AIが「豪州でセレナe-POWERが爆売れ」と言ってきた。調べたら、狙い目が変わった
おさむ|AI輸出戦略
「豪州でセレナe-POWERが爆売れしている」
AIから、そんな速報が飛んできました。
しかも、
- SEVSを使える
- 環境規制をクリアできる
- 日本のオークション価格の1.5倍で売れる
- 60〜80日で回せる
- 350〜500万円の資金があれば参入できる
……と、かなり景気のいい話。
正直、
「ほんまか?w」
と思いました。
中古車輸出を調べていると、こういう話は一番危ない。
数字だけ見ると、ものすごく儲かりそうに見える。
でも、
「輸入できるのか?」
ここを間違えると、価格差なんて意味がありません。
そこで今回は、AI速報をそのまま信じず、
オーストラリア政府のROVERで、セレナのSEVS登録を確認してみました。
すると……。
ちょっと意外な結果になりました。
まず、AIが狙っていたのはC28セレナ
今回のAI速報がターゲットにしていたのは、日産セレナのC28。
C28といえば、日本では2022年末から販売されている現行世代です。
e-POWERは1.4L。
日本国内でも中古車価格はまだ高めです。
カーセンサーを見ると、2023年式のC28 e-POWER ハイウェイスターVで、支払総額335万円前後の個体も確認できます。
一方、オーストラリアのcarsalesを見ると、2024年式C28 e-POWERの掲載価格は、
A$44,900〜A$48,900前後
という個体が確認できます。
9月24日前後のAUD/JPYは1豪ドル=約111.4円なので、単純換算すると、
A$44,900 ≒ 約500万円
A$48,900 ≒ 約545万円。
たしかに、
「日本より高く売れてるやん!」
となります。
でも、ここで喜ぶのはまだ早い。
これはあくまでオーストラリア側の掲載価格です。
しかも、日本側も中古車販売価格。
輸出ビジネスで見るべきなのは、
日本の小売価格
↓
オークション落札価格
↓
輸出諸費用
↓
海上運賃
↓
豪州側の税・関税
↓
SEVS/RAV等の輸入・認証コスト
↓
販売価格
です。
この途中を全部飛ばして、
「500万円で売ってる!300万円で買えたら200万円儲かる!」
とやると、簡単に計算を間違えます。
そして、ここで重要な事実が出てきた
今回、私が一番確認したかったのが、
「C28 e-POWERは、今もSEVSで輸入できるのか?」
という点。
オーストラリア政府のROVERで確認すると、
NISSAN SERENA e-POWERモデルコード:C28SEV番号:SEV-000458
という登録自体は存在します。
ところが……。
有効期限は2026年5月22日。
つまり、この記事を書いている2026年9月時点では、すでに期限が切れています。
ここはAI速報と大きく違いました。
「C28 e-POWERだからSEVSで輸入できる」
とは、そのまま言えません。
じゃあ、セレナ輸出そのものが終了なのか?
ここも違いました。
むしろ、面白い登録が残っています。
それが、
C27 セレナ e-POWER
です。
オーストラリア政府のROVERには、
NISSAN SERENAモデルコード:C27Variant:E-POWERSEV番号:SEV-000975
という登録があります。
しかも、
有効期限は2028年10月26日。
ただし、ここにも条件があります。
対象となるのは、
2021年1月〜2022年10月の指定された製造期間
そして、
「6AA」または「5AA」のシャシーコード
を持つ車両。
つまり、
「C27なら何でもOK」
ではありません。
ここが中古車輸出でめちゃくちゃ重要なところです。
車名だけ見てはいけない。
年式・製造時期・型式・シャシーコードまで見る。
これが輸出候補車を探すときの基本になります。
さらに、C28には別ルートも存在する
ここもAI速報を調べていて面白かったところ。
C28自体がオーストラリアで完全にNGというわけではありません。
実際、現在オーストラリアにはC28 e-POWERの輸入車が存在しています。
carsalesにも、
「NEW ARRIVAL FROM JAPAN」
として2024年式C28 e-POWERが掲載されています。
つまり、
「C28はオーストラリアに入らない」
という話でもありません。
ただし、
「今から日本でC28を仕入れて、SEVSルートで普通の乗用車として輸入する」
という話になると、今回確認した政府登録だけでは簡単にOKとは言えません。
過去に登録があったことと、
「今この車を新しく輸入できること」
は別問題だからです。
関税も「盲点」というほど単純ではない
AI速報では、
「豪州の関税の盲点」
という表現がありました。
ここも調べてみました。
オーストラリア税関の現行Tariffを見ると、使用済み・中古の乗用車については、基本的に5%の関税が示されています。
さらに日本については、JP:5%という扱いも確認できます。
そしてC27/C28のe-POWERは、オーストラリアの関税表でも、
ガソリンエンジン+電気モーターのハイブリッド車
に該当する分類があります。
つまり、
「e-POWERだから関税が消える」
という話ではありません。
むしろ重要なのは、
どのHS分類になるのか
JAEPAの原産地要件を満たすのか
中古車としてどの税・手続きが適用されるのか
を1台ごとに確認すること。
ここまで調べて、AI速報の見え方が変わった
最初は、
「C28 e-POWERが豪州で爆売れ!」
という話でした。
でも、一次情報を追っていくと、
C28のSEVS登録は期限切れ。
一方、
C27 e-POWERには2028年まで有効なSEVS登録がある。
そして豪州ではC27 e-POWERの中古車価格も確認できます。
carsalesでは2021年式C27 e-POWERが、
A$27,999A$33,990
といった価格で掲載されています。
単純換算なら、
約312万円約379万円
くらい。
もちろん、これも販売価格であって、成約価格ではありません。
でも、
「日本でいくらで仕入れられるのか?」
を調べる価値は十分あります。
ここからが本当の「輸出分析」
ここまで無料部分で書いたのは、
「輸入できるかどうか」
の確認です。
輸出で本当に知りたいのは、その次。
つまり、
いくらまでなら買っていいのか?
です。
例えば豪州でA$30,000で売れると仮定しても、
そのままA$30,000=約334万円だから、
「334万円で売れる!」
ではありません。
ここから、
・
- 豪州までの海上運賃
- 日本側の輸出費用
- 港湾費用
- 保険
- 豪州側の通関費用・関税・GST・認証・登録関連費用・現地販売店のマージン・為替手数料・販売までの資金拘束
を引かなければいけません。
そして最後に、
「日本で何万円までなら買えるのか」
を逆算する。
これをやらないと、
「海外で500万円で売ってる車を300万円で買った!」
という、一見ものすごく儲かりそうな話が、
実はほとんど利益が残らない
ということも普通にあります。
そして、今回の調査で一番面白かったこと
今回、AIに間違いがあった。
これは別に悪いことではありません。
むしろ、
AIを使っているからこそ、見つけられたテーマ
だと思っています。
AIは、
「豪州でセレナが熱い!」
と教えてくれた。
そこで私は、
「じゃあ政府のデータを見よう」
とROVERを開いた。
すると、
C28 → SEVS登録はある。でも2026年5月22日で期限切れ。
C27 → e-POWERの有効なSEVS登録あり。期限は2028年10月26日。
という事実が出てきた。
これ、かなり面白いです。
AIを「答えを出す機械」として使うのではなく、
世界中から「なんかおかしい」を拾ってくる調査員
として使う。
そして最後は人間が一次情報で潰す。
私が今やっている中古車輸出の調査は、まさにこの形になってきました。
じゃあ、C27セレナe-POWERはいくらまでなら買える?
ここから先は、実際に数字を置いて考えます。
今回確認できた豪州側の価格を一つの基準にします。
仮に豪州で、
A$30,000
で販売できると仮定。
1豪ドル=約111円なら、
約333万円。
ここから豪州側のコスト、日本からの輸送費、税金、販売マージンなどを差し引きます。
重要なのは、
「333万円で売れる」
ではなく、
「333万円の売価から、全部引いた残りがいくらなのか」
です。
さらに、
「利益を30万円残したい」
「50万円残したい」
と逆算して、
日本側の仕入れ上限を決める。
これが輸出の「買い付けライン」です。
私はここを一番重視しています。
今回の暫定結論
AI速報では、
「C28セレナ e-POWERが豪州で爆発的なチャンス」
という話でした。
しかし一次情報まで確認すると、少し違います。
現時点で確認できた範囲では、
C28 e-POWERの過去のSEVS登録は2026年5月22日で期限切れ。
一方で、
C27 e-POWERには2028年10月26日まで有効なSEVS登録がある。
しかも対象車には、
製造時期シャシーコード
という条件が付いている。
つまり今回の本当のポイントは、
「C28が儲かる!」
ではありません。
「海外で高く売れる車を探すなら、まず輸入制度から逆算しろ」
ということ。
車種を決めてから制度を見るのではなく、
制度↓対象車↓現地価格↓日本の仕入れ価格↓輸送・税金↓利益
この順番で見る。
これだけで、AIが作った「儲かりそうな話」の見え方がかなり変わります。
そして次は、
「じゃあC27 e-POWERを日本でいくらまで買えば、豪州で利益が残るのか?」
ここを数字で詰めてみます。
中古車輸出は、結局ここが一番面白い。
「高く売れる車」ではなく、
「いくらまでなら買っても利益が残る車なのか」
です。
