技術士R07【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-2|1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|フローティング頭首工の安定性診断等
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔶R07_Ⅱ-2-2|過去問題
老朽化が進んだフローティングタイプの頭首工のコンクリート施設について機能保全計画の策定に先立ち、頭首工本体の安定性に影響を及ぼす構造物周辺の変状も含めた機能診断を実施することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき主な事項とその内容について述べよ。
(2)業務を進める手順を示し、業務遂行上、留意すべき点及び工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R07_Ⅱ-2-2【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①頭首工本体の劣化・損傷状況
・コンクリート構造物の劣化評価と健全度の定量化
・フローティング構造特有の変位・揚圧力影響の把握
②周辺地盤および基礎地盤の変状
・基礎地盤の支持力低下と不同沈下の確認
・河床変動と洗掘リスクの評価
③水理機能および操作機能
・ゲート設備等の動作状況と水理機能の検証
・操作制御設備の老朽化と施設管理課題の抽出
④耐震性能および構造安全性
・現行耐震基準による耐震性能照査
・フローティング構造の動的挙動を考慮した安定性検討
(2) 本業務を進める手順及び留意点・工夫点
1.既存資料の収集・分析および現地予備調査
・経年変化と劣化傾向の把握および資料欠損の補完
・渇水期、出水期の変位傾向把握と調査計画への反映
2.詳細調査の実施およびデータ取得
・非破壊、部分破壊検査の組合せによる効率的評価
・最新技術導入によるデータ一元管理と精度向上
3.総合評価および機能診断報告書の作成
・構造安全性、水理機能、耐震性能の総合評価
・劣化予測と緊急度ランク付けによる保全計画支援
(3)関係者との調整方策
1)施設管理者との調整
・営農計画を考慮した調査時期の設定
・診断結果の共有による日常管理への知見活用
2)河川管理者との調整
・河川法に基づく許可手続きの円滑化
・河床変動データ活用による水理解析精度向上
3)地域住民および農業者との調整
・事前説明会による理解と協力体制の構築
・調査結果の分かりやすい説明による地域不安の解消
4)発注者との調整
・重大損傷発見時の速やかな報告と追加対応の協議
・関連事業との整合による効率的事業推進
🔶R07_Ⅱ-2-2【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①頭首工本体の劣化・損傷状況
コンクリート構造物の表面および内部の劣化状況について、目視調査、打音検査、コア採取により詳細に把握する。フローティングタイプの特性として、躯体と基礎地盤の一体性低下、水位変動による浮力・揚圧力の影響、躯体の変位・ひずみに着目する。ひび割れの幅・深さ・分布、鉄筋腐食状態を自然電位法や分極抵抗法で、コンクリート圧縮強度を超音波探傷法やリバウンドハンマー法で評価し、健全度指標や余寿命として定量化する。
②周辺地盤および基礎地盤の変状
頭首工の安定性に影響する周辺地盤の洗掘、沈下、液状化等の変状を、測量データの経年変化分析や地盤調査により把握する。基礎地盤の支持力低下や不同沈下の有無を確認するため、ボーリング調査、標準貫入試験、地下水位観測を実施する。上下流の河床変動状況、護床工や根固工の損傷状況を調査し、洗掘リスクを評価する。
③水理機能および操作機能
ゲート設備、魚道、土砂吐等の動作状況や摩耗・腐食状態を調査し、設計時の水理機能維持を検証する。洪水時の流下能力、計画取水量に対する取水の安定性、堆砂状況を水理解析や現地観測により評価する。操作制御設備の老朽化、電気設備の絶縁性能を点検し、施設管理上の課題を抽出する。
④耐震性能および構造安全性
現行の耐震基準に照らした耐震性能照査を実施する。地震時における躯体の応答特性、液状化による基礎地盤の変状リスク、周辺構造物との相互作用を評価する。フローティング構造特有の動的挙動を考慮した安定性検討を行う。
🔶R07_Ⅱ-2-2 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
