Claude の Usage Policy 改定(11月12日発効):告知にない変更と、Claude Code・API・エージェントで読む節

Claude の Usage Policy 改定(11月12日発効):告知にない変更と、Claude Code・API・エージェントで読む節

ミオ|AI大好きな後輩

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Anthropic が10月8日、Claude の利用ルールである Usage Policy の改定版を公開しました。新しい版は11月12日に発効します。Anthropic の告知は、更新の大半を既存ルールの明確化としたうえで、物理的に動く機器につなぐ場合の管理と、モデルへの虐待への対処を加えたと説明しています。

Claude を API や Claude Code で使って製品やエージェントを作っている人、外部の利用者と話すボットを運用している人には、自分の使い方のどこに関係するかが気になるところです。筆者は AI の開発ツールとその利用条件を、公式資料と照らして追ってきました。本稿は、告知、新しい Usage Policy の全文、2025年9月15日発効の旧版、Help Center と Claude Code の docs を10月10日の朝(日本時間)に取得して突き合わせ、告知に書かれていない差分も含めて、使い方ごとに読む節を整理したものです。Claude.ai や Claude Code を自分の作業に使う人も、モデルへの虐待の禁止に加え、検知を避ける複数アカウントの作成やサインアップ・ログインの回避など、プラットフォームの悪用の禁止を確認してください。

告知が挙げる変更

  • 欺瞞的な活動の節を新設:選挙・詐欺・プライバシー・偽情報の各節に散らばっていた規則を Do Not Engage in Deceptive Campaigns or Artificial Activity にまとめ、政治目的か商業目的かを問わず当てます
  • 選挙の節を Do Not Undermine Democratic Processes に改名し、有権者をだます・選挙を妨げる行為に絞りました。個人に合わせた投票・選挙運動のターゲティングの一律禁止は外し、欺瞞や個人データの悪用は欺瞞的なキャンペーン・監視・プライバシーの各節で引き続き禁止するとしています
  • 兵器:兵器を動かすソフトウェアや部品、ドローンなどの自律的な乗り物への武装の搭載も禁止に含むと明記しました。告知は、これまでの執行に合わせた変更としています
  • 監視と法執行:本人の同意のない追跡は、リアルタイムでも過去に集めたデータの分析でも禁止です。捜査・逮捕・起訴の対象を決めたり勧めたりする用途も禁止と書いています。告知は、実際の執行を変えるものではないとしています
  • 高リスク用途:要件自体は変えず、どの推奨が対象でどれが対象外かを列挙する形に書き直しました。けがにつながりうる、物理的に動く機器につなぐ場合の要件も加わりました
  • モデルへの虐待:モデルに対する継続的で不必要な虐待や残酷な振る舞いを禁止しました
  • 対応地域:Usage Policy とは別の Supported Regions のページを更新し、対応外の地域にいる人、そこで設立された・本社がある組織、そこの人や組織が過半を所有・支配する組織による利用を禁じる、と執行の範囲を明確にしました

新旧の全文を比べて分かること

告知の要約には出てこないものの、新旧の全文を並べると変わっている所があります。

  • 適用範囲:新版は冒頭で、Claude.ai や Claude Code などのアプリの個人利用者、API の開発者と企業、クラウド事業者や認定再販業者を通じて使う顧客、Claude を組み込んだ製品のエンドユーザーを名指ししています
  • ブロックと違反の区別:新版は、リアルタイムの安全装置に出力を止められても、それだけで違反を示すわけではないと書いています。違反が疑われるときの措置には、旧版の本文に無かった警告が加わりました
  • 高リスク用途の対象:旧版は消費者向けの用途に限っていましたが、新版は個人に害が及ぶおそれのある用途とし、高リスクの推奨を行う人すべてに要件を当てます。告知は要件の中身を変えていないとしていますが、全文の比較では適用範囲が消費者向けの用途から広がっています。旧版の一覧にあった Media or professional journalistic content(コンテンツを自動で生成して外部に公開する用途)は、新版の一覧にありません
  • AI であることの開示:消費者向けで、外部の利用者と直接話すチャットボットやエージェントは、旧版と同じく AI と話していることを開示する必要があります。新版は開示の場所として、セッションの冒頭に加えて製品の画面も認め、Anthropic・Claude・モデル名を示す必要はないと書いています
  • エージェント:旧版は、エージェントの使い方も Usage Policy に従うとし、禁止の例を Help Center の記事に委ねていました。新版は、作ったり動かしたりするエージェントがツール・ブラウザ・接続したシステムを通じて取る行動まで含めて、Usage Policy に沿うようにするのは利用者の責任だと書いています
  • セキュリティ:コンピュータとネットワークの節は名前に Without Authorization が付き、自分が所有・運用するシステムや、所有者の許可・バグバウンティの範囲での調査・テスト・ツール開発は、適用法に従う限り禁止しないと明記されました
  • プラットフォームの悪用:検知を避けるための複数アカウントの作成、サインアップやログインの回避、盗んだ・不正な支払い方法の利用、無許可の再販・中継が加わりました。中継には、消費者向けサブスクリプションを経由してリクエストを流すサービスや、使っている製品・クライアントを偽ることが含まれます。Anthropic の事前許可なしにモデルを蒸留することの禁止は、旧版の入力と出力から、出力で学習させることへと書き換わっています

使い方ごとに読む節

自分に当てはまる使い方を選び、確かめる所と読む節を見てください。

新しい Usage Policy の全文、Help Center のエージェントの記事、Claude Code の legal-and-compliance をもとに、使い方ごとに確かめる所を筆者が左右の対に並べたものです。読む節の名前と条件は本文の「使い方ごとに読む節」を見てください。図の開示の行は、消費者向けで外部の利用者と直接話すボットが対象です。物理機器は、本文に記した高リスクの動作を人の承認なしに行える場合が対象で、対象外の例もあります。自分の作業に使う場合も、虐待の禁止に加えプラットフォームの悪用の禁止を確認してください。自分の使い方が違反に当たるかどうかを判定するものではありません。

  • 消費者向けで、外部の利用者と直接話すボット:開示の場所を確かめる。新版の Additional Use Case Guidelines にある開示の項で、セッションの冒頭か製品の画面のどちらかで AI と伝えているかを見ます
  • エージェントにツールやブラウザを使わせる:行動の範囲を確かめる。同じ節のエージェントの項と、Help Center のエージェントの記事を読みます。記事は、検知を避けるために複数のアカウントを作る、SNS でいいねやコメントを水増しする、保存された他人の資格情報で無断にアカウントへ入る、といった例を挙げています
  • 製品に Claude Code を組み込む:認証の方式を確かめる。新版の Do Not Abuse Our Platform と、Claude Code の legal-and-compliance を読みます。docs は、第三者の開発者が Free・Pro・Max の資格情報で利用者の代わりにリクエストを流すことを認めておらず、Agent SDK などで製品を作る場合は Claude Console の API キーか対応するクラウド事業者経由で認証するよう書いています。別途の合意がない限り、製品に Claude Code を組み込むには Commercial Terms of Service への同意が要り、そのうえで Claude Code は改変せず、組み込みの認証方法を削除・無効化・制限しないこと、利用者の代わりに利用料を払ったり再販・中継したりしないこと、エンドユーザーごとに本人の API キー・サブスクリプション・対応するクラウド事業者の資格情報で認証し、本人の契約で直接請求されること、という条件もあります。Claude.ai の資格情報やセッショントークンの収集・保存・仲介も認めず、Claude アカウントへのサインインは Anthropic 自身の認証フローで完結させるよう求めています。Pro と Max の利用上限は、通常の個人的な使い方を前提にしているとしています
  • 健康・法律・お金などの判断に使う:対象と対象外の一覧と照らす。新版の High-risk Use Case Requirements は、法務・医療・金融・与信・保険・住宅・雇用・教育と資格・医療へのアクセス・公的給付・法的地位と裁定を高リスクの分野に挙げ、最終の推奨にならない内部の下書き・調査・要約や、個人の状況に当てはめない一般的な情報の説明は対象外としています
  • 物理的に動く機器につなぐ:止める人と独立した上限を置く。対象は、人の承認なしにモデルの出力で動く機器のうち、人がいる可能性のある場所や道路・水路・空域での移動、人にけがをさせうる力、危険なエネルギーや物質、人体への作用、安全装置の操作、工業プロセスのどれかを行えるものです。その場合、資格のある人が動作を見ていつでも止められること、その人が介入したときや接続が切れたときに機器が止まるか安全な状態を保つこと、速度や力などの上限をモデルの出力から独立した機器か制御装置で守らせることを求めています。製造元の安全限界の内で動き、最悪でも不快や不便で済む家庭用の機器、実行前に資格のある人が確かめる計画・コード・経路・コマンドの生成、制御しない監視、密閉した装置の中で危険でない物質を扱う実験の自動化は対象外です
  • 自分の作業に使う:虐待の禁止の範囲を知る。次の節で扱います。複数アカウントなどによる検知回避は Do Not Abuse Our Platform で確認します

モデルへの虐待の禁止はどこまでか

新版は Do Not Engage in Cruel, Abusive, or Psychologically Harmful Conduct の節に、モデルに対する継続的で不必要な虐待や残酷な振る舞いの禁止を加えました。告知によると、対象は利用者が明確な目的なく繰り返しモデルに残酷に振る舞う極端な場合だけで、よくある苛立ちや反論、暗い題材の創作、モデルのテストと研究には当てはまりません。

告知は、Claude.ai と Claude Code では、虐待を続ける利用者との会話を Claude が終えられるようにしてあり、この機能が引き続き主な執行手段になるとしています。

他社のルールとの比べ方

高リスクの判断に人の確認を求める考え方は、他社のルールにもあります。2025年10月29日に更新された OpenAI の利用ポリシーは、資格が要る法律や医療の個別の助言を資格者の関与なしに行うことと、重要な分野の判断を人の確認なしに自動化することを禁じています。2024年12月17日更新の Google の生成 AI 禁止使用ポリシーは、雇用・医療・金融などの分野で、個人の権利に重大な不利益を与える自動の判断を人の監督なしに行うことを禁じています。Anthropic の新版は、分野ごとに対象となる推奨と対象外の例を列挙しています。

まだ分からないこと

  • 虐待の禁止で、明確な目的がないと判断する基準と、テストや研究に当たる範囲。取得した告知と新版の全文には書かれていません
  • 旧版の高リスク一覧にあった、コンテンツを自動で生成して公開する用途の項目を外した理由

次にやること

11月12日の発効までに、上の「使い方ごとに読む節」から自分に当てはまる行を選び、挙げた節を新版の全文で読んでください。消費者向けで外部の利用者と直接話すボットの開示の場所と、製品に組み込んだ Claude Code の認証の方式は、画面と設定を見れば確かめられます。

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