技術士R02農業:農業農村工学|選択問題Ⅱ-2-2 |1200字では伝えきれない|骨太論述と全詳解|ため池改修設計の必要性判断と手順
小泉士郎🎈|技術士(建設・総監部門)×セルフケア
🔶R02_Ⅱ-2-2|過去問題
ため池改修の設計に当たっては、適切な調査を行い、改修の必要性を判断した上で進める必要がある。あなたが、改修の設計の担当責任者に選ばれた場合を想定して、下記の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順とその際に留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R02_Ⅱ-2-2【1.5倍論述のための】骨子例
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①堤体の安全性に関する調査・検討
・現地踏査及びボーリング調査による土質構成と透水性の把握
・安定計算と浸透流解析による各種荷重条件下の安全性評価
②洪水吐の機能および貯水容量に関する調査・検討
・測量と流出解析による洪水吐の流下能力の検証
・老朽化調査と貯水量算定による改修後の機能妥当性確認
③基礎地盤に関する調査・検討
・ボーリング調査による支持力と液状化可能性の評価
・地質断面図作成による軟弱層分布と地盤改良工法の選定
④周辺環境および施工条件に関する調査・検討
・土地利用と生態系調査による環境影響の検討
・工事用道路と施工ヤード確保による施工計画実現性の確認
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
①予備調査および現地踏査の実施
・管理者ヒアリングと降雨後踏査による重点調査箇所の特定
・ドローンと赤外線サーモグラフィーによる効率的変状把握
②詳細調査および解析の実施
・複数箇所ボーリングと室内土質試験による信頼性の高い強度定数取得
・三次元浸透流解析とニューマーク法による高度な安全性評価
③改修工法の選定および設計
・調査結果に基づく総合的工法検討と費用対効果の最適化
・BIM/CIM活用による視覚的説明資料作成と合意形成の円滑化
(3)関係者との調整方策
①ため池管理者および受益農家との調整
・説明会開催による改修必要性と非かんがい期施工の提示
・仮設ポンプ設置協議と維持管理費用負担区分の早期調整
②行政機関との調整
・農政・土木部局との補助事業採択要件と予算措置の確認
・河川管理者及び環境部局との治水対策と環境保全措置の協議
③調査会社および技術的専門家との調整
・調査位置・項目の的確な指示と現地状況変化への柔軟な対応
・学識経験者委員会設置による設計品質の妥当性確保
🔶R02_II-2-2【深掘り考察】設問(1)解答
(1)調査・検討すべき事項およびその内容
①堤体の安全性に関する調査・検討
ため池の堤体について、現地踏査により漏水箇所、亀裂、変形等の変状を確認する。ボーリング調査および土質試験により堤体の土質構成、透水性、強度特性を把握し、盛土材料の品質を評価する。堤体の安定計算を実施し、常時、地震時、洪水位時および水位急低下時における安全率が基準値を満たすか検証する。漏水が疑われる場合は、浸透流解析により浸潤線の位置を把握し、パイピング破壊に対する安全性を評価する。
②洪水吐の機能および貯水容量に関する調査・検討
洪水吐の断面寸法、越流部の高さ、余裕高等を測量により確認する。流域の最新の降雨データを用いた流出解析により設計洪水量を算定し、現況の洪水吐に流下能力不足がないか検討する。洪水吐の老朽化状況を目視調査し、コンクリートの劣化、鉄筋の腐食、止水機能の低下等を確認する。貯水池の測量により有効貯水量を算出し、受益地の水需要と比較して、改修後の貯水容量の妥当性を検討する。
③基礎地盤に関する調査・検討
ボーリング調査や標準貫入試験により基礎地盤の支持力、透水性、液状化の可能性を評価する。地質断面図を作成し、軟弱層や高透水層の分布状況を把握する。地盤改良の必要性を判断し、適切な対策工法を選定するための基礎データを取得する。
④周辺環境および施工条件に関する調査・検討
周辺の土地利用、保全対象施設、文化財に加え、希少動植物等の生態系について調査し、改修工事が自然・社会環境に及ぼす影響を検討する。工事用道路の幅員や耐荷重、施工ヤードの確保、濁水処理施設の配置等の施工条件を調査し、施工計画の実現性を確認する。
🔶R02_II-2-2 <1200字では伝えきれない!解答(2)・(3)全文>
(2)本業務を進める手順及び留意点・工夫点
