第1章
お金を失った夜、それでも終わらなかった
あの日のことを、細かくは覚えていない。
場所も、時間も、空気も、曖昧だ。
覚えているのは、 ただスマホの画面を見ていたことだけ。
いつもと変わらない画面。
いつもと変わらない自分。
でも、数字だけが変わっていた。
いや、変わっていたというより、
消えていた。
2000万円以上あった貯金。
10年以上、スロットで積み上げてきたお金。
汗も、知識も、社会経験もない。
でも、積み上げてきた現実の数字。
それが、
マイナス4000万円になっていた。
言葉は出なかった。
「どうしよう」でもない。
「終わった」でもない。
ただ、
「ああ……」
という音にもならない呼吸。
申し訳ない。
その感情だけが、胸の奥から湧き上がってきた。
人が離れるという現実
お金を失ったことよりも、
きつかったものがある。
それは、
人の距離が変わる瞬間。
今までお金が原因で人が離れたことはなかった。
むしろ、応援されていた。
信頼もあった。
一緒に夢を語っていた。
でも、
数字が変わった瞬間に、
態度が変わる人がいる。
連絡が減る人がいる。
言葉が変わる人がいる。
その瞬間、
初めて知った。
「お金は信用の一部だった」という現実。
一番申し訳ないと思ったのは、
誰か一人じゃない。
関わった全員。
家族も、仲間も、応援してくれた人も、
ビジネスで繋がった人も。
全員に申し訳なかった。
でも不思議なことに、
「終わった」とは一瞬も思わなかった。
終わらない人間の思考
なぜか?
簡単だ。
失敗は、
成長の通過点だと知っていたから。
失敗は、
止まる理由じゃない。
成長の材料。
むしろ、
失敗がない人間は、強くなれない。
車だと思っている。
失敗は、前に進むためのエンジン。
壊れたんじゃない。
回転数が上がっただけ。
マイナス4000万?
それ以上に稼げばいい。
信用を失った?
それ以上に作ればいい。
人が離れた?
それ以上に魅力的になればいい。
終わる理由がなかった。
本当に怖いのは何か
本当に怖いのは、
お金を失うことじゃない。
人が離れることでもない。
本当に怖いのは、
「自分が自分を諦めること。」
でも、僕は自分を諦めなかった。
なぜなら、
まだワクワクしていたから。
子供の頃のように、
何かを作る未来を想像できていたから。
借金はある。
信用も揺らいだ。
でも、
未来は消えていなかった。
無知という現実と、バカだった自分
詐欺に遭ったとき、 最初に出てきた感情は怒りでもなかった。
悔しさでもない。
「自分はバカだった。」
それだけだった。
社会経験がなかった。
10年以上スロットで生活してきた。
数字の読み方は分かる。
期待値も分かる。
確率も分かる。
でも、社会の裏は分からなかった。
人の腹の中も分からなかった。
ビジネスの本質も分かっていなかった。
だから騙された。
シンプルに、無知だった。
無知は罪ではない。
でも、無知は高くつく。
2000万円以上の貯金。
それが消えて、
さらにマイナス4000万円。
普通なら心が折れる。
でも、折れなかった。
高い授業料
「高い授業料だったな。」
その言葉が、あとから浮かんだ。
最初はバカだと思った。
でも時間が経つにつれて、
違う感情が芽生えた。
これは、
経験だ。
絶対に経験になる。
この経験を通らないと見えなかった世界がある。
この痛みを知らないと届かない言葉がある。
この失敗がなければ、
本当に人を救える言葉は出てこない。
そう思えた瞬間、
借金は「負債」から「素材」に変わった。
失敗は、武器になるか?
失敗には2種類ある。
・自分を潰す失敗 ・自分を進化させる失敗
違いは何か?
受け取り方だ。
「俺はバカだった」で終わるか。
「このバカさを武器にするか。」
あなたは今、どちらですか?
僕は後者を選んだ。
なぜなら、
これから同じように無知で、
夢を見て、
チャンスに飛びついて、
痛い目を見る人が絶対にいるから。
その人を守れる存在になれる。
だったら、
この失敗は意味がある。
逆転の思考
多くの人はこう考える。
「失敗したから終わり」
でも僕は違った。
「失敗したからスタート」
騙された?
じゃあ、騙されない力をつける。
無知だった?
じゃあ、学ぶ。
借金?
じゃあ、それ以上に稼ぐ。
人が離れた?
じゃあ、それ以上に魅力的になる。
全部、逆転できる。
だからこれは、
終わりじゃない。
始まり。
なぜ折れなかったのか
一番大きいのは、
ワクワクが死んでいなかったこと。
子供の頃のような、
