Season 1 出会いと約束
第1話 既読
既読はついていた。
でも、返信はなかった。
スマートフォンの画面には、最後に送ったメッセージが静かに残っている。
「元気?」
たった三文字。
…
昔は違った。
メッセージを送れば、数分もしないうちに返事が届いた。
「おはよう。」
「仕事はどう?」
「今日は何を食べたの?」
そんな何気ない会話が、僕たちの日常だった。
気がつけば、一日が終わるまで何十通ものメッセージを送り合っていた。
夜になると、ビデオ通話。
画面越しでも、君はいつも笑っていた。
その笑顔を見るだけで、日本での仕事の疲れが消えていった。
でも今は違う。
同じスマートフォン。
同じアプリ。
同じ「既読」。
なのに、心の距離だけが少しずつ遠くなっている気がした。
スマートフォンを閉じると、一枚の写真が目に入った。
2019年12月。
僕たちが初めて会った日の写真だった。
たった10分。
コーヒーを飲む時間さえなかった。
それでも、あの10分は僕の人生で一番幸せな時間だった。
写真を見つめながら、僕は静かにつぶやく。
「全部、あの日から始まったんだ。」
そして記憶は、二年前の夏へ戻っていく。
2017年8月。
Facebookに、一通のメッセージが届いた。
「はじめまして。
日本、いいですね。」
その一言が、僕の人生を変えることになるとは、この時の僕は、まだ知らなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この物語は、実話をもとにした恋愛小説です。
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次回へ続く――
作者より
この物語は、実際の出来事から着想を得て生まれたフィクションです。
登場人物や出来事の一部は、物語として再構成しています。
一話ずつ、心を込めてお届けします。
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
