はじめに:副業の時間がないのは、意志の弱さではありません
「副業を始めたいのに、帰宅すると21時を過ぎている」 「やろうと決めても、疲れて三日で止まってしまう」
残業が月40時間ほどある会社員なら、一度はこんな経験があるはずです。
先に結論をお伝えします。副業が続かない原因の多くは、やる気ではなく「時間の置き場所」にあります。残業のある日の夜は、仕事で使った集中力がほとんど残っていません。そこに副業を詰め込めば、続かないのは当然です。
この記事では、残業が月40時間ある会社員が、睡眠を削らずに「朝1時間」の副業時間を作る方法を、具体的な手順に落として解説します。読み終えたときには、次のことができるようになります。
・自分の1日から、副業に回せる時間を数字で見つけられる ・睡眠6時間以上を守りながら、朝の1時間を確保する就寝・起床の組み立て方がわかる ・朝の60分を「準備・集中・記録」に分けて、迷わず作業に入れる ・残業が長引いた日や、起きられなかった日の立て直し方がわかる ・副業を始める前に確認すべき会社のルールと税金の基本がわかる
なお、この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、収入や成果を保証するものではありません。制度については2026年10月13日時点で確認した情報にもとづいています。巻末の免責事項もあわせてご確認ください。
第1章 残業月40時間の「夜」は、副業に向いていない
月40時間の残業は、1日あたり約2時間
月40時間の残業を20営業日で割ると、1日平均2時間です。定時が18時なら退勤は20時、帰宅は21時ごろになります。そこから夕食と入浴を済ませれば、もう22時を過ぎます。
就寝までに残る自由時間は、せいぜい1〜2時間。しかもその時間は、1日働いた後の疲れた頭で過ごすことになります。
この記事で目指す1日の姿を、先に見ておきましょう。残業2時間の日でも、睡眠を6.5時間確保したまま、朝に60分の副業枠を置けます。細かい理由は、このあと順に説明します。

夜の副業が続かない3つの理由
夜に副業時間を置くと、次の3つの壁にぶつかりがちです。
1つ目は、疲労です。仕事で判断や気配りを繰り返した後は、文章を書く、設計する、考えるといった作業の質が落ちます。2つ目は、夜が「残り物の時間」になることです。残業が延びれば、副業の時間は真っ先に消えます。3つ目は、予定に侵食されやすいことです。飲み会、家族の用事、急な連絡など、夜は他人の都合が入り込みます。
よくある「夜の副業」の失敗パターン
「今日は残業で疲れたから、明日やろう」を繰り返し、気づけば1週間ゼロ。たまった分を週末に取り返そうとして、土日が副業で埋まる。疲れが抜けないまま月曜日を迎え、また平日の夜に何もできない。この悪循環は、意志の問題ではありません。疲れが最も溜まった時間帯に作業を置いている、設計の問題です。時間帯を変えるだけで、同じ人でも結果が変わることがあります。
朝に置くと何が変わるのか
朝の時間には、夜にはない特徴があります。
・睡眠をとった後なので、頭がリセットされた状態で始められる ・出勤という「動かせない締切」があるため、時間を区切りやすい ・他人からの連絡や誘いが入りにくい
ただし、効果には個人差があります。朝型が合わない人もいますし、何より大事なのは、睡眠を削って朝を作らないことです。睡眠を削った朝の1時間は、集中力も本業のパフォーマンスも下げてしまいます。この記事の方法は、すべて「睡眠時間を守る」ことを前提に組み立てています。
この記事の使い方
読み進めるときは、頭から全部を一度に実行しようとしないでください。まず第3章の棚卸しと、第4章の就寝時刻の見直しだけを今週やります。朝の60分の使い方は、その後で構いません。順番に1つずつ積み上げるほうが、結果的に早く定着します。
第2章 始める前に知っておきたい3つの前提
前提1:残業の上限と、自分の実績を知る
時間外労働には、法律で上限が決まっています。厚生労働省の解説によると、原則は月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、年720時間以内、休日労働を含めて月100時間未満、2〜6か月の平均が休日労働を含めて月80時間以内という上限を守る必要があり、月45時間を超えられるのは年6か月までです。
月40時間の残業は、この原則の範囲に収まる水準です。ただし、実際の上限は会社の36協定の内容によって異なり、繁忙期に月45時間を超える人もいます。副業で疲れを上乗せする前に、直近3か月の給与明細や勤怠記録で、自分の残業時間の実績を確認してください。
前提2:睡眠は「6時間以上」を下限の目安にする
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人の睡眠時間について、個人差があることを前提に、6時間以上を目安として確保するよう示しています。また、休日の睡眠時間が平日より長い場合は、普段の睡眠が足りていない可能性があるとされています。
この記事では、次のルールを守ります。
・睡眠は6時間を下回らせない(できれば6.5時間以上) ・日中に強い眠気が出る日が続くなら、朝の枠を減らす ・休日に平日よりもかなり長く寝てしまうなら、平日の睡眠が足りていないサインと考える
前提3:朝1時間は、積み上げると大きい
朝の副業時間を、平日5日×60分、土曜日に90分、日曜日は休みと設定すると、週の合計は6.5時間です。4週間で約26時間になります。
たとえば1つの成果物に3時間かかる作業なら、月に8本前後を作れる計算です。大きな時間ではありませんが、「毎日少しずつ」を半年続ければ、成果物は約50本になります。大事なのは、1日あたりの量ではなく、途切れずに続けられる設計です。
今日できる現状チェック
次の3つを、今日のうちにメモしてください。
- 直近3か月の、月ごとの残業時間
- 平日の平均就寝時刻と起床時刻
- 休日の起床時刻
この3つが分かれば、第3章以降の作業がスムーズに進みます。特に2と3の差が大きい人は、平日の睡眠が足りていない可能性があります。その場合は、いきなり朝の枠を作るのではなく、まず就寝時刻を整えることから始めてください。
前提は以上です。次の章から、具体的な手順に入ります。まず「どこから時間を作るのか」を、数字で見つけていきましょう。
