映画『彷徨う魂』、完成してから約一年。紆余曲折ありましたが、ようやくU-NEXTやビデオマーケット、Amazonプライム・ビデオ、DMM、DOCUSO映画館等々で配信が始まった。

 元々、この映画の企画は、2017年末に山梨県の石和にあったテアトル石和で観た『愛しのノラ』という結構な低予算の映画だった。確か、何かと二本立ての同時公開だったが、もう一本が何だったか、忘れてしまった。特にドラマらしい展開のないゆったりと流れる映画で、途中で主人公夫婦が飼っていた猫が、家出をして夫婦は必死になって、その猫を探すというのが大まかなストーリーといえばストーリーだった。

 夏目漱石のお弟子さんで、昭和を代表する文豪・内田百聞のエッセイ「ノラや」が、この映画の元になっている。エッセイなので、ドラマチックに展開しないのは至極当たり前である。この映画『愛しのノラ』では、結局、居なくなった猫は戻ってきてハッピーエンドで終わるのだが、ちょうどその年の9月に埼玉県で起きた元税理士による連続猫惨殺事件が僕の脳裏を横切った。もし、この映画の居なくなった猫が、そういった元税理士のような人間に捕まっていたら、ほんわかした映画のテイストは180度ガラリと変わるだろうと・・・。

 それが、映画『彷徨う魂』の企画の発端である。前述した元税理士による連続猫惨殺事件を基にしたドキュメンタリー映画『動物愛護法』に着手しながらも、劇映画のスタイルで動物愛護法の矛盾を描きたいという想いは、常にあった。

 内田百聞 → 映画『愛しのノラ』 → 映画『彷徨う魂』 という流れである。

映画『彷徨う魂』の前半は、『愛しのノラ』のような何もドラマチックな進展がないスローな日常生活を意識した。そして、後半はゾンビ映画の様になれば面白いかな?と。(笑) 主人公を演じた杉本凌士さんも僕のそんな演出を汲み取っていただき、前半と後半ではまるで別人の様に演じ分けて頂いた。そう、前半と後半では、全く違う映画になるようにした。本当は、後半は白黒にするつもりだったんだが、それをやるとあまりにも実験映画になるからと、スタッフに咎められた。

 そういえば僕が25歳から10年かけて作った80分の35ミリ映画『イヌ』も、白黒→特殊カラー→純粋カラーと変貌して映画のジャンルもどんどんと変わる作品だった。銀行強盗犯→犬の流浪の物語→案山子の怪物と乞食の子供の物語→オンボロ・ロボットとモンスターの闘い。どんな映画やねん!(笑) 一本の映画の中で、テイストが変わる作品って好きなんだろうな。坂本順治の『鉄拳』とか三池崇史の『デッドオアアライブ』とか。

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