はじめに
前回の第1章では、Webライティングの基礎知識や、読者に価値を届けるための基本的な考え方について学びました。
第2章では、より実践的な内容として「SEO(検索エンジン最適化)の基本」と「読みやすい文章の書き方」にフォーカスしていきます。
インターネット上で公開される記事やコンテンツは、まず「見つけてもらう」ことが大切です。どんなに素晴らしい内容でも、読者の目に触れなければ価値を届けることはできません。
そのためにSEOの知識は不可欠です。また、見つけてもらった後に「最後まで読んでもらう」ためには、読みやすさの工夫も重要になります。
この章では、SEOの基礎概念から具体的なキーワード選定のテクニック、そして読者を飽きさせない文章構成や表現方法まで、実践的なスキルを身につけていきましょう。
1. SEOの基礎知識
SEOとは何か、なぜ重要なのか
SEO(Search Engine Optimization)とは、「検索エンジン最適化」と訳され、Googleなどの検索エンジンでより上位に表示されるようにウェブサイトやコンテンツを最適化する施策のことです。
SEOが重要な理由
- ウェブサイトへのアクセスの多くは検索エンジン経由
- 検索結果の1ページ目(特に上位3件)に表示されると、クリック率が大幅に向上
- 一度上位表示されると、継続的にアクセスが集まる
- 広告と違い、費用をかけずに集客できる(ただし時間と労力は必要)
SEOを意識せずに書いた記事は、どんなに価値のある内容でも、検索結果の奥深くに埋もれてしまい、読者に届かない可能性が高くなります。
検索エンジンの仕組みと評価基準
検索エンジンがどのように情報を収集し、評価しているのかを理解することで、効果的なSEO対策ができます。
検索エンジンの基本的な仕組み
- クローリング:ロボット(クローラー)がウェブサイトを巡回し、情報を収集
- インデックス作成:収集した情報を分析し、データベース(インデックス)に格納
- ランキング:ユーザーが検索したときに、関連性や価値の高さでコンテンツをランク付け
Googleの主な評価基準
最近のGoogleは「E-E-A-T」という概念を重視しています:
- 経験(Experience):筆者の実体験に基づく情報
- 専門性(Expertise):テーマに関する専門的な知識
- 権威性(Authoritativeness):業界や分野での信頼性
- 信頼性(Trustworthiness):情報の正確さと信頼性
その他の重要な評価要素:
- コンテンツの質:充実した情報、オリジナリティ、最新性
- ユーザー体験:読みやすさ、使いやすさ、表示速度
- モバイル対応:スマートフォンでの表示品質
- 滞在時間・直帰率:ユーザーが記事を読み込む時間
- バックリンク:他サイトからの被リンク(引用や参照)
ユーザー検索意図を理解する
SEOでは、単にキーワードを意識するだけでなく、「ユーザーが何を求めて検索しているのか」という検索意図(サーチインテント)を理解することが重要です。
主な検索意図の種類
1.情報探索型:知識や情報を得るための検索例:
- 例:「風邪 対処法」「パリ 観光スポット」適切なコンテンツ:
- 解説記事、ガイド、ハウツー記事
2.商品・サービス検討型:購入や利用を検討するための検索例:
- 例:「スマホ 比較」「英会話教室 評判」
- 適切なコンテンツ:レビュー、比較記事、メリット・デメリット解説
3.購入・行動意図型:具体的な行動を起こすための検索例:
- 例:「iPhone 13 購入」「渋谷 イタリアン 予約」
- 適切なコンテンツ:商品紹介、店舗案内、購入ガイド
4.ナビゲーション型:特定のサイトやページを探すための検索例:
- 例:「Amazon ログイン」「YouTube」
- 適切なコンテンツ:公式サイト、特定サービスへの案内
検索意図に合わせたコンテンツを作成することで、読者のニーズに応え、検索エンジンからも評価されやすくなります。
たとえば「ダイエット 方法」という検索キーワードに対して、単なる商品販売ページではなく、具体的なダイエット方法を紹介する情報記事を提供することで、ユーザーの期待に応えることができます。
2. キーワードリサーチの方法
効果的なキーワードの選び方
キーワードリサーチとは、あなたのコンテンツのテーマに関連して、どのような言葉で人々が検索しているかを調査することです。適切なキーワードを選ぶことで、ターゲットとなる読者にコンテンツを届けやすくなります。
効果的なキーワード選定の基準
- 関連性:あなたのコンテンツの内容と直接関連するキーワード
- 検索ボリューム:月間どれくらい検索されているか(多いほど潜在的な読者が多い)
- 競合度:そのキーワードでどれくらい競争が激しいか(低いほど上位表示されやすい)
- ユーザーの検索意図:キーワードに含まれる利用者の意図
キーワードの種類
1.主要キーワード(メインキーワード):
- コンテンツの中心テーマを表す言葉例:
- 「ダイエット方法」「マンション 購入 流れ」
2.関連キーワード(サブキーワード):
- 主要キーワードに関連する派生的な言葉例:
- 主要が「ダイエット方法」なら、「食事制限」「運動方法」など
3.長尾キーワード(ロングテールキーワード):
- より具体的で長い語句の検索ワード
- 競合が少なく、狙いやすい場合が多い
- 例:「30代 女性 短期間 ダイエット方法」「中古マンション 購入 初心者 注意点」
初心者のWebライターには、競合の少ないロングテールキーワードから始めることをおすすめします。検索ボリュームは少なくても、コンバージョン率(成果につながる率)が高いことが多いからです。
無料で使えるキーワードリサーチツール
キーワードの検索ボリュームや関連キーワードを調べるには、以下のような無料ツールが役立ちます。
1.Google検索の予測検索
- Googleの検索ボックスに単語を入力すると表示される予測検索は、実際によく検索されている言葉の組み合わせです
- 使い方:Googleで「ダイエット」と入力すると「ダイエット 方法」「ダイエット 食事」などが表示される
2.Google検索の関連検索ワード
- 検索結果ページの一番下に表示される「〜に関連する検索キーワード」も参考になります
- これらは同じテーマで検索されることの多いキーワードです
3.Googleトレンド
- キーワードの人気度の推移や地域差、季節変動を確認できます
- 複数のキーワードを比較することも可能です
4.ラッコキーワード
- 日本語のキーワード調査に特化した無料ツール
- 関連キーワードや検索ボリュームの目安がわかります
5.Ubersuggest
- 無料版でも一定数のキーワード調査が可能
- 検索ボリュームや競合度、関連キーワードを調べられます
これらのツールを組み合わせて使うことで、効果的なキーワード戦略を立てることができます。
キーワードの適切な配置
選定したキーワードは、SEO効果を最大化するために記事内の適切な位置に配置する必要があります。
キーワードを配置すべき主な場所
1.タイトル(H1タグ)
- 最も重要なキーワード配置場所
- できるだけ前の方に主要キーワードを入れる
- 例:「初心者向け|ダイエット方法5選と成功するためのコツ」
2.URL
- できるだけシンプルに主要キーワードを含める
- 例:example.com/diet-method/
3.メタディスクリプション
- 検索結果に表示される説明文(160文字程度)
- SEO評価には直接影響しないが、クリック率に大きく影響する
4.見出し(H2、H3タグなど)
- 主要キーワードと関連キーワードを自然に含める
- 例:「効果的なダイエット方法の選び方」「ダイエット成功者の共通点」
5.冒頭の段落
- 記事の最初の100〜200文字以内に主要キーワードを含める
6.本文中
- 自然な文脈で、無理のない範囲でキーワードを織り交ぜる
- キーワードの過剰な詰め込み(キーワードスタッフィング)は逆効果
7.画像のalt属性
- 画像の説明文にも関連キーワードを含める
8.まとめ・結論部分
- 記事の最後にも主要キーワードを含めると良い
注意点:キーワードの最適な密度は約1〜2%と言われています。つまり、1000文字の記事なら10〜20回程度がキーワードとして出現する計算になります。ただし、自然な文章を心がけ、読みにくくなるほどキーワードを詰め込むのは避けましょう。
3. 見出しの重要性と階層構造
H1〜H4の効果的な使い方
見出しタグ(H1〜H6)は、SEOと読みやすさの両方において非常に重要な役割を果たします。特にH1からH4までは、多くのWebコンテンツで活用されています。
見出しタグの基本
- H1:ページの主題を表すタイトル(通常1ページに1つ)
- H2:記事の主要セクション
- H3:H2の下位セクション
- H4:H3のさらに下位セクション
見出しタグの効果的な使い方
1.H1:タイトル
- ページのメインテーマを端的に表す
- 主要キーワードを含める
- 読者の興味を引くよう工夫する
- 例:「【保存版】初心者でも失敗しない住宅ローンの選び方5ステップ」
2.H2:主要セクション
- 記事の骨格となる大きなトピック
- 記事を論理的に分割する役割
- 主要キーワードや関連キーワードを含める
- 例:「住宅ローンの種類とそれぞれの特徴」「住宅ローン選びで失敗しないための事前準備」
3.H3:サブセクション
- H2の内容をさらに詳しく掘り下げる
- より具体的なトピックや手順
- 例:「変動金利型住宅ローンのメリット・デメリット」「固定金利型住宅ローンに向いている人の特徴」
4.H4:詳細項目
- H3の内容をさらに細分化する
- 具体例や詳細な説明
- 例:「変動金利型住宅ローンで注意すべき金利上昇リスク」
検索エンジンと読者双方に評価される見出しの付け方
効果的な見出しは、検索エンジンだけでなく、人間である読者にも評価されるものでなければなりません。
SEO効果の高い見出しの特徴
- 関連キーワードが自然に含まれている
- 内容を正確に表している
- 階層構造が適切に設計されている
- 検索意図に合致している
読者に評価される見出しの特徴
- 具体的で分かりやすい
- 得られるメリットや解決する問題が明確
- 興味や期待を喚起する
- スキャンしやすい(短めの言葉で内容が把握できる)
効果的な見出しの作り方
1.具体性を持たせる
- ❌「住宅ローンについて」
- ✅「初心者向け住宅ローンの基礎知識7つのポイント」
2.数字や具体例を入れる
- ❌「効果的なダイエット方法」
- ✅「1ヶ月で5kg減量できた効果的なダイエット方法3選」
3.読者のメリットを示す
- ❌「投資信託の種類」
- ✅「失敗しない投資信託の選び方|初心者でも安心して始められる3つの方法」
4.質問形式を活用する
- ❌「転職活動の進め方」
- ✅「転職活動はいつから始めるべき?成功する準備と進め方」
5.「なぜ」「どうやって」を盛り込む
- ❌「英語学習法」
- ✅「なぜ多くの人は英語が上達しないのか?効率的な学習法と継続のコツ」
見出しの階層構造の設計方法
見出しの階層構造は、記事の論理的な流れを作り、読者の理解を助けます。また、検索エンジンにとっても、コンテンツの構造を把握する重要な手がかりとなります。
見出しの階層構造設計のステップ
1.テーマの全体像を把握する
- 記事で伝えたい主要メッセージは何か
- 読者に提供したい価値は何か
2.主要セクション(H2)を決める
- テーマを論理的に分割する
- 通常3〜7つ程度の主要セクションに分ける
3.各セクションの詳細(H3、H4)を展開する
- H2の内容をさらに詳しく説明するために必要な項目を洗い出す
- 必要に応じてH3をさらにH4に分割する
4.階層の一貫性をチェックする
- H2→H3→H4の順序を守る(H2の次にH4を使わない)
- 同レベルの見出しは同じ重要度の内容にする
階層構造の例(ダイエットをテーマにした記事)
H1: 【医師監修】3ヶ月で健康的に5kg痩せる効果的なダイエット方法
H2: ダイエット成功のための基本原則
H3: カロリー収支の基本を理解する
H3: 健康的な体重減少のペース
H3: ダイエットを続けるためのモチベーション管理
H2: 効果的な食事管理の方法
H3: 摂取カロリーの計算方法
H3: 栄養バランスを考えた食事の組み方
H4: タンパク質の重要性
H4: 炭水化物との付き合い方
H4: 健康的な脂質の選び方
H3: 間食の上手な取り入れ方
H2: ダイエットに効果的な運動方法
H3: 有酸素運動と無酸素運動の組み合わせ
H3: 1日30分の効果的なトレーニングメニュー
H3: 運動が苦手な人向けの活動量アップ法
H2: ダイエット中のよくある失敗とその対処法
H3: 停滞期(プラトー)の乗り越え方
H3: 食欲のコントロール方法
H3: リバウンドを防ぐためのポイント
H2: まとめ:自分に合ったダイエット計画の立て方
このように階層的に構造化された見出しは、読者が情報を探しやすく、記事全体の流れを把握しやすくなります。
また、検索エンジンにとっても記事の構造が明確になり、適切なインデックスを作成しやすくなります。
