本稿では、わずか4つの質問を通じて成果を上げる営業テクニック「SPIN話法」について、ブラック企業から倍率100倍のホワイト企業への転職を成功させた経験を持つ筆者が、その知見を共有します。
優秀な営業担当者が実践するこのSPIN話法は、ビジネスパーソンにとって必須の知識と言えるでしょう。参考資料『営業の聞く技術 SPIN』を基に、その詳細を説明していきます。現在営業職として活動中でSPIN話法をご存じない方には、特にお読みいただきたい内容です。また、営業職以外の方でも、社内外での交渉ごとを有利に進めたいと考える方にとって、有益な情報となるはずです。
結論から述べると、SPIN話法とは、大まかに言えば、押し売りをせずとも自然と商品が売れてしまう営業の極意です。より詳しく説明すると、決められた手順に沿って4つの質問をするだけで商品が売れるようになるテクニックであり、単に売れるだけでなく、相手から「ぜひ買いたい」と懇願されるほど有利に交渉を進められるようになります。そのためには、すぐにカタログを取り出して商品説明を始めるのではなく、まず順番通りに4つの質問を行い、その後に商品説明とクロージングへ移ることが肝要なのです。
では、その4つの質問とは具体的にどのようなものでしょうか。この解説の前半では、SPIN話法の4つの質問の概要をお伝えします。続く後半では、それぞれの質問で絶対に意識すべきポイントを解説。そして最後に、筆者からの補足として、明日から本格的にSPIN話法を実践するために非常に大事なポイントを一つお伝えして締めくくります。
まず、SPIN話法の大まかな解説から始めましょう。結論は、4つの質問をするだけ、というシンプルなものです。「優秀な営業担当者は話上手ではなく聞き上手だ」という話をよく耳にするかもしれませんが、彼らはただ興味の赴くままに質問を繰り返しているわけではありません。戦略的に、これから紹介する4つの質問を順番通りに行っているのです。
それが、状況質問、問題質問、示唆質問、解決質問、これら4つの質問です。ちなみにSPINとは、Situation(状況)、Problem(問題)、Implication(示唆)、Need-payoff(ニーズ充足)の頭文字を取ったものですが、英語の名称を覚える必要は特にありません。大事なのは、状況、問題、示唆、解決という流れで顧客に質問を投げかけ、顧客自身にどんどん話してもらうことです。
より具体的に言えば、次のような流れになります。この全体の流れだけでも覚えていただければ幸いです。
まず、「現状はどのような状況で、理想はどのようにお考えですか?」と質問し、現在の状況を確認します。
続いて、「そのような状況の中で、何かお悩みはありますか?」と問いかけ、問題を確認するのです。
そこからさらに、「その悩みは、そのまま放置しておくと深刻な事態になりませんか?」と質問し、顧客が抱える悩みが今すぐ解決すべき重要なものであることを示唆します。
そして最後の最後に、「もしよろしければ、その問題を私が解決しましょうか?」と問いかけ、顧客が「ぜひお願いします」となれば、ミッション完了という流れです。
繰り返しますが、非常に大まかに言うと、この4つの質問が基本となります。
1. 現状はどのような状況で、理想はどのようにお考えですか?
2. そのような現状の中で、何かお悩みはありますか?
3. その悩みは、放置しておくとかなり深刻なことになりませんか?
4. その深刻そうな問題を、私が解決しましょうか?
この流れで質問をし、顧客を「ぜひあなたに解決してほしい」という前のめりな状態にしてから、商品の説明を始めるのです。これが、驚くほど成果を上げる優秀な営業担当者が実践しているテクニックです。
このSPIN話法のどこが優れているのでしょうか。まず特筆すべきは、まだ商品説明や購入を迫るクロージングをしていない、ヒアリング段階であるという点です。一般的に営業の手順は、ヒアリング、商品説明、そしてクロージングという流れですが、SPIN話法では最初のヒアリング段階で既に顧客を購入したい気持ちにさせているところが素晴らしいのです。
これは心理学的な観点からも当然と言えるでしょう。人間は指示されるよりも、質問に答えて自ら宣言する方が実際の行動に移しやすい性質を持っています。その人間らしい習性を活用し、ヒアリング段階で顧客の購買意欲を高めてしまうのです。
また、この後の詳しい解説で明らかになりますが、SPIN話法は潜在的な、まだ眠っているニーズを掘り起こす力を持っています。
つまり、「まだ必要ないかもしれない」「欲しいけれど、もう少し先でいいだろう」と考えていた顧客を、「今すぐ購入しなければ」という状態に仕上げることができるのです。この点が非常に重要で、売上が飛躍的に伸びる営業担当者とそうでない担当者の違いがここに表れます。
大きな成果を上げる営業担当者は、潜在ニーズ、つまり「まだいらないかな」と考えている顧客のニーズを育てられるため、売上が大きくなるのです。
一方で、成果が上がらない営業担当者は、「まだいらないかな」という顧客を育てて契約に至った経験がないため、そのような顧客は買ってくれない、顧客になり得ないと思い込んでしまっています。
そうなると、そもそも営業できる相手、顧客の数自体が少なくなり、結果として当然のように売上が上がらない、という仕組みで成果が出にくくなっているのです。
しかし、ここで解説するSPIN話法は、その解決策となります。今まで「この顧客に営業しても仕方がない」と思っていた相手まで、有望な顧客に変えることができるでしょう。
ここまでの大まかな解説だけでは、4つの質問がそれほど強力なものとは思えないかもしれません。そのご指摘はもっともで、先の説明は概略に過ぎませんでした。ここからはSPIN話法の真価をより深く理解し、実際の業務で実践できるよう、4つの質問についてそれぞれ詳細に解説します。
まず一つ目、状況質問です。「現状はどのような状況で、理想はどのようにお考えですか?」といった形で質問します。この状況質問の狙いは、次の問題質問につなげること。顧客の現状と目指すべき理想の姿を整理する質問を投げかけ、まず現状と理想の間にギャップがそもそも存在するのかどうかをチェックします。
この状況質問を投げかける際に大事なポイントが3つあります。それは、「質問の数を絞る」「数字で語ってもらう」、そして「理想がない場合は一緒に描く」という点です。
まず、質問は数を絞って行いましょう。状況質問を数多く投げかけないようにするのです。なぜなら、質問に答えて現在の状況を説明するのは、顧客にとって非常に面倒な作業だからです。ですから、当然のことながら、顧客の会社のウェブサイトなどで事前に確認できる情報は調べておきましょう。
非常に大まかな「最近どうですか?」のような質問は、お互いに信頼関係がある場合には有効ですが、まだ初対面に近い間柄で行うと迷惑以外の何物でもありません。
例えば、顧客が大学受験のための塾を運営しているオーナーだとします。その塾のオーナーにウェブ広告を売り込みたいのであれば、その塾の店舗数、オーナーの方針、現在どのような広告を活用しているのか、分かる範囲で結構ですので調べておくべきです。
その上で、「御社はこのような層の受験生をターゲットに塾を運営されており、最近では地下鉄の車内広告も拝見しましたが、その効果はいかがですか?」といった形で状況質問をします。そうやって事前調査をした上で絞って状況質問をしたら、次は数字で語ってもらうことを意識してください。
というのも、先ほどの電車広告の効果についての質問に対し、「うーん、思ったより電車広告は微妙だったので、もっと頑張りたいですよね」というような曖昧な返答では何も分からないからです。現状と理想にギャップがあるのか、それはどの程度の大きさなのかを確認するのが狙いなのに、これでは情報が得られません。
ですから、そこはすかさず数字で確認します。「微妙ということは、その電車広告経由での受験生の申し込みが10人もなかったということでしょうか?」とか、「本当は1ヶ月に何人ぐらいの申し込みがあれば理想とお考えですか?」といった形で、具体的な数字で現状と理想を確認していくのです。
ただ、ここでさらに困ってしまうパターンがあります。それが、理想がないパターンです。ちゃんと数字は把握していると。電車広告経由での申し込みは1ヶ月で4人だった、という現状は把握しているものの、それを結果的に何件にしたいという理想がない場合があります。これは特に中小企業の顧客などではよく見られますが、営業担当者としては困ってしまいます。
なぜなら、営業担当者としては理想と現状のギャップを知りたいのに、顧客にそもそも理想がなければギャップなど生まれないからです。
ですので、その対策としてやるべきことは、理想がないなら一緒に描く、というものです。
ビジネスとしてやっているのだから理想や目標ぐらい持っておくべきだ、などと文句を言うのではなく、一緒に考えてあげましょう。
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