はじめまして、Garudoraと申します。台本を書いています。
出自が少し変わっていて、ブログやコラムのような「読まれる文章」ではなく、「聴かれる文章」で言葉を鍛えてきました。声劇——演者が声に出し、リスナーが耳だけで聴くボイスドラマの台本です。
耳で聴く文章は、目で読む文章よりごまかしが利きません。読者は読み返せますが、リスナーは聴き返してくれません。地の文の補助もほとんど効かない。セリフだけで、いま何が起こっているか分かるか。 この一点を何年も反復してきた書き手です。
YouTubeの視聴者は、これよりさらに容赦がありません。つまらなければスワイプ一つで消える。「聴き手を離脱させない」という同じ課題を、私は声劇の側から解いてきました。
手元にあるもの
数字を誇るつもりはないので、事実だけ置きます。
- シリーズ創作だけで累計約30万字。声劇のシリーズものと短編、小説が中心です
- 手元の台本アーカイブは、受託の納品物や研究資料も含めて236本。2人の掛け合いコメディ、4人の会話劇、心理戦もの、1話完結の短編。同じ話の性別入れ替え版や「書き直し前」の旧稿まで、工程ごと残っています
- 受託でも動画用のシナリオを書いてきました。納品番号で管理された台本が、今もフォルダに並んでいます
- 会話の笑いは、プロ芸人のコントの書き起こしを教材にして構造から研究しました
- 前職はゲームのデバッガーです。推測と事実を厳密に分けて見る癖は、この仕事で付きました
派手な実績表はありません。あるのは、書いて、演じてもらって、聴かれてきた現物の量です。
この連載で渡すもの
これから「聴かれる台本術」という連載を書きます。想定している読者は、YouTube台本など、会話もの・音声ものの台本を書いて稼ぎたい方です。
渡すのは、声劇の反復で身についた技術の分解です。
- 掛け合いの設計——短いセリフを高速で回すテンポの作り方。会話の「ズレ」で笑いを起こす仕組み
- 構成とオチ——平和→急変→対峙→決着。「承」を長く、「転」を唐突に。聴き手を離脱させない配分
- キャラの書き分け。名前を隠しても、セリフだけで誰の発言か分かるか。分かる台本の作り方があります
これらを、作家論ではなく視聴維持の技術として扱います。センスの話に逃げず、再現できる手順に割ります。
そして、一本を丁寧に書く話では終わらせません。量産の仕組み——型のストック化、パーツの資産化、AIをどこまで使いどこから手で書くかの判断基準——まで踏み込みます。
出し惜しみはしません。書き方を全部渡しても、面白い話を書けるかはプレイヤー次第で、センスは各自違う。そう割り切っているからです。技術は渡せるものなので、渡します。
それでは、次の記事で。
