FXを始めたばかりの頃、負けたあとにそのまま終われないことがよくありました。
「このままでは終われない」
「あと1回だけやれば取り返せるかもしれない」
「さっきの負けくらいなら、すぐ戻せるだろう」
そんなことを考えて、予定していなかったトレードをしてしまう。
そして、さらに負ける。
今振り返ると、何度この流れを繰り返したか分かりません。
FXを始めた最初の5年間に何度も相場から退場した原因は一つではありませんが、この「負けを取り返したい」という気持ちには、かなり振り回されていたと思います。
負けると「お金を減らした」だけでは済まない
FXで負けたとき、数字だけ見れば資金が減っただけです。
ところが、実際にはそれだけではありません。
「自分の判断が間違っていた」
という感覚も一緒についてきます。
自信があったトレードなら、なおさらです。
上がると思って買ったのに下がった。
今度こそ大丈夫だと思ったのに損切りになった。
すると、お金を失ったことだけではなく、
「自分は間違っていた」
という事実まで突きつけられたような気持ちになります。
以前は、この状態になると冷静ではいられませんでした。
負けを確定させた直後なのに、もう次のチャートを探していました。
「元に戻したい」という気持ちは思った以上に強い
たとえば、その日まで順調だったのに、一度の負けで利益が減ったとします。
すると、
「せめて今日のスタート地点までは戻したい」
と思うことがあります。
前日までの残高に戻したい。
今日の損失だけでも取り返したい。
ここまで減ったら、せめて半分は戻したい。
こうして、自分の中にいつの間にか「戻すべき数字」ができます。
問題は、その数字と相場には何の関係もないことです。
自分が今日いくら負けたかを、相場は知りません。
こちらが「あと1万円取り返したい」と思っても、相場がその都合に合わせて動いてくれるわけではありません。
今なら当たり前だと思えます。
でも、負けた直後は、この当たり前のことが見えにくくなります。
取り返そうとするとトレードの目的が変わる
本来なら、チャートを見て、
「ここは自分がトレードする場面なのか」
と考えるはずです。
ところが、「取り返したい」という気持ちが強くなると、
「どこか入れる場所はないか」
という見方に変わります。
似ていますが、かなり違います。
前者は、条件に合う場所がなければ何もしません。
後者は、エントリーすることが先に決まっています。
あとは、その理由をチャートの中から探すだけです。
昔の私も、あとから振り返ると、
「なぜ、こんなところで入ったんだろう」
と思うトレードがかなりありました。
でも、その瞬間は本人なりに理由をつけています。
負けた直後ほど、
「今度は上がりそうだ」
「さすがにここから反転するだろう」
「これはチャンスかもしれない」
と、自分に都合よくチャートを見てしまうことがあるんです。
ロットを上げたくなるのも同じ流れ
取り返したい気持ちが強くなると、エントリー回数だけではなく、ロットにも影響します。
通常と同じロットでは、取り返すのに時間がかかる。
それなら少し大きくすればいい。
以前の私は、そんな考え方をすることもありました。
仮にそこでうまくいけば、
「やっぱり大きく張って正解だった」
と思ってしまいます。
これがまた厄介でした。
一度うまくいくと、危ない行動だったという感覚が薄くなります。
ところが毎回うまくいくわけではありません。
むしろ、負けている状態でさらにリスクを大きくすれば、一度の失敗がそれまで以上に大きくなります。
私が最初の頃に何度も退場した背景には、こうした行動もありました。
「取り返したい」と思うこと自体が悪いわけではない
長くFXをやってきて思うのは、
負けて悔しいと思うこと自体は、ごく普通のことではないか
ということです。
お金が減って喜ぶ人は、あまりいないでしょう。
自分の予想が外れれば、悔しくもなります。
ですから、
「取り返したいと思ってはいけない」
と無理に感情を消そうとするのは、簡単ではありません。
私の場合、問題だったのは感情が生まれることではなく、
その感情のまま次の売買を決めていたこと
だったと思います。
ここは大きな違いです。
負けた直後だけ自分のトレードを少し疑ってみる
FXを始めた頃の自分に一つだけ言えるとすれば、
負けた直後に、
「今、本当にチャンスだから入りたいのか。それとも、ただ取り返したいだけなのか」
と考えてみてほしいです。
それだけでも、自分が普段とは違う状態になっていることに気づける場合があります。
エントリーしたい理由が、
「条件がそろったから」
ではなく、
「さっき負けたから」
になっていないか。
これは、かなり大きな違いです。
FXではチャートだけを見ているわけではなかった
昔はFXで勝つためには、チャートの見方や手法を覚えればいいと思っていました。
もちろん、それらも必要です。
でも長く続ける中で、それだけでは足りないと感じるようになりました。
同じチャートを見ていても、
余裕があるときと、負けを取り返したくて仕方がないときでは、
見え方が変わります。
チャートが変わったのではありません。
見ている自分の状態が変わっています。
このことに気づくまで、私はかなり時間がかかりました。
私の場合、FXとの付き合い方が変わっていった背景には、こうした感情との距離の取り方もあります。
具体的に何を変えていったのかについては、また別の機会に書こうと思います。
今でも負ければ、もちろん気分のいいものではありません。
ただ、
「取り返したい」と思っているときほど、いつもの自分と違うかもしれない…。
そう気づけるだけでも、昔の私とはかなり違います。
同じような経験がある方に、何か一つでも参考になればうれしいです。
