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FPが検証:日銀利上げ時代、住宅ローンは変動でいいのか?FPが本気で計算してみた

FPが検証:日銀利上げ時代、住宅ローンは変動でいいのか?FPが本気で計算してみた

はじめに

住宅ローンを借りるとき、多くの人が悩む問題があります。

それが、「変動金利にするか、固定金利にするか」です。特に2024年以降、日本では長らく続いた「金利のない世界」が終わりました。

ニュースでは「日銀が利上げ」 「住宅ローン金利上昇」「変動金利は危険」という言葉が毎日のように流れています。

その結果

  • このまま変動で大丈夫なのか
  • 固定へ借り換えるべきなのか
  • 今から借りるならどちらを選ぶべきなのか

悩んでいる人は非常に増えています。今回はFPの立場から、感情論ではなく数字と家計の視点で、変動と固定の最終結論を考えてみます。

第1章 なぜ今このテーマが注目されるのか

住宅ローンの世界では長い間、「変動金利一択」とも言える時代が続いていました。

理由は簡単です。金利がほとんど上がらなかったからです。

例えば

  • 固定金利 1.8%
  • 変動金利 0.4%

なら、多くの人は変動を選びます。毎月返済額が大きく違うからです。

実際、住宅金融支援機構の調査でも、多くの利用者が変動金利を選択しています。

しかし状況は変わりました。

日銀がマイナス金利政策を終了し、政策金利を引き上げ始めたからです。

これまで「金利は上がらない」を前提にしていた人たちは、「もしかして返済額が増えるのでは?」という不安を抱くようになりました。

住宅ローン金利は何で決まるのか

そもそも住宅ローンの金利は、銀行が自由に決めているように見えますが、実際には金融市場の動向に大きく影響を受けています。

まず変動金利は、日銀が決定する政策金利の影響を強く受けます。

政策金利が引き上げられれば、銀行が資金を調達するコストも上昇するため、変動金利型住宅ローンの金利も上昇しやすくなります。

一方、固定金利は10年物国債利回りなどの長期金利を参考に決定されます。

そのため

  • 日銀が利上げを見送っていても固定金利が上昇する
  • 政策金利が上昇しても固定金利があまり動かない

という現象も起こります。つまり、

  • 変動金利  → 日銀の政策金利 → 短期金利
  • 固定金利 →  10年国債利回り → 長期金利

という異なる仕組みで決まっているのです。

金利は毎日変わるわけではない

「日銀が利上げしたら翌日から住宅ローン金利が上がる」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。

多くの金融機関では、前月末頃の市場金利をもとに翌月の適用金利を決定します。

例えば

  • 5月末に6月の適用金利を決定
  • 6月末に7月の適用金利を決定

という流れです。

そのため、ニュースで金利上昇が報じられても、住宅ローン金利への反映には一定のタイムラグがあります。

多くの金融機関では前月末頃の市場金利を参考に翌月の適用金利を決定します。

第2章 変動金利は本当に危険なのか

結論から言います。変動金利は危険ではありません。ただし、仕組みを理解せずに借りることは危険です。ニュースでは「金利上昇で住宅ローン返済額が増える」と報じられますが、実際には変動金利には返済額の急激な増加を防ぐ仕組みがあります。

5年ルールとは?

多くの変動金利型住宅ローンでは、金利が上昇しても毎月の返済額はすぐには変わりません。

通常は5年間は据え置かれます。

例えば

  • 毎月返済額 10万円
  • 借入残高 4,000万円

この場合、途中で金利が上がっても5年間は10万円のままです。これが「5年ルール」です。

125%ルールとは?

5年後に返済額を見直す際も、返済額が急増しないよう制限があります。

例えば、これまで10万円だった場合見直し後の返済額は最大でも

  10万円 × 125%=12万5,000円

以上です。これを「125%ルール」と呼びます。

図解:変動金利の仕組み

【借入時】

毎月返済額10万円= 利息2万円 +  元本8万円   借金は順調に減る  ↓【金利上昇後】

毎月返済額10万円(5年ルールで据え置き)= 利息5万円 +  元本5万円  借金が減るスピードが遅くなる  ↓【さらに金利上昇】

毎月返済額10万円 =  利息11万円 +  元本0円利息だけで返済額を超えるので利息分1万円が不足となる=未払利息

「未払利息」とは何か

ここが最も重要なポイントです。

金利が大きく上昇すると、本来支払うべき利息が毎月返済額を超える場合があります。

例えば

  • 本来の利息 11万円
  • 毎月返済額 10万円

だとすると、1万円足りません。

この不足分が「未払利息」となります。

図解:未払利息の発生

本来支払う利息11万円 - 実際に支払った利息10万円 =  支払えなかった利息1万円                        =未払利息

未払利息は消えるわけではない

未払利息は借金のように積み上がります。

1か月目 1万円2か月目 1万円3か月目 1万円

3万円

この金額は将来支払う必要があります。払いきれなかった「未払利息」は、累積が溜まると、最終返済で一括に支払うことになります。

つまり、毎月返済額が変わらなくても、実際には見えない借金が増えている状態になるのです。

「返済額が変わらない=安心」ではない

変動金利利用者の中には「毎月の返済額が変わらないから大丈夫」と思っている人もいます。

しかし本当に見るべきなのは返済額ではなく借入残高です。

金利上昇が続くと

  • 元本が減らない
  • 未払利息が増える
  • 借入期間終了時に負担が残る

可能性があります。

FPの視点

ただし、過度に恐れる必要もありません。

現在の日本の住宅ローン金利水準では、「未払利息」が実際に発生するケースはまだ多くありません。

むしろ重要なのは、「金利が上昇しても家計が耐えられるか」を確認しておくことです。

住宅ローンの本当のリスクは、金利そのものではなく、金利上昇に耐えられない家計状態にあることなのです。

FPのOutlook:変動金利は本当に危険なのか

ここまで変動金利のリスクについて説明してきました。

では、実際に「未払利息」が発生するような金利上昇は起こり得るのでしょうか。

私は現時点では、その可能性は高くないと考えています。

理由は変動金利の基準となる短期金利が、日銀の政策金利の影響を強く受けるためです。

現在の日銀は物価動向や景気への影響を見ながら慎重に利上げを進めています。

また、日本経済は人口減少や高齢化による構造的な低成長が続いており、欧米のような急激な利上げを行える環境にはありません。

さらに住宅ローン利用者は国民生活に大きな影響を与える存在です。

急激な利上げは家計を圧迫し、消費の減少を通じて景気を冷やす可能性があります。

こうした事情を考えると、私は今後数年で政策金利が大幅に上昇する可能性は限定的であると考えています。

世界情勢から(米国の要請等)、国内インフレ加速をみていると、少しは日銀も利上げせざるをえない状況にあると思います。

だからといって急激な利上げは避けられると思います。

その結果として、住宅ローン利用者が心配する未払利息が大量発生するような局面も、現時点では想定しにくいと見ています。

ただし、これはあくまで私の見通しです。

将来、

  • 想定以上のインフレ
  • 円安の加速
  • 財政不安
  • 海外金利上昇

などが起きれば、日銀の政策変更によって金利上昇ペースが速まる可能性もあります。

住宅ローンを選ぶ際には、「金利予想が当たるか」ではなく、「予想が外れた場合でも家計が耐えられるか」を重視するべきでしょう。

もちろん、変動金利には大きな魅力があります。

現在の住宅ローン市場では、固定金利に比べて低い金利で借りられるケースが多く、毎月の返済負担を抑えやすいというメリットがあります。

また、多くの金融機関では「優遇金利」が適用され、店頭金利(基準金利)から一定幅が差し引かれるため、実際の借入金利は市場で報じられる金利よりも低くなることが一般的です。

そのため、変動金利を選ぶこと自体が危険なのではありません。

大切なのは、金利上昇リスクの存在を正しく理解したうえで、自身の家計がどの程度の金利上昇まで耐えられるのかを把握しておくことです。

将来の金利を正確に予測することは誰にもできません。しかし、万が一予想が外れた場合でも家計が破綻しない選択をすることはできます。

住宅ローン選びで重要なのは、「金利を当てること」ではなく、「金利が想定と異なる動きをしても対応できる家計をつくること」なのです。

注意しておきたい2つのポイント

未払利息は放置してよいものではありません。

未払利息はそのままにしておくと蓄積されていくため、ローン本来の元金返済が終わったあとも未払利息が残っている場合は、最終回の返済時にまとめて清算(一括返済)することになります。

そのため、「毎月返済額が変わらないから大丈夫」ではなく、「借入残高や未払利息がどうなっているか」を確認することが重要です。

また、住宅ローンの契約内容によっては注意が必要です。

一般的に変動金利には「5年ルール」や「125%ルール」がありますが、すべての金融機関・商品で採用されているわけではありません。

なかには金利上昇時に毎月の返済額がその都度見直される商品もあります。

ご自身の契約内容がどうなっているか、一度確認しておくことをおすすめします。

第3章 固定金利は安心なのか

固定金利最大のメリットは、「将来の不確実性を排除できること」です。

例えば35年固定で借りた場合

  • 日銀が利上げしても
  • インフレが進んでも
  • 長期金利が上昇しても

毎月の返済額は変わりません。

教育費や老後資金の計画も立てやすくなります。一方で、その安心にはコストがかかります。

固定金利は、いわば「金利上昇保険」です。

将来の金利上昇リスクを銀行に引き受けてもらう代わりに、最初から高めの金利を支払う仕組みとも言えます。

つまり、金利があまり上昇しなかった場合には、結果的に変動金利より多く支払うことになります。

固定金利の本当の価値は、「得をすること」ではなく、「将来の不安を減らすこと」にあります。

また、変動金利だけでなく、固定金利にも優遇金利制度があります。

固定期間選択型は優遇条件も確認したいです。

住宅ローンには

  • 変動金利
  • 全期間固定金利
  • 固定期間選択型

があります。

固定期間選択型では、「当初10年間固定」「当初5年間固定」などの商品が代表的です。

この場合、金融機関によっては、固定期間中のみ大きな優遇金利が適用され、固定期間終了後は優遇幅が縮小されるケース、あるいは優遇自体がないものがあります。

例えば固定期間中基準金利2.5% → 優遇後0.9%  + 固定期間終了後基準金利2.5%                  あるいは変動金利に移行(優遇なし)

となる場合があります。

つまり、固定期間終了後の返済額が想定以上に増える可能性もあるのです。

住宅ローンを比較する際には、「今の金利」だけでなく、固定期間終了後にどのような条件になるのか最後まで確認しておくことが重要です。

金融機関が公表している店頭金利(基準金利)がそのまま適用されるケースは少なく、実際には一定幅の優遇金利が適用された金利で借り入れることが一般的です。

そのため住宅ローンを比較する際には、広告に表示されている金利だけでなく、実際に自分へ適用される金利条件を確認することが重要です。

第4章 FPが試算してみた


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「知らないと損する」をテーマに、 株価、物価、税金、社会保障、政治――ニュースの裏側を“生活とお金”の視点からFPが解説しています。 年金・税金・社会保険・投資・住宅ローン――“自分にどう関係するのFP が解説します。 CFP認定ファイナンシャルプランナー。

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