開業届を出したときは、仕事を一つに絞って書いた。
でも今は、最初の仕事に加えて別の売上も立っている——そんな個人事業主は少なくありません。
たとえば、Webライターが動画編集も請け負う。ハンドメイド販売に加えて、ワークショップを開く。美容室の運営者が、講師や商品販売も始める。
会社員の副業でも、デザイン制作とオンライン講座の両方から収入がある。こうした変化があると、「開業届を出し直す?」「仕事ごとに帳簿や申告を分ける?」と不安になりがちです。
先に整理したいのは、仕事の柱が増えただけなのか、事務所・住所・給与・申告方法なども変わったのかです。前半では、届出が必要かを見分ける確認順を紹介します。後半では、売上や経費を分けて記録する実例と、自分用の整理シートの作り方を説明します。
1. 「仕事が増えた」と「届出事項が変わった」を分ける
たとえば、開業時はWebライターだった人が、動画編集やオンライン講座の売上も得るようになったケース。個人事業を続けていて、事務所の新設・移転などもないなら、仕事の種類が増えただけで開業届を変更届として出し直す場面とは限りません。 国税庁の「個人事業の開業・廃業等届出書」は、新たに事業を始めたとき、事業用の事務所を新設・増設・移転・廃止したとき、事業を廃止したときなどに使う書類です。国税庁の手続案内には、事業内容が変わった場合だけに出す専用の変更届は示されていません。
ただし、「何をしても届出不要」という意味ではありません。新しい事業の開始に当たるか、所得の種類がどうなるかは実態によります。仕事の内容・開始日・契約や売上の形をメモして、判断に迷う場合は税務署や税理士へ具体的に相談しましょう。
参考:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
2. 変化をチェックして、該当する手続きだけ調べる
次の項目を順番に確認します。該当箇所に印を付けるだけで、調べる手続きの候補を絞れます。
□ 仕事の種類や売上の柱が増えただけ
□ 事業用の事務所を新設・増設・移転・廃止した
□ 住所や納税地が変わった
□ 従業員を雇い、給与の支払いを始めた
□ 青色申告を新たに選びたい、または専従者給与を支払いたい
□ 消費税の課税事業者、インボイス登録などの状況が変わった
仕事が増えただけなら、まず開始日・仕事内容・売上・経費の記録を始めます。事務所の新設や移転などがあれば、開業・廃業等届出書の対象と提出期限を確認します。国税庁の現在の案内では、提出期限は事実があった年分の確定申告期限までです。 住所・納税地、給与、青色申告、消費税などは別の届出や期限が関係することがあります。
チェックが付いた項目ごとに、国税庁の手続案内で書類名と提出先を確認してください。書面でマイナンバーを記載して提出する場合、本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。e-Tax提出では本人確認書類の提示・添付は不要と案内されています。
参考:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
