金融市場は株式市場に限らず為替市場、債券市場、不動産市場でも仮想通貨市場でも、どの市場であっても必ず需給に支配されている。
株価は長期的には企業価値に収束する。しかし短期間は（それもおそらく思われているよりもはるかに長い時間としての意味での）様々な情報量、知能、場合によっては言語まで違う投資家たちの株式の需要と供給で株価は上下する。単なるノイズだと舐めてはいけない。平気で上にも下にも３０〜５０％程度は動いてしまうものだ。明敏な企業分析による圧倒的自信がなければ−５０％の株価変動は耐えられないだろう。バリュー投資の父とされるバフェットの師であるベンジャミングレアムは著書『賢明なる投資家』の中で最重要概念として安全マージンの概念をあげている。これは単純な話だ。バフェットは誤りの許容範囲と呼んでいる。対象企業の算出した企業価値をおおきく下回る状態にある株価で買い付けろという話である。しかし単なる正確なファンダメンタルズ分析ができるだけでは十分ではない。いつ、どのタイミンングで自分が買いたい価格帯に株価が変動するのかを見抜く力も必要になってくる。
題名には仰々しく”需給理論”などと銘打ったが、理論なんていう大層なものではない。一度見聞きして理解してしまえばなんていうことはない至極当然の話ばかりである。しかしながら言われてからでないとなかなか気がつけないものが多いのも事実であり、自力でマーケットで資金をジリジリと削りながら学んでいくのは非効率である。そしておそらく９８％の人間は需給の仕組みに気が付き、習得する前に資金が底を尽きて退場する。そして自分は向いていなかった…ともう２度と株式市場には帰ってこないだろう。僕自身自分一人の力では限界があると考え、複数人の億トレ（今はみんなもういない）の短期売買の師匠のノートをいくつも買い漁ることで授けられた気付きによって、ようやく習得したものである。もちろん師匠の理論をもとに自分でも実践を通して得た気づきをもとにアップデートしてきた。
個人的に株式投資に関する情報、ノウハウ、勝つための学習については二つの困難があるように思える。一つは中長期ファンダメンタルズ投資で特にわかりやすいが習得する際に勤勉性が要求される。会計、ファイナンス、経済学の膨大な項目を理解、覚えるための労力である。これは高い学習能力と長い時間投下（と言っても長くても２〜３年程度であるが）が必要である。もう一つは短期売買で必要になりがちな気が付く力、応用力である。こちらはファンダメンタルズに比較してセンスの側面が極めて強いように感じられる。実際に書籍等では解説されているところはあまり見たことがない。億トレの一部がたまにノートやブログでその手法を手の内を見せてくれたりするのだが、すぐに彼らは消えてしまう。どうやらファンダメンタルズと違って手法を口外してしまうと優位性が落ちる、取れる利益が減ってしまう類のものであるようだ。人によりけりの独自の理論が多く、数人の非常に有益で参考させてもらった億トレたちの理論、需給解釈は共通する部分はあるが重視している点の違いや、ある人は気がついているがある人は気づいていない等々、千差万別であった。
ローソク足や移動平均線は始めたての初心者でも一見理解しやすくほとんど投資家全員が使っているだろう。しかし本当の意味で理解して使えているのだろうか。個人的にはXを観察している限りではまるで使えていない人ばかりであるように思える。テクニカル分析を盲信してそれらが何を指し示しているのか適切に真意を汲み取れている投資家の数はほとんどいないように思える（と言っても僕自身偉そうなことを言えるほどの自信はないが）あくまでローソク足や移動平均線は需給判断のためのツールなのである。
ちなみに板読みに関しては記述が膨大になりすぎてしまうこと、より感覚的な部分が多く言語化しにくいこと、今現在ではアルゴの高速取引が増加し人間が板読みを通して利益を上げることは相当な難易度となっていること、などの理由でこのtipsでは取り扱わないことにする。しかしここに記す事柄全てが、結局のところ板読みの結論と近似する物事ゆえにその点は問題ない。もしかしたら今後新しいtipsとして板読みに関するものを書くかもしれない。
長々説明したが要はこのtipsはデイトレードやスイングトレードをする人は当然必須であると同時に、中長期ファンダメンタルズ投資をする投資家にとっても、読む価値があると言いたかった。個人的な意見として、僕はあらゆる人間の学習においてリベラルアーツ的な学び方が最良であると考えているが、株式投資においても同様の考えである。要は短期売買でも長期投資でも、全ての金融市場に関与する投資家は短期概念、例えばローソク足や移動平均線、出来高はじめ需給読みのために必要な概念から、ROICやWACC、FCFなどの会計ファイナンス指標に理論、金利や為替などの経済指標に関しても総合的に理解する必要があると思っている。
長くなったが要は、、、みんなこのtips買って読め！！！
目次
- 需給判断における大原則
- ダウンサイドリスク
- 基礎的なツールの確認（ローソク・移動平均・出来高・価格帯別出来高等）
- エントリーパターン
- 時間軸調整と価格軸調整
- 需給の良化条件と悪化条件
- 需給の基軸
- その他各種定量的需給判断指標（信用倍率、機関投資家空売り比率、相場温度等）
- 緊急事態における需給読み
- マクロな資金の流れ
- 推奨書籍
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