はじめに — この記事が約束すること/絶対に約束しないこと
先に、いちばん大事なことを書きます。
この記事で紹介する仕組みで、私はまだ1円も売れていません。
2026年9月19日に1本目の商品をTipsで公開しました。価格は500円。 2026年9月20日現在、販売数は0件です。公開した翌日なので、当然といえば当然です。
普通なら隠します。「AIで自動化したら売れました」と書いたほうが、この記事は売れるでしょう。 でも隠しません。理由は2つあります。
1つ目。この記事が売っているのは売上の再現ではなく、仕組みの再現だからです。 「AIに企画を立てさせ、書かせ、校閲させ、販売文まで作らせて、出荷する」という工場は、 実際に建って、実際に動いて、実際に1本出荷しました。その工場の設計図を、ファイル全文でお渡しします。 売れるかどうかは、工場の性能ではなく、そこに入れる原料(あなたの経験)と、あなたが押す公開ボタンで決まります。
2つ目。売れる前の記録は、売れた後には二度と書けないからです。 うまくいった人の記事は世の中に大量にあります。でもそこには「作っている途中に何が壊れたか」が残っていません。 私はいま、壊れた場所を全部覚えています。AIが嘘を書いた話も、AIがそれを見つけた話も、同じAIが同じ嘘を2回書いた話も、全部そのまま載せます。
この記事が約束すること
- あなたが、自分専用の「AI社員がいる会社」を今日中に立てられること (憲法1ファイル + 社員5ファイル + 業務マニュアル3ファイル。全文をコピペできる状態で載せます)
- その会社を、企画 → 執筆 → 校閲 → 販売文作成 → 出荷まで一周回せること
- 私が踏んだ3つの失敗と、その直し方を先に知っておけること
この記事が絶対に約束しないこと
- 収益・売上・副業収入のたぐいは一切約束しません。 前述のとおり、私自身の販売実績は0件です
- 「自動で記事が量産できて放っておける」とも言いません。むしろ第13章で、なぜそれが無理かを書きます
- プログラミングの解説もしません。私が書けないからです
誰のための記事か
- Claude Codeに興味はあるが、コードが書けないので手が出ない人
- note / Tips / Brain などで発信しているが、企画も執筆も校閲も全部ひとりで抱えて止まっている人
- 「AIエージェント」「サブエージェント」という言葉は聞いたが、具体的に何のファイルを置けばいいのかがわからない人
逆に、すでにAIエージェントを自分で組めるエンジニアの方には不要です。 この記事の価値は、技術の高度さではなく「コードを書けない人間が、実際に建てて、実際に出荷した」という一点にあります。
第1章 私は、1行もコードを書いていません
自己紹介をします。
私はキャンプ場で働いています。場内カフェの運営と、法人向けの食事提供を担当しています。 その前はプリンスホテルでサービス業務、スターバックスでの勤務。 派遣会社の社員として、フォークリフトに乗り、水道管を直し、アスファルトを舗装し、ゴーカートのサーキット場を作っていました。
エンジニアではありません。IT企業に勤めたこともありません。
私がやっている「AI寄り」の仕事は2つだけです。 ひとつは、職場の店頭POPをAI画像生成(Midjourney / ChatGPT)で作っていること。 もうひとつは、AIを使って一人当たりの提供数量を算出し、フードロス率をほぼゼロにしたことです。 どちらも「現場の道具としてAIを使っている」だけで、作る側の知識はありません。
この記事でやったこと=日本語のファイルを置いただけ
これから紹介する「会社」は、プログラムではありません。中身は全部、日本語で書かれたテキストファイル(Markdown)です。
やったことを正確に書くと、こうです。
- フォルダを1つ作った
- そこに CLAUDE.md という名前のテキストファイルを作り、会社のルールを日本語で書いた
- .claude/agents/ というフォルダに、部門の仕事内容を日本語で書いたファイルを5つ置いた
- .claude/skills/ というフォルダに、定型業務の手順を日本語で書いたファイルを3つ置いた
- Claude Codeでそのフォルダを開いて、「新商品を作って」と日本語で頼んだ
以上です。書いたのは日本語の文章だけで、プログラムは1文字もありません。 .md というのはメモ帳で書けるテキストファイルの拡張子で、中身は見出しと箇条書きと表だけです。
なぜこれで動くのか。Claude Codeは、開いたフォルダの中にある CLAUDE.md を毎回自動で読むようにできています。 つまり CLAUDE.md は「出社したら必ず読む社内規程」です。ここに「あなたは会社の一員です」「公開は社長の承認が要ります」と日本語で書いておくと、そのとおりに振る舞います。
同じ理屈で、.claude/agents/ に置いたファイルは「その部門の社員の職務記述書」、 .claude/skills/ に置いたファイルは「定型業務の手順書」になります。
難しいのは技術ではなく、「自分の会社のルールを、人に伝わる日本語で書けるかどうか」です。 そしてそれは、現場で新人に仕事を教えたことがある人なら、たいてい書けます。私も現場では、教えたり教わったりしながら働いてきました。
第2章 「AI社員を雇う」の正体は、3種類のテキストファイルです
もう少しだけ、仕組みの話をします。ここを理解しておくと、第4章以降のファイルが「なぜこう書いてあるのか」まで分かります。
会社イケピは、3階建てです。
1階:憲法(CLAUDE.md)— 全員が必ず読むもの
会社の名前、事業内容、組織図、業務フロー、そして「鉄の掟」を書いたファイル。 Claude Codeはこのフォルダで動くとき、毎回これを読んでから仕事を始めます。
ここに書くべきは、やることよりも「絶対にやってはいけないこと」です。 私の会社の鉄の掟は4つですが、いちばん重要なのは1行目です。
社長の承認なしに外部公開(記事公開・SNS投稿)をしない。下書きまでは自律で進めてよい
これは「AIを信用していないから」ではありません。自律の範囲を明確にするためです。 「どこまで勝手にやっていいか」が決まっていないと、AIは遠慮して何もしないか、行き過ぎるかのどちらかになります。 「下書きまでは勝手にやっていい。公開ボタンだけは人間」と線を引くと、安心して全力で任せられます。
2階:社員(.claude/agents/ の5ファイル)— 呼ぶと出てくる専門家
Claude Codeには「サブエージェント」という仕組みがあります。 .claude/agents/ にファイルを置くと、それ専用の人格・ツール・禁止事項を持った担当者が作れます。
会社イケピの5人はこうです。
| 部門 | ファイル名 | 役割 |
| リサーチ部 | researcher.md | 市場調査・競合分析・売れ筋テーマの発掘 |
| コンテンツ制作部 | writer.md | 記事・教材の執筆(下書き作成) |
| マーケティング部 | marketer.md | タイトル案・販売ページ文・SNS告知文の作成 |
| 品質管理部 | reviewer.md | 校閲・事実確認・読者目線でのダメ出し |
| 売上分析部 | analyst.md | 売上データの分析・改善提案 |
そして、あなたが普段話している画面(メインのセッション)は編集長です。 編集長が全体を見て、「これはリサーチ部の仕事だな」と判断して各部門に振ります。
ここが最大のポイントなのですが、部門を分ける意味は「頭が5個になる」ことではありません。 利害を分けることです。
書いた本人に校閲させると、どうしても甘くなります。 だから品質管理部の定義ファイルには、わざわざこう書いてあります。
## 禁止事項
- 本文を勝手に書き換えること(修正はwriterまたは社長が行う。あなたは指摘に徹する)
- 忖度した甘い評価
この2行があるかないかで、返ってくるレビューの厳しさが変わります。実際、この品質管理部は自社の商品を2回突き返してきました(第8章)。
3階:業務マニュアル(.claude/skills/ の3ファイル)— 手順の固定
毎回同じことを説明するのが面倒な定型業務を、手順書として置いておく仕組みです。 チャットで /スキル名 と打つか、普通の日本語で頼むだけで発動します。
| スキル | 何をするか |
| new-product | 新商品開発の全工程(リサーチ→執筆→捏造チェック→校閲+販売準備→修正→報告) |
| tips-publish | 公開前チェック8項目を通してから、非公開の下書きとして投稿 |
| weekly-report | 週次で売上を分析し「続ける・やめる・試す」の形でレポート |
エージェント(社員)とスキル(手順書)の違いは、「誰が」と「どうやって」の違いです。 社員だけだと毎回やり方がブレます。手順書だけだと担当者の専門性が出ません。両方要ります。
第3章 会社の見取り図 — 中核は9ファイルです
いま実際に動いている会社の構造を、そのまま出します。
goodbetter-ai-lab/ ← 会社(ただのフォルダ)
├── CLAUDE.md ← ① 憲法(全員が毎回読む)
├── .claude/
│ ├── agents/ ← ② 社員(サブエージェント)
│ │ ├── researcher.md リサーチ部
│ │ ├── writer.md コンテンツ制作部
│ │ ├── marketer.md マーケティング部
│ │ ├── reviewer.md 品質管理部
│ │ └── analyst.md 売上分析部
│ └── skills/ ← ③ 業務マニュアル
│ ├── new-product/SKILL.md 新商品開発パイプライン
│ ├── tips-publish/SKILL.md 公開ワークフロー
│ └── weekly-report/SKILL.md 週次売上レポート
└── docs/ ← 会社の資産(成果物の置き場)
├── company/ 運用マニュアル・接続手順
└── content/
├── research/ 調査結果 + 素材メモ
├── drafts/ 下書き
├── marketing/ タイトル案・販売文
├── reviews/ 校閲結果
└── sales/ 販売履歴・売上レポート会社の本体は、上の9ファイルです。docs/ は社員が働いた結果が溜まっていく倉庫なので、最初は空のフォルダでかまいません。
この構造で大事なのは「置き場所を先に決めてある」こと
見落とされがちですが、ここが効きます。
各部門の定義ファイルには、成果物の保存先が書き込んであります。 リサーチ部は docs/content/research/ に、制作部は docs/content/drafts/ に、というふうに。
これをやっておくと、何が起きるか。調べた結果・書いた下書き・受けたダメ出しが、全部ファイルとして残ります。 そして次に仕事を頼んだとき、社員は過去のファイルを読んでから始めます。
つまり、会社に記憶が溜まります。
会話は消えますが、ファイルは消えません。 私が「素材メモ」というファイルに自分の職歴と実績を書いておいたおかげで、 リサーチ部は「社長の実体験で書けない企画は提案しない」という判断ができるようになり、 品質管理部は「これは素材メモに書いていないから捏造だ」と指摘できるようになりました(第8章)。
AI社員の賢さは、モデルの性能より「何を読ませてあるか」で決まります。
ここまでが無料部分です
ここから先は、実際に動いているファイルを全文そのまま載せます。 コピーして、自分の仕事に合わせて名前と業種を書き換えれば、あなたの会社になります。
あわせて、うまくいかなかった3つの出来事も、社内の実物(レビュー結果・調査結果)を引用しながら書きます。 正直なところ、有料部分の本当の価値は失敗のほうだと思っています。ファイルは形をコピーできますが、失敗は先に知っておかないと必ず自分で踏むからです。
