入試問題を解いていて、内容はそこそこ分かるのにどうも解けないという人。
そういう人が陥りやすい場面をズバリ当てよう。
- 「これ、解答の根拠なくね?」「本文には書いてなくね?」となり、勘や想像で答えを選ぶ/書く
- 選択/記述問わず、自分の答えにめっちゃ自信があったのに、いざ解答を見たら思い切りズレててビビる
では、どうすればこの症状から脱出できるだろうか?
本Tipsで述べるのは、「根拠を拾うためのテクニック」といった薄っぺらいものではない。上記の症状に陥っている人の「頭脳の癖」をあぶり出し、それをどう改善していけばいいのかについての方向性を提示したものである。
第1章 「読みを深める」ための基本スタンス
根拠がいまいちうまく拾えない人の多くは、根本的に文章を「読む」というフェーズにおいていくつかの失敗をしている。具体的には、誤読していたり、読み逃しがあったりするのである。いずれにせよ、読みが浅い。だから根拠にたどり着けない。
それを治すための唯一の方法を先に言うと、
- 先入観をもたない
これに尽きる。先入観とは、「偏見」「固定観念」などの類義語。
背景知識の話をしよう。
現代文では背景知識があると読解が有利になることがよくある。
背景知識があることで、「あー、あの話なんだ」と思えて、理解を助けられることはある。
だが、断片的な情報をもとに「あー、こういうことが言いたいのね」と固定化してはいけない。
自分のもっている既知の情報や知識と結び付けた瞬間、読みが浅くなる。
世の中これだけ本がたくさんあり、パクったりしない限り主張がかぶることはまれ。
どの文章にも、そこにしかない個性的な主張があると信じて読んだほうがいい。
「この人」は何を言いたいのか?逆に何を否定しているのか?
- 筆者の価値観を厳密に読み取り、むき出しにする。
そういうふうに意識して読解していくことで、読みが深くなる。
第2章 「出題者の意図通りに解く」ための考え方
前章では、そもそも「読む」というフェーズにおいて問題があることを指摘した。
本章では、次のフェーズ=「解く」ということに的を絞って話をしていく。
設問には必ず意図がある。
そんなことは誰もが知っているだろう。だが、改めて考えてみてほしい。
設問自体は、「傍線部『~~~。』とあるが、なぜか」などといった実にシンプルなものが多い。
たったその一言で、力のある受験生であれば、出題者が求めている解答にたどり着けるというのが大前提である。
とすれば、どう考えても、
- 「設問の設置箇所」(傍線部や空欄が引かれている場所)
- 「設問の要求」
- 「他の設問との関係」
等といった、設問それ自体ないしは設問からにじみ出るものを分析していくことが重要であり、そこに解答の手がかりはあるということ。
そこを分析したうえで、根拠を拾ううえであなたがやることは、以下の3つ。
- 設問の要求を満たすために必要な箇所を一つでもいいから探す(必要条件)
- 不足なく拾う(十分条件)
- 記述問題であれば、字数を考慮し、余計な要素は捨てる(取捨選択=優先順位を考慮)
そして、これらを100%の精度を目指すべく的確に実行し、解答することができれば、出題者は「よく理解してるじゃん!」と、正解をくれるわけだ。
ピンとこない人もいると思うので、次章で実際にやってみよう。
第3章 実際の文章で実践!
僕が、普段のコンサルで実際に提示したとある課題を例に、皆さんにも実践してもらおうと思う。
その生徒の特徴として、「モチベの不足でやるべき課題に向き合えない」という問題があった。そんな彼に、僕は「重要度を上げれば、向き合えるようになるよ。」と言って、以下の記事を彼に見せた。
https://career-ed-lab.mynavi.jp/career-column/707/
そして僕は「ここに重要度の上げ方が書いてあるよ」と言った。
とりあえず読んでみてほしい。
そして皆さんにも考えてほしい。「重要度の上げ方」について上記の記事の中から答えを探してほしいのだ。一旦、URLを開いてしっかり読んで、答えまで出してほしい。
・
・
~実際に考えてみましょう~
・
・
答えられた人は素晴らしい。
例の生徒はこう答えた。
「これ、能動的な学習によって定着率が上がる、という話ですよね。重要度を上げる、に繋がらなくないですか?」
だから僕は「普通に書いてあるよ。よく読んで受け取って!」と言った。
でも、その生徒は結果的に受け取ることができなかった。
というわけで、答え合わせだ。
結論は、
「得意でない科目を身につけるには」
この章のところに書いてある。
僕がその生徒に、この種明かしをしたら、「そこすっ飛ばしてました」と言われた。
まさに、興味のある情報しか目に入れていない証拠。分かったつもりになっている。
まとめると、「苦手なものでも、能動的な学習の反復により情報を繰り返し脳に送り込むことで、その対象に興味をもつことができるようになり、重要度や優先度が上がる」という話である。
これが一発で受け取れる人と受け取れない違いはなんだろうか?次の章に進む。
第4章 受け取り能力を上げるために
受け取りが弱い人の特徴は
- 具体でしか受け取れない
のである。あの文章で言えば、「定着率の上げ方」というタイトルが先入観ともなり、そういう話としてしか読めなくなっているのだ。
だが、しっかり読んでいけば、この文章は、定着率を上げる過程を深く説明するなかで、「苦手科目の身に付け方」というところまで話を広げている。これは具体とは逆の方向性だ。
一つに固定化した瞬間、筆者の主張や真意からは離れていくと思ったほうがいい。
結局、そうなった瞬間、思考停止するため、読んでいるようで読んでないという現象に陥る。
だから、シンプルに、まずは読み飛ばさず、一文一文を丁寧に読むこと。
一つの文章、一つの記事である以上、主張は原則一つや二つなのかもしれない。
だが、それを一言で済ませずに、文章という一定の長さや量をもたせている以上、一文一文にはすべて意図や役割がある。そこまで見るのはかなりミクロな視点であるが、せいぜい、各段落についてその存在意義や役割は理解しておこう。
その姿勢なく、なんとなく「全体的にこういうことだよね」と分かっただけでは、全体理解を問う問題には対応できるが、部分を問う問題には対応できない。
入試現代文の設問の大半は、傍線部や空欄という小道具を介してパーツ(基本的には段落単位)ごとの理解を問うものになっている。
だから、筆者がどういう意図で文章を書いているのかよく理解しよう。
もちろん小説でもこれは変わらない。
そして、設問や課題の意図をよく理解すること。
それが分かっていることによって、答えの軸がパッと頭に浮かぶはずである。
なぜなら、それまで読んできた部分の中に答えがあるとパッと分かる。
せいぜい「さかのぼればすぐに見つけられる」ぐらいにしておこう。
それができないなら読みが浅いと言っていい。
だから、
- 筆者のイメージしている抽象度を汲み取る訓練
をしてみるといい。
筆者の世界観に寄り添うイメージ。
文章という無機質なものから、筆者の脳内を思い描けるようになると強い。
まさに共鳴という感じだ。
そこを読み取るには、
- 言葉の節々をまずは丁寧に受け取れるように、精読を徹底する
ことが大切。
そして、
- 理解したことを自分の中で言語化してアウトプットする習慣づくりを徹底する
ようにしよう。
まずはアウトプットする相手をつくるところから。
結局はその習慣づくりでしか本当の意味で読解力は強化できないと思っている。
【特典】
ここまでお読み頂いた方のために、特典を準備している。その特典とは、
- 三木の無料コンサル(60分間)実施
→対面でも電話でも両方可。入試現代文に関する相談に乗ります。 - 三木独自教材「重要表現一覧」の無料配布
→文章読解に役立ち、一生使えること間違いありません!
である。これらの特典を受け取りたい方は、
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