技術士R06【1203農業部門-農業農村工学】Ⅱ-2-1|1200字では伝えきれない!骨太論述と全詳解|防災重点ため池の工事必要性評価
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔷R06_Ⅱ-2-1|過去問題
農業用ため池は全国各地に築造されているが、老朽化が進行するとともに、頻発化・激甚化する自然災害に対して脆弱なものが多い。こうした中、防災重点農業用ため池に指定されたあるため池について、防災工事の必要性を評価することとなった。 この業務を担当責任者として進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。
(1)防災工事の必要性を判断するための評価を行うに際して、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)留意すべき点、工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R06_Ⅱ-2-1【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①ため池の現況把握と劣化状況調査
・堤体の基本情報整理と過去の改修履歴
・堤体内部の土質構成と基礎地盤状態
②耐震性能および豪雨耐性の評価
・レベル2地震動想定の耐震性能照査
・想定最大降雨量に対する洪水吐流下能力
③被害想定と影響範囲の評価
・氾濫解析による浸水想定区域の算定
・人的被害と経済的損失の定量的評価
④総合的な防災工事必要性の判断
・危険度と優先度の多角的検討
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
▽手順①:事前準備と情報収集
・複数資料の照合による正確性確認
・地元ヒアリングによる記録外情報収集
▽手順②:現地調査の実施
・渇水期を考慮した調査時期の設定
・最新技術活用による効率的データ取得
▽手順③:解析・評価業務
・複数地点サンプリングによる信頼性向上
・三次元浸水解析による可視化と説明
▽手順④:総合評価と対策工法の検討
・技術的妥当性と経済性の多角的比較
・ライフサイクルコストの定量的提示
▽手順⑤:報告書作成と成果の整理
・一般住民にも理解可能な平易な表現
・図表活用による合意形成の円滑化
(3)関係者との調整方策
1)地元土地改良区との調整
・調査計画段階からの情報共有と協力依頼
・評価結果のフィードバックと意見交換
2)市町村防災担当部局との調整
・地域防災計画との整合を図る早期協議
・住民説明会共催と広報活動への協力要請
3)地域住民との調整
・地域説明会による丁寧な業務目的説明
・中間報告会での進捗報告と意見聴取
4)都道府県農政担当部局との調整
・調査結果の定期報告と技術的助言取得
・補助事業活用に向けた早期協議開始
5)専門家・学識経験者との調整
・高度な技術的判断への専門家意見聴取
・技術検討委員会による客観的審議実施
🔷R06_II-2-1【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①ため池の現況把握と劣化状況調査
堤体の築造年代、構造形式、施工方法等の基本情報を収集し、設計図書や過去の改修履歴を整理する。目視調査により堤体表面のクラック、漏水、変形、法面の侵食状況を確認するとともに、ボーリング調査や物理探査により堤体内部の土質構成、空洞の有無、基礎地盤の状態を把握する。さらに洪水吐や取水施設等の附帯構造物について、老朽化や機能低下の状況を調査する。
②耐震性能および豪雨耐性の評価
レベル2地震動を想定した耐震性能照査を実施し、堤体の滑り破壊や液状化の可能性を検討する。設計基準の変遷を踏まえ現行基準との適合性を確認する。また近年の降雨データを分析し、想定最大降雨量に対する洪水吐の流下能力を水理計算により評価するとともに、越流時の堤体侵食リスクや異常洪水時の安全性を検討する。
③被害想定と影響範囲の評価
ため池が決壊した場合の浸水想定区域を氾濫解析により算定し、ハザードマップを作成する。浸水想定区域内の人家、公共施設、農地、重要インフラ等の位置と数量を把握し、人的被害、経済的損失、社会的影響の程度を定量的に評価する。また地域住民の避難経路や避難時間を検討し、防災体制の実効性を確認する。
④総合的な防災工事必要性の判断
これらの調査結果を総合的に評価し、ため池の危険度、被害の影響範囲、対策の緊急性を多角的に検討することで、防災工事の必要性と優先度を判断する。
🔷R06_II-2-1 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
