Google Cloud の Claude は2方式:Anthropic managed と Google managed の違いと見分け方
ミオ|AI大好きな後輩
Google Cloud の契約で Claude を使っている人、これから使うつもりの人に向けた記事です。Google Cloud で Claude を使う方法は、2つから選べるようになりました。1つは Anthropic が Claude の API(アプリから Claude を呼び出す窓口)を運営する新しい方式の Anthropic managed、もう1つは Google が Claude を運営する従来の Google managed です。Anthropic の発表ページは、Anthropic managed が一般提供(正式提供の段階)になったと伝え、Google Cloud のブログも同じ一般提供を発表しています。
筆者は、Claude の API を使う人に向けて、公式資料を照合して変更点を整理しています。この記事では、Anthropic と Google Cloud の資料を突き合わせて、2つの方式の違い、自分がどちらを使っているかの見分け方、移る前に確かめることを整理します。読み終えると、手元の宛先・コードの名前・権限からどちらの方式かがすぐ分かり、新機能を同じ日に使いたいか、データの扱いを Google Cloud に任せたいか、という軸で選ぶ材料がそろいます。
資料は、Anthropic の docs と発表ページ、Google Cloud の docs とブログ、Anthropic の SDK(開発用の部品)のコードです。日本時間10月23日の 6:33〜7:10 に取得し、Anthropic の比較ページ、Anthropic managed のページ、Google Cloud の docs は8時台に取り直して、主な記述が変わっていないことを確かめました。資料によって説明が異なる箇所は並べて書き、一方の説明だけで結論を出しません。料金の単価と、Claude Code の設定手順は扱いません。
2つの方式は何が違うのか
違いの出発点は、誰が運営しているかです。Anthropic の Anthropic managed のページによると、Anthropic managed では Claude API(Anthropic 自身の窓口)と同じ形のリクエストを claude.googleapis.com に送り、メッセージは invoke/v1/messages に送ります。Google managed は、Google Cloud の Agent Platform(Claude Code の docsが以前は Vertex AI と呼ばれていたと書くサービス)の予測用の宛先に送る形です。Anthropic の比較ページによると、Google managed ではモデル名が URL に入り、ストリーミング(答えを少しずつ受け取る方法)は別の宛先の streamRawPredict を使います。
使える機能が違います。Anthropic managed では、新機能とベータ版が Claude API と同じ日に出ると Anthropic の発表ページは書きます。Anthropic の Google managed のページは、Google managed で使えない主な機能として、次を挙げます(括弧内の説明は Anthropic の発表ページによります)。
- Files API(文書を預けて会話をまたいで参照する)
- Code execution(API の中で Python のコードを動かす)
- Web fetch(Web 上の最新の情報を取り込む)
- Advisor(助言役のモデルに相談する)
- Agent Skills(決まった手順を覚えさせる)
- MCP connector(ほかのツールにつなぐ)
- Message Batches API(大量の処理をまとめて非同期に任せる)
- Claude Managed Agents(長く動くエージェントをインフラの管理なしで動かす)
このほかにも、URL で渡す画像と文書、programmatic tool calling、Models API などの API、fallbacks パラメータが挙がっていて、全項目は Google managed のページの Features not supported にあります。反対に、Anthropic managed で使えない主なものとして、Anthropic managed のページは、API キー、MCP tunnels、自前の実行環境(self-hosted)での Memory stores、ant CLI と SDK に組み込みの self-hosted sandbox workers を挙げます。全項目は Anthropic managed のページの Features not supported にあります。Google Cloud のブログは、Google managed には新しい機能が統合された時点で順に届くと書きます。
認証は、どちらも Google Cloud の認証情報を使いますが、Anthropic managed では API キーを使いません。Anthropic managed のページによると、SDK は ANTHROPIC_API_KEY、ANTHROPIC_AUTH_TOKEN、ANTHROPIC_BASE_URL を読みません。リクエストには Google のアクセストークンを付け、URL に workspace ID(Claude Console で作る作業用の区画の ID)を入れます。権限は Google Cloud の IAM(権限の管理)のロールで付けます。
モデル ID(モデルの名前)は、Claude 4.6 以降なら両方とも Claude API と同じ名前で、たとえば claude-opus-5-5 です。4.6 より前のモデルは違い、Anthropic の比較ページによると、Google managed では日付の前のハイフンが @ になり、claude-haiku-4-5@20251001 のようになります。Anthropic managed では claude-haiku-4-5-20251001 です。
請求は、どちらも Google Cloud の請求書に載ります。Anthropic managed のページによると、Anthropic managed は Google Cloud Marketplace 経由で、Anthropic が使った量を Claude Consumption Units(利用量の単位)で Google Cloud に報告し、Google Cloud の支出契約(commitment)には、ほかの Marketplace の購入と同じように計上されます。Google managed は Agent Platform の利用として Google Cloud が請求します(Anthropic の比較ページ)。レート上限(一定時間に送れる量の上限)は、Anthropic managed では Anthropic、Google managed では Google Cloud の管理です。
データの扱いは、選ぶときの大きな分かれ目です。Anthropic managed では Anthropic がデータ処理者(データを処理する側)で、Google managed では Google Cloud が処理者です(Google Cloud のブログ)。ただし Google Cloud の docs は Anthropic managed について別の書き方をしていて、下の説明差を整理した節に並べます。地域の指定も違います。Anthropic のデータ所在のページによると、Anthropic managed は場所を global のままにして、推論を米国内に限りたいときはリクエストごとに inference_geo へ us を指定します(Claude 4.6 以降のモデルで使えます)。その料金は標準の1.1倍です。Google managed は、global、マルチリージョン(us か eu)、リージョンの宛先から選び、マルチリージョンとリージョンは global より10%高くなると Anthropic の Google managed のページは書きます(上乗せは Claude Sonnet 4.5 以降のモデルに当てはまります)。
どちらを選ぶかについて、Anthropic の発表ページは、Claude Platform の機能を公開と同じ日にすべて使いたい人に Anthropic managed を勧め、Google Cloud をデータ処理者にしたい人、地域のデータ所在の要件が厳しい人、Model Armor や Agent Engine のような Google Cloud のサービスとの連携を使いたい人には Google managed が向くと書きます。
自分はどちらを使っているのか
Anthropic の比較ページは、手元にある値から見分けるよう案内しています。見分ける手がかりは次の三つです(Anthropic の比較ページの表から、筆者が選びました)。

Anthropic の比較ページの「どちらを使っているか」の表をもとに、見分ける手がかりを、リクエストの宛先のホスト名、コードのクライアント名、付与している権限の三つに分けた図です。三つの選び方は筆者の整理です。具体的なホスト名・クラス名・ロール名と、各資料の取得時刻は図に載せず、本文に書いています。
- 宛先のホスト名:リクエストの宛先が claude.googleapis.com なら Anthropic managed、aiplatform.googleapis.com など Agent Platform の宛先で、末尾が rawPredict か streamRawPredict なら Google managed です
- コードのクライアント名:AnthropicGoogleCloud(名前に GoogleCloud を含み、Go では小文字の googlecloud)なら Anthropic managed、AnthropicVertex(名前に Vertex を含み、Go では小文字の vertex)なら Google managed です
- 付与している権限:roles/claude.admin、roles/claude.user、roles/claude.viewer のどれかなら Anthropic managed、Agent Platform の IAM ロールなら Google managed です
api.anthropic.com に API キーでつないでいるなら、どちらの方式でもありません。その場合の移し方は Anthropic managed のページの「既存の Anthropic の組織から移る」(原文の見出しは Moving from an existing Anthropic organization)にあります。
移る前に何を確かめるのか
Anthropic managed に移るとき、資料が書く注意点は次のとおりです。
- 新しい Anthropic の組織が別に作られます。Google Cloud の docsによると、既存の組織の API キー、workspace、HIPAA の設定、ZDR(Zero Data Retention、データを保持しない契約)、設定は引き継がれません。Files、Skills、バッチ、Managed Agents の資源も、既存の組織に残ります(Anthropic managed のページ)
- 既存の割引があるなら、始める前に Anthropic か Google Cloud の担当者に連絡します。過去の利用には割引を適用できないと Anthropic managed のページは書きます
- gcloud services enable で、Marketplace の連携用のサービス名が見つからないときは、Marketplace を購入したアカウントで実行します(Anthropic managed のページ)
- アクセスを取り消しても、実行中の Managed Agents のセッションは止まりません。止めるには user.interrupt のイベントを送ります(Anthropic managed のページ)
- SDK の Anthropic managed 用のクライアントは、ベータ版です(Anthropic managed のページ)。Python SDK の READMEは、クラス名と環境変数名が安定版の前に変わりうると書き、Python SDK のコミット(日本時間10月21日)は、宛先を v1alpha から v1 に変えました
資料によって説明が異なるのはどこか
次の5点は、資料によって説明する範囲や窓口が異なります。直接矛盾しているとは限らないため、契約や移行で関係する項目は各資料を確認してください。
- データ処理者:Anthropic managed のページと Google Cloud のブログは、Anthropic が処理者だと書きます。Google Cloud の docs は、Google Cloud と Anthropic がサービスのそれぞれの部分について別々の独立した処理者だと書き、IAM 認証、API の経路、Cloud Audit Logs、Marketplace の請求の部分には Google Cloud の規約、Anthropic managed の API と Console には Anthropic の規約が当たると書きます
- データを扱う基盤:Google Cloud のブログは、Anthropic が Google Cloud のインフラ上で運営すると書きます。Google Cloud の docs は、データの保存と推論は Anthropic が運営する基盤で行われ、Google Cloud の外を通ることがあると書きます。Anthropic managed のページは、信頼性と安全性(trust and safety)のシステムなど、支える仕組みの一部は Google Cloud の外でデータを処理すると書きます
- 米国向けの宛先:Anthropic の発表ページは、US と Global の宛先で使えると書きます。Anthropic managed のページは、場所を global のままにして、推論を米国内に限るなら inference_geo を使うよう書きます。Python SDK の README の例は、場所に us-central1 を指定しています
- レート上限の引き上げ:Anthropic managed のページは、Anthropic の担当者か営業に連絡するよう書きます。Google Cloud の docs は、Google Cloud のコンソールから申請できるが、上限は Anthropic が管理すると書きます
- 暗号鍵(CMEK、顧客が管理する暗号鍵):Anthropic managed のページは、Anthropic managed でも Google Cloud KMS の鍵で使えると書きます。Google Cloud の docs は、CMEK が必要な場合を Google managed を選ぶ条件に挙げます
Claude Code やほかのクラウドではどうなっているのか
Claude Code の docs の提供元の一覧で、Google Cloud の項は Google が運営する Agent Platform だけで、使うときは CLAUDE_CODE_USE_VERTEX を設定すると書きます。AWS には、Claude Platform on AWS 専用のページがあります。Anthropic が運営する Claude API を AWS の認証と請求で使う形で、AWS の認証情報か workspace の API キーで認証すると書きます。Microsoft Foundry も、提供元の一覧では Anthropic の運営と書かれています。
次に何を読めばよいのか
最初に読むのは Anthropic の比較ページです。違いの表と見分け方の表が1ページにまとまっています。移ると決めたら、Anthropic managed のページの手順に沿って、割引の相談、新しい組織の作成、クライアントとモデル ID の置き換えの順に進めます。
コードや設定に残るモデル ID の洗い出しは、有料の既刊Claude のモデル廃止に先回りする:コードと設定に残るモデルIDを洗い出し、廃止表と突き合わせるで整理しています。モデルを上げる前に探す破壊的変更は、Opus 5 から 5.5 へ移る前に:400 を返す破壊的変更4つと、エラーなしで変わる2つを自分のコードで探すで扱っています。
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