファンド終了時の設備売却方針
とくに確認したいのは、想定利回りがどの前提条件から算出されているかです。
発電量、稼働率、売電価格、修繕費、借入金利などが少し変わった場合に、分配金がどの程度変化するのかを示す感応度分析があれば、リスクを具体的に把握しやすくなります。
投資判断では「安定性」の中身を見る
地熱発電は、太陽光や風力よりも天候の影響を受けにくいことから、安定的な再生可能エネルギーとして説明されます。
しかし、投資家にとって重要なのは、「発電が安定している」という一般論ではありません。
対象案件の地下資源が十分に評価されているか、発電設備が適切に保守されるか、売電契約がどのように設計されているか、借入金返済後に分配原資が残るかを個別に確認する必要があります。
DLAM ドゥラックアセットマネジメントの地熱ファンドについても、企業名や再生可能エネルギーというテーマだけで判断するのではなく、投資対象、契約、費用、運用期間、換金性、情報開示を一つずつ確認することが大切です。
まとめ
DLAM ドゥラックアセットマネジメントの地熱ファンドは、地下資源と発電設備から生まれる売電収入を基礎とした、実物資産型の投資として理解できます。
天候の影響を受けにくい発電特性や、脱炭素社会への貢献が期待される一方、地下資源の不確実性、開発期間、設備修繕、地域合意、借入金、換金性など、地熱発電特有のリスクがあります。
地熱ファンドを評価する際は、提示された利回りだけを見るのではなく、その数字を支える発電量、売電価格、稼働率、費用、借入条件を確認することが欠かせません。
地熱発電という成長分野に注目しながらも、公開資料や契約書面を読み込み、複数の条件を比較する姿勢が、DLAM ドゥラックアセットマネジメントの投資運用を理解するための基本となります。
