KSK2システムと税務調査厳格化に関する調査レポート
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エグゼクティブサマリー
国税庁は2026年9月24日に基幹システム「KSK(国税総合管理システム)」を次世代システム「KSK2」へ全面移行します。このシステム刷新により、税務行政のデジタル化が加速し、税務調査の効率化と精度向上が見込まれています。
1. 根拠のある情報(公式発表・確定事項)
1.1 KSK2の導入時期と開発体制
- 稼働開始日: 2026年(令和8年)9月24日
- 開発主体: アクセンチュアなど主に5社が開発を担当
- 段階的稼働: 一部機能のリリースを2026年10月以降に遅らせて段階的稼働を検討中
- 根拠: 国税庁公式発表、税務通信、日本経済新聞報道
1.2 KSK2の3つの開発コンセプト(国税庁公式)
(1) データ中心の事務処理
- 従来の紙中心の事務処理をデータ処理に一本化
- AI-OCR(AIを活用した光学文字認識)による書面の自動読み取りとデータ化
- 約2,300種類の全申告書様式がAI-OCR対応の新様式に変更
(2) 縦割りシステムの解消
- 現在は税目別(法人税、所得税、消費税など)に分かれて管理されている情報を統合
- 氏名やマイナンバーを入力するだけで、すべての税目を横断して納税者情報を確認可能に
- 法人と個人の関連情報も一元管理
(3) メインフレームからの脱却
- 独自OSを使用する大型コンピュータ中心のシステムから、市販の汎用的なOSを使用するオープンシステムへ刷新
- COBOLで組まれたシステムをJavaに移行するマイグレーションを実施
- クラウド環境とオンプレミス環境のハイブリッド構成
1.3 KSK2による具体的な変化
調査官による外部アクセス
- 現状: 調査官は調査先からKSKの情報にアクセス不可
- KSK2導入後: 調査官が外部(調査先等)からもシステムにアクセス可能
- 調査現場でリアルタイムに過去の申告状況や納税情報を確認可能に
外部データとの連携
- インターネットから外部の統計データ等をKSK2に取り込み
- 税務調査等への活用が可能に
- 政府共通インフラ「GSS(ガバメントソリューションサービス)ネットワーク」との連携
申告書等の全データ化
- 紙で提出された書類も全てスキャナーで読み取り、データ化・イメージ化してKSK2に蓄積
- 従来は一部のみがデータ化されていたが、KSK2では全データを蓄積
1.4 納税者への影響
新様式への変更
- 令和8年リリース前に新様式が公開予定
- リリース後は新様式での提出が必須(旧様式は受理されない可能性)
e-Tax通知の拡大
- 納税者が事前に同意すれば、原則すべての通知をe-Taxで受け取れるように
- 13桁の「お問い合わせ番号」が付与され、税務署との対応がスムーズに
