2025年から2026年にかけて、AI活用のトレンドは単なる「検索と要約(シンプルRAG)」から、AI自らが思考し、複数のツールを使いこなす**「Agentic RAG(エージェント型RAG)」**へと大きくシフトしました。
本記事では、Google Cloudの Vertex AI Search と Agent Development Kit (ADK) を組み合わせた、最新のAgentic RAGの実装パターンとその強力なメリットを、特に高度な推論が求められる「金融分析」のユースケースを中心に解説します。
1. 従来のRAGとAgentic RAGの決定的な違い
従来のシンプルRAGが「1回の検索」で回答を試みるのに対し、Agentic RAGはモデル(Gemini 2.5等)が**「自律的な計画立案と実行」**を繰り返します。
比較項目 従来のシンプルRAG Agentic RAG (Vertex AI + ADK)
プロセス 検索 → 結合 → 生成(1回切り) 計画 → 推論 → ツール呼び出し → 検証のループ
ツールの活用 基本的に1つの検索エンジンのみ 検索、SQL、Python実行、Web検索を動的に選択
複雑な質問 苦手(多段階の推論で破綻しやすい) 得意(複雑な問いを分解して解決)
ハルシネーション 発生しやすい(情報の不備を補完してしまう) 極めて低い(複数ソースでのクロスチェックが可能)
2. なぜ Vertex AI Search が選ばれるのか
Agentic RAGの「眼」となる検索コンポーネントにおいて、Vertex AI Searchは以下の点で圧倒的な優位性を持っています。
- Google品質のハイブリッド検索: ベクトル検索とキーワード検索を高度に組み合わせたランキングアルゴリズムにより、単純なベクトルDBでは見逃しがちな重要文書を正確にヒットさせます。
- マネージドな運用性: PDF、HTML、BigQuery、Google Driveなどの多様なソースから、数クリックでデータストアを構築。スケーラビリティやレイテンシを気にする必要がありません。
- ADKとのネイティブ統合: Google公式のフレームワーク「ADK (Agent Development Kit)」を使うことで、検索ツールを数行のコードでエージェントに組み込めます。
