Amazonを開く。
似た商品がたくさん出てくる。
「もっといいのがあるかも」
そう思って比較しているうちに、気づけば20分。
結局、
「今日は買わなくていいか」
と閉じてしまう。
僕はこういうことが結構あります。
普通に考えれば、選択肢は多い方がうれしいはずです。
自分に合うものを選べるし、自由も増える。
でも読書メモを見返していたら、
「選択肢は、多ければ多いほどいいとは限らない」
という話が出てきました。
本当にそうなのか。
今回は、元になった研究まで調べてみました。
まず、10秒クイズ。

あるスーパーで、ジャムの試食販売が行われました。
用意されたのは、
A|24種類のジャム
B|6種類のジャム
さて、
実際にジャムを買った人の割合が高かったのは、どちらでしょう?
少しだけ予想してみてください。
・・・
答えは「B|6種類」。
これ、かなり面白い結果でした。
24種類の方が、人は集まった。
この有名な実験は、Sheena IyengarとMark Lepperが2000年に発表した研究の一つです。
高級食料品店で、ジャムの試食ブースを用意しました。
あるときは24種類。
別のときは6種類。
すると、24種類の売り場の方が、通りかかった人を引きつけました。
ところが、実際の購入を見ると逆でした。

24種類の条件では、立ち寄った人の約3%。
6種類の条件では、約30%が購入しました。
つまりこの実験では、
選択肢が多い
→ 興味を持ってもらいやすい
一方で、
選択肢が少ない
→ 実際に選ぶところまで進みやすかった
という、ちょっと不思議な結果になったんです。
なぜ、選択肢が多いと決められなくなる?
24種類もあれば、
「これもいい」
「でも、こっちも気になる」
「こっちの方がおいしいかも」
と比較するものが増えていきます。
選べる自由は増える。
でも同時に、
「どれを選べばいいんだ?」
という負担も増える場合があります。
こうした、選択肢が増えることでかえって選択が難しくなったり、決断を先送りしたりする現象は、一般に「選択過多(choice overload)」と呼ばれています。
ただし、「選択肢は少ない方がいい」ではない。
ここが今回調べていて、一番大事だと思ったところです。
ジャム実験だけを見ると、
「選択肢を減らせばいい」
と思ってしまいます。
でも、その後の研究を見ると、そんなに単純ではありません。
2015年に発表されたメタ分析では、過去の研究99件の観察結果、計7,202人分を分析。
その結果、選択肢の多さによる負担は、
選択そのものが複雑か、決めるのが難しいか、自分の好みがまだ分かっていないか、なるべく労力をかけずに選びたいか
などの条件によって変わることが示されています。
一方で、選択肢が多ければ、自分の好みにより近いものを見つけやすくなるメリットもあります。研究でも「選択肢が多い=常に悪い」という単純な結論にはなっていません。
つまり、
問題は「多いこと」そのものではない。
自分が何を選びたいのか分からない状態で、比較するものだけが増える。
そんなときに、選ぶのがしんどくなりやすい。
僕はここが面白いと思いました。
これ、日常にも結構ある。
たとえばNetflix。
「今日は映画でも観よう」
と思って開く。
おすすめを見る。
ランキングを見る。
新着を見る。
気になる作品を開く。
また戻る。
さらに探す。
そして、
「もう寝るか」
僕はあります。
買い物でも同じです。
Amazonで、
「Aの方が安い」
「でもBの方がレビューがいい」
「Cにはこの機能がある」
「待てよ、YouTubeでも調べよう」
となって、
選ぶために調べていたはずなのに、調べること自体が目的になってしまう。
副業だって、
note、Brain、YouTube、TikTok、ブログ、せどり……
選択肢を増やせば増やすほど、
「結局、何からやればいいんだ?」
となることがあります。
だから、「もっと探す」の前にやってみる。
今回の研究を読んで、
僕が一つ試してみたいと思ったことがあります。
迷ったとき、
新しい選択肢を探す前に、今ある選択肢を3つに絞る。
これだけです。
「最高の選択肢を見つける」
ではなく、
「選べる状態を作る」
ことを先にやってみる。
1分だけ、やってみる。
今あなたが、
「決められなくて止まっていること」
を一つ思い浮かべてみてください。
買うものでも、
今日やることでも、
勉強でも、
副業でも構いません。
Q1|今、何で迷っていますか?
____________
Q2|候補を3つだけ残すなら?
① ________
② ________
③ ________
そして最後にもう一つ。
Q3|あなたが一番大事にしたい条件は?
価格?
時間?
楽しさ?
使いやすさ?
それとも別のもの?
____________
ここまで決めるだけでも、
「何となく迷っている」
から、
「この3つを、この基準で比べればいい」
に少し変わります。
TODAY'S ONE IDEA
選択肢を増やすことより、選びやすくすること
選べないとき、
僕たちはつい、
「もっと調べれば決められる」
と思ってしまいます。
でも、もしかすると逆かもしれません。
新しい候補を探す前に、
「3つに絞るなら?」
と考えてみる。

今日、何か一つ迷ったときに試してみます。
今回、読書メモに残っていた一つの知識から、元の研究まで調べてみました。
調べてみると、
「選択肢が多いと人は選べない」
という単純な話ではありませんでした。
選択肢が多いことにはメリットもある。
でも、自分の基準が曖昧なまま選択肢だけ増えると、選ぶこと自体が難しくなる場合がある。
本に書いてあることを、
「なるほど」で終わらせず、
クイズにする。元を調べる。自分ならどう使うか考える。
最近は、この読み方が結構楽しいです。
参考にした研究
Sheena S. Iyengar & Mark R. Lepper, When Choice Is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing?, Journal of Personality and Social Psychology, 2000. Alexander Chernev, Ulf Böckenholt & Joseph Goodman, Choice Overload: A Conceptual Review and Meta-Analysis, Journal of Consumer Psychology, 2015.
Iyengar & Lepperの研究概要(Columbia Business School)選択過多のメタ分析(Journal of Consumer Psychology)
