🔶R07_Ⅲ-2|過去問題
近年、インフラに対する災害対策や老朽化対策の必要性は高まる一方、生産年齢人口の減少により、今後深刻な人手不足が進むことが懸念される。このような社会経済状況の厳しい変化に対応するため、インフラにおいても、データとデジタル技術を活用し、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスの変革が求められている。
こうした状況の中、国土交通省では、道路システムのDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組「xROAD(クロスロード)」が進められている。
このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)現在、国土交通省で進められている道路システムのDXの取組について、道路に携わる技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対応策について、専門技術を踏まえた考え方を示せ。
「日本技術士会」HP
🔶R07_Ⅲ-2|骨子例
1.道路DXにおける多面的課題
〇観点1:技術・システム統合
・既存インフラとデジタル技術の統合課題
・データ形式・通信プロトコル標準化の遅れ
〇観点2:人材育成・組織運営
・DX専門技術者の絶対数不足
・従来技術者向けデジタル技術習得体制の未整備
〇観点3:社会受容性・持続可能性
・プライバシー保護と交通データ活用の両立
・初期投資の膨大さと地方自治体の財政制約
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・専門技術者不足と従来技術者のスキル転換問題
・地方部における人材不足の深刻化
▽解決策1:段階的研修プログラムの構築
・3段階研修プログラムの国主導構築
・オンライン学習システムによる継続的スキルアップ環境
▽解決策2:産学官連携による人材育成基盤強化
・大学工学部との連携とデータサイエンス必修化
・民間IT企業との人材交流プログラム制度化
▽解決策3:外部専門人材の戦略的活用体制整備
・民間コンサルタント企業のDX専門部署設置促進
・IT企業からの出向・派遣制度拡充
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
◇リスク及びその対策1:技術者間スキル格差拡大リスク
・組織内デジタル技術スキル格差拡大への対応
・全技術者の最低限デジタルリテラシー習得義務化
◇リスク及びその対策2:人材流出加速リスク
・高度スキル習得技術者の民間転職加速問題
・長期雇用契約と研修費用返納義務制度導入
◇リスク及びその対策3:技術依存による脆弱性増大リスク
・従来土木技術軽視による現場対応力低下
・デジタル技術教育での土木工学基礎理論重要性継続強調