導入編「会計が分かる人が、Claude Codeで最初の会計ツールを動かすまで」に続く2本目です。
導入編では、CSVを読んで科目別に合計するツール(shukei.mjs)を1本動かしました。ただ、あのとき「何を作るか」を決めたのは僕です。あなたがやったのは、決まった指示をなぞることでした。次に「毎月の集計を、Googleドキュメントの報告書にもしたい」「締め日が近づいたら、Googleカレンダーにリマインドを出したい」と思ったとき、それをその場で言葉にできないと、道具は増えていきません。この記事では、「足したい機能はあるのに言葉にできない」人に向けて、目的と完成の姿の2つを自分の言葉で言えるようにする方法を扱います。データの置き場所や外部サービスとの連携が必要かどうかは、AIが会話の中で聞き出し、提案してくれます。これができれば、導入編の道具を、自分の手で何度でも育てていけます。
導入編では、作るものをこちらが決めて、その通りに頼んでもらいました。今回は逆です。あなたの目的を、あなた自身の言葉でAIに伝えて、導入編で作った道具を育てていく回です。新しいツールをゼロから作るのではなく、今持っている道具の指示書(CLAUDE.md)に、機能追加のルールを1つ足すところから始めます。
アクションプラン
- 覚えること:要件定義2項目(目的/完成の姿)を、自分の言葉で言えるようにする。データの置き場所や外部サービスとの連携が要るかどうかは、AIが会話の中で聞いて提案してくれます
- やること:導入編で作ったkaikei-miniのCLAUDE.mdに機能追加のルールを追記する→新しい目的を1つ伝える→AIの質問に答える→道具に機能が育つところまで動かす
- 天井:Googleドキュメント・Googleカレンダーなど、Googleサービスとの連携まで。専用データベース・Web公開・他社サービス連携はこの回では扱わない
この記事で手に入るもの
- 「自分で言えば、自分の道具が育つ」という感覚:型やコードの知識がなくても、目的を正しく言葉にできれば、AIが今ある道具に機能を足してくれると実感する
- 要件定義の練習:目的・完成の姿の2項目を自分の言葉で言えるようにし、データの置き場所や外部サービスとの連携方法はAIとの対話で引き出してもらう型
- 実演:導入編で作ったkaikei-miniのCLAUDE.mdに要件定義のルールを追記し、Googleドキュメントの報告書とGoogleカレンダーのリマインドを、自分の手で2つ足す例(さらに、毎月の作業をまとめてSkillにするところまで)
- この型は、他の機能を足す場合にも同じように使えます
導入編との違い
| Before(導入編) | After(この回) | |
| 作るものを決める人 | こちらが決めた通りに頼む | 自分の目的から、自分で決める |
| あなたがやること | 書かれた指示をなぞる | 要件(目的・完成の姿)を言葉にする。あとの技術的な提案はAIに任せる |
| できることの増え方 | 科目別に合計する1機能だけ | 目的が変わるたびに、同じやり方で機能を足していける |
導入編で手に入れたのは、集計という1つの機能でした。この記事で身につくのは、目的が変わるたびに、その都度また新しい機能を受け取るのと同じ効果を、自分の手で生み出せる技術です。来月以降、会社で新しい集計・報告の悩みが出るたびに、また外部に頼まなくても、自分の手で機能を足していけます。
素のClaude Codeと、何が違う?
Claude Code自体は、この記事がなくても使えます。ただ、何も準備せず素のまま使うと、初めての人はだいたい2つの場所でつまずきます。「何をどう頼めばいいか分からない」と、「外部サービスとの連携(API接続)で迷子になる」です。この記事の型と道具キットは、その2つをAI側の指示書で先回りして埋めるものです。
| 素のClaude Codeだけ | この記事の型+道具キット | |
| 要件の決め方 | 自分からうまく説明できないと、あいまいなまま作り始めてしまう | AIの方から「目的→完成の姿」の順に1つずつ質問してくれる。答えるだけで要件が固まる |
| 外部サービスとの連携(API接続) | どの画面で何を登録するかを、自分で調べながら進む必要がある | 必要になった瞬間に、AIがリンク付きで1操作ずつ案内。鍵は.envに置く決まりまで組み込み済み |
| 説明のトーン | 頼み方しだいで、専門用語まじりの返事になることがある | 「専門用語を避けてかみ砕く」決まりが指示書に入っている |
| 2回目以降 | 毎回ゼロから頼み方を考え直す | 決まった要件は要件メモ.mdに残り、Google・EDINET・freeeの認証部品も使い回せる。いつ頼んでも同じレールに乗る |
ひとことで言うと、素のClaude Codeが「腕のいい職人」だとすると、この記事で手に入るのは「初めてでもそのまま渡せる発注書のテンプレートと、工具箱のセット」です。職人の腕は同じでも、渡す側の準備で、仕上がりの確かさと早さが変わります。
ゴールは低くてOKです。まずは導入編で作ったkaikei-miniに、新しい機能を1つ足すところまで動けば、今日は十分。
会社のデータで試したい場合は、先に確認を:この道具はClaude(外部のAIサービス)に目的やデータの中身を伝えて動く仕組みです。会社が生成AIの業務利用を許可しているか、許可されている場合でも扱うデータの種類まで確認できているか、必ず確認してから使ってください(調査では「明示的に禁止」している企業は0.4%とごく少数ですが、「実際に活用している」企業も 34.5〜49.7%どまりで、特に中小企業は32.4%・小規模企業は28.0%にとどまります=多くの会社は「禁止されていないが、公式なルールも無い」グレーゾーンです。詳細は帝国データバンク・総務省の調査参照)。迷ったら、まずは自分の副業・個人事業のデータや練習用ファイルで試すのが安全です。
こんな人向けです
- 導入編でkaikei-miniを動かしてみて、次は別の機能も足したくなった人
- 経理・会計まわりのくり返し作業を、目的ごとに自分の道具に育てていきたい人
- ゼロから要件を伝えながら育てていく感覚を、実演を通じてつかみたい人
逆に、専用のデータベースに接続したい人、誰でも見られる形でWebに公開したい人、他社サービスと本格的に連携させたい人には、この回はまだ早いです。それらは天井の先の回で扱います。
