罰金をつけると、遅刻は減る?

罰金をつけると、遅刻は減る?

番犬man|ONE IDEA

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「遅刻したら罰金です」

そう言われたら、普通は遅刻する人が減りそうですよね。

僕もそう思いました。

でも、読書メモを見返していたとき、気になる話を見つけました。

罰金を導入したら、逆に遅刻する人が増えた。

「そんなことある?」

気になったので、今回は本を読んで終わりにせず、元になった研究まで調べてみました。


まず、1問。

ある保育園で、子どものお迎えに遅れる親を減らすために、

「10分以上遅れたら罰金」

というルールを作りました。

さて、その後どうなったでしょう?

A|遅刻する親が減った

B|ほとんど変わらなかった

C|遅刻する親が増えた

ちょっとだけ予想してみてください。

・・・

答えは「C」。

遅刻する親は、むしろ増えました。

しかも、研究では統計的に有意な増加が確認されています。

ここからが面白いです。

本当にそんな実験があったの?

ありました。

経済学者のUri GneezyとAldo Rustichiniが行ったフィールド実験で、2000年に The Journal of Legal Studies に「A Fine Is a Price」として発表されています。

研究ではイスラエルの保育施設を約20週間観察。

最初の4週間は、親がどれくらい遅れて迎えに来るのかを記録しました。

その後、一部の保育施設で、

10分以上遅れた場合、10イスラエル・シェケルの罰金

を導入しました。

普通に考えると、

遅刻する

↓

お金を取られる

↓

遅刻を避ける

となりそうです。

ところが実際には逆でした。

罰金を導入した施設では、遅れて迎えに来る親が増えた。


しかも、罰金をなくしても戻らなかった。

僕が一番「へえ」と思ったのは、ここでした。

研究の後半では、導入していた罰金を撤廃しています。

だったら、

「罰金がなくなったんだから、元に戻るのかな?」

と思いますよね。

ところが、

遅刻は罰金導入前の水準には戻りませんでした。

一度罰金を導入したことで、何かが変わった可能性があります。


なぜ、罰金で遅刻が増えた?

ここは注意が必要です。

研究から、

「親の善意が完全に消えた」

とまで断定することはできません。

研究者たちは、罰金によって親がその状況をどう捉えるかが変わった可能性を論じています。

罰金がなかったときは、

「遅れると先生に迷惑をかけてしまう」

という社会的な意味を持っていたかもしれない。

そこへ明確な金額が設定されたことで、

「遅刻すると、この金額を払う」

という取引として捉えやすくなった可能性があります。

つまり、

お金を追加すれば、

必ず人が望ましい方向に動くとは限らない。

ということです。

僕は「罰を作ればいい」と考えがちだった。

たとえば、

「スマホを触ったら○○禁止」

「勉強しなかったら○○」

「できなかったら自分にペナルティ」

僕も何かを続けようとすると、

どうやって自分を縛るか

を考えることがあります。

でも今回の研究を見て、

「罰を強くする」以外にも考えることがあるのかもしれないと思いました。

そもそも、なぜその行動をしたいのか。

自然にできる環境を作れないか。

こっちを考える余地もあります。

もちろん、この保育園の研究だけで「罰金は全部逆効果」とは言えません。

実際、後年にはこの有名な研究の頑健性や解釈を検討する研究も出ています。

だから今回の話は、「罰金はダメ」という万能法則ではなく、「インセンティブは人の行動の意味そのものを変える場合がある」という興味深い事例として見るのがよさそうです。


1分だけ、考えてみる。

今、

「やらなかったら自分に罰を与えよう」

としていることはありますか?

__________

もしあるなら、一度だけ逆から考えてみます。

「罰を作らなくても、自然にやりたくなる仕組みは作れない?」

たとえば僕なら、

「noteを書かなかったら自分に罰を与える」

ではなく、

「読書メモから面白い問いを1つ選んで、まず10分だけ書く」

くらいから試してみたいです。


TODAY'S ONE IDEA

人を動かしたいとき、

「罰を増やせばいい」とは限らない。

条件を追加する前に、

その条件によって、その行動の「意味」が変わらないか?

一度考えてみる。

本で見つけた知識を、

「へえ」で終わらせず、元の研究まで調べてみる。

そうすると、読書メモだけを読んでいたときより、少し違って見えました。

次もまた、165枚の読書メモから一つ選んで、

「これって、本当にそうなの?」

を調べてみようと思います。

出典: Uri Gneezy & Aldo Rustichini, “A Fine Is a Price,” The Journal of Legal Studies, Vol.29, No.1, 2000. 


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番犬man|ONE IDEA

忙しくても、3分でひとつ賢くなる。 200枚以上の読書メモから、仕事や日常に使える知識を紹介しています。 クイズと図解で「へえ!」→「自分なら?」まで。 22歳|読書好き|ONE IDEA

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