3月某日 15時頃
m イン
平日だけど春休みだし街に人は多い
そして警察の数...
やばくね?
構内でローラーはしばらくできないな
他にナンパしてる人もいないし、目立たないようにしなきゃな
構内やロータリーでサージングしてるだけで、警備員がピタっと張り付いてくる
どうやら俺の「顔」を覚えられてるらしい
そりゃそうか、、、
警備員や警察の動きを把握しようと
構内が見渡せる高い場所に移動してみた
ここも待ち合わせスポットになっており
案件がちらほら
まずは肩ならしをするか
1声かけ目 アイドルみたいな子
「ここで待ち合わせする時って、何て言えば相手に伝わるかな?」
「えっ、あ、○時計の上ですかね」
こんな感じから、少し喋って番ゲの打診すらせず撤退
このオープン具合は、、
ワンチャン、ミテコ、、。
よし、肩はあったまった
次を探すか、、、
少し外に目をやると、手すりにもたれかかりスマホを触っている美女を発見。
黒のパンツスーツに薄手のスプリングコート。長い髪が春の風で踊っていた
俺好みの、いい女だ
2声かけ目 20代後半 OL
※身バレが心配なくらい、そっくり!
「撮影中にごめんね!」
「え?」
「なんかの撮影中だよね?こんなとこでポージングして、髪に風も当たってるし。え、カメラどこ?喋っていい?」
「いいですよwww」
こんな入り方だったと思う。
どっかで聞いたような声かけだが
外でひとりで立ってる美女には、だいたいこれ言っとけばOK
- 待ち合わせ中
- でもまだ1時間ある
- スタバでも行こうとしていた
※後にこの待ち合わせ相手は旦那という事が判明
それにしても明るくてよく笑う子だ
天使のような笑顔
俺は魅了されていた
(ここで何やら背後からの視線を感じる。違和感を覚え後ろを見てみると2人組の警察官が仁王立ちしている。しかも無線で誰かと話しながら...)
完全にやられた...
ここでこの子を放流してしまったら、警察官にある事ない事デッチ上げられて、俺は囲まれるだろう
この距離なら録音もされているかもしれない
女の口から
「こわい」「しつこい」「迷惑」
を意味する発言が出たら、証拠として1発アウトだ
「俺もスタバ行きたかったし、一緒にいこうか!奢るし!」
いつもはこんな事絶対に言わない。
とにかくこの場からこの子を連れて離れたかったのだ。
「えー、怪しい!何で奢ってくれるの?勧誘だよね?奢られたら話聞かないといけなくなるじゃん!」
声がでかい。グダるな。黙れ。
心の中では、こう思っていたが
「OKわかった、奢らない。割り勘で行こう。勧誘なら割り勘はしないでしょ笑」
なんとかこの一言で案件も承諾
とりあえずこの場からは逃れられる
しかし、2人で歩き出してもまだまだ着いてくる警察官達
(スタバじゃダメだ。放流したあとに案件を待ち伏せされる。とにかく駅を離れたい...)
「ねぇ、天気いいしビール飲んだ方が楽しくね?」
「わかる!実は私、有給とってさっきまで友達と飲んでたんだよね!」
「よし、あの辺の立ち飲み行こうぜ!割り勘で!笑」
「いく!!笑」
進路をスタバから飲み屋街にシフトした
すると駅から飲み屋街に繋がる大きな信号が点滅に
「早く!渡るよ!」
「えっ」
女の子がいきなり俺の手を引っ張り、走りだした
彼らの網から逃れられる解放感と
女の子から手を繋いできた事実を見せつけれた事に
俺は歓喜した
と、同時に無邪気に俺の手を引っ張りながら横断歩道を走る彼女に、どんどん魅了されていた
立ち飲み屋、入店
ハッピーアワーなビールで乾杯をした
お互いの自己紹介を済ませたら、キタキタ
「慣れてるよねー。いつもこんな事してるの?」「本当は彼女いるんでしょー?」「私に声かけたの今日何人目?」「絶対、チャラいよね。こわいわ」
聞き飽きた質問
適当にユーモアを交えながら流す
そして、これらの質問は、こちらに食いつきがあるサインだと思っている
ここでの「チャラい」は褒め言葉
「こわい」は勝利を確信する言葉だ
ーーこいつを、抱こう
1時間しかないと言っていたし、先程までの状況から即は考えていなかったが、気が変わった
縮んだ金玉もようやく緩んできた
「これ飲んだら2人になれるとこいくよ」
「ダメだって私時間ないし、これから人と会うんだよ?」
「大丈夫、40分後に駅に送り届けるから」
「えーなにこの展開。ナンパでホテルについてく事なんてないんだからね、私!」
声がデカい
隣りいた若い女2人組が、虫ケラを見るような目で俺を見てくる
「ちょっと待ってて、トイレ!」
ーー勃起薬イン
俺は酒を飲んだら勃たなくなる体質だ。
トイレの手洗い場の水を口に含み、鞄に忍ばせておいた勃起薬を胃に流し込んだ
ここからホテルまで歩いて10分...
頼む...効いてくれ。
ーー搬送
駅構内を歩きたくなかったので、ホテルまでは地下街を通り、近鉄パッセの横を抜けるルートで歩いた
「私、旦那いるんだよね。子供もいるの」
椿町へ渡る大きな交差点の信号まち、案件がいきなりそう告げた
不安そうな顔
この子の笑っていない目をはじめて見た
抱擁
マスクをしたままキスをした
まだ明るい時間に、人前で。
ーーホテル、イン
部屋に入ると、すぐ互いに求め合った
トロけるようなキス
自分からパンツスーツの下を脱ぎだす女の子
いつもならシャワーを浴びて、しっかり前戯を楽しみたいタイプだが
我慢ができなかった
俺の息子がギンギンなのは勃起薬のせいじゃない
目の前のキミの魅力のせいだ
前戯もせず、唾を垂らしただけで
乱暴に入れた
「即」
ーー事後ー
「当てていい?」
「何を?」
「昔ワルかったよね?地元を離れてOLして、過去を隠して結婚生活してる。違う?」
「...え...なんでわかるの?」
「同じ匂いがしたから」
唐突に彼女は起き上がり、俺の背中に後ろから抱きついてきた。
やがてその身体は揺れ、鼻をすする音も聞こえてきた。
泣いていた
「花粉症ひどいんやな。いいよ、こっちおいで」
時間いっぱいまで頭を撫で、優しく抱きしめた
涙の理由は聞いていない
ただギリギリのメンタルで生きている事は確かだ
同じ匂いがした
そういうこと
ーーホテル、アウト
まだ何となく駅構内は通りたくなかったので、搬送してきた道をそのまま戻る事にした
数10分前、はじめてキスをした交差点
一台のパトカーが俺達を見て徐行をしだす。
無線で話しながら、こちらを覗き込む警察官。
しかし、女の子から俺の手や腕に絡みついている様子を見ると、信号が変わるのを待たずにどこかに消えた
「あれ友達?○○君の事、パトカーでお迎えに来てるよ!笑」
笑えない冗談、
デカい声で言うんじゃねぇよ笑
ーー別れ
駅の表側まで来た。
「お願い、こっち来て」
階段を登り人けのない場所へ手を引かれる
キス
「じゃあ、行くね。
また、かまってね」
もう会わない事は、お互いに知っていた
そして、この後に会うのは本当に旦那なのか
そもそも待ち合わせなんてしていなかったのではないのか
「生きてたら良い事あるね。ありがとう」
彼女の言葉が、今も耳に残る
____________________________________
君が通りすぎたあとに
何が残るだろう...
____________________________________
あとがき
色んなブログにインスパイアを受けているので、どこかで目にした言葉の使い回しや、構成がありますこと、先人の方々にお詫びします
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。