ビットコインは20万ドル時代に突入するのか?
~テクニカル分析・戦略構築・相場観の鍛え方~
- はじめに
2025年5月、ビットコインは史上最高値を突破し、ついに11万ドルの大台に乗りました。これは一過性の投機的熱狂ではなく、構造的な資本移動とマクロ経済の変化によって支えられた上昇です。
本レポートでは、グローバルな資金の流れと、チャートに刻まれたメッセージを読み解きながら、今後の売買戦略を明確に提示します。
- 世界構造の変化:なぜビットコインは買われるのか?
● 通貨制度の信認危機
各国の財政赤字、債務の雪だるま化、そして継続的な通貨の希薄化により、法定通貨は「信頼できる価値の保管手段」としての地位を失いつつあります。これに対し、ビットコインは発行量が2100万枚に固定されており、政府による操作から独立しています。
● 機関投資家の資産クラス化
ブラックロック、フィデリティ、ヴァンガードといった大手機関がビットコインETFを通じて長期ポートフォリオに組み込み始めています。これはビットコインが「信用に足る資産クラス」として制度的に承認されたということを意味します。
● 地政学リスクと脱ドル化
戦争、資源ナショナリズム、ブロック化する国際秩序の中で、「中立通貨」への需要は増加の一途を辿っています。脱ドル化の動きに対して、ビットコインはグローバルな資本の避難先のひとつとして着実に選ばれつつあります。
- テクニカル分析:現在のビットコイン相場の骨格
● 上昇トレンドは依然として強力
・EMA50とEMA200(日足)が右肩上がり
・中期的なゴールデンクロスを維持
・トレンド転換の兆しはまだ見えず
● RSIとMACDによるモメンタム分析
・RSI(4時間足)は70付近:過熱感あり
・MACDは日足で強気クロス継続中だが、ヒストグラムは横ばい傾向
→ 短期的な調整、あるいは一旦の横ばいフェーズ入りの兆候
● ローソク足のシグナル
・上ヒゲの長い陽線が多発=上昇を売り叩く短期筋の存在
・実体の小さい陽線が増えている=買いの勢いは鈍化傾向
- 実践的な売買戦略:利を伸ばし、損を切る
● ロング(買い)戦略
・エントリーポイント:108,500~109,000ドル付近
・条件:RSIが50付近まで調整し、反発の兆しがある場合
・補強シグナル:MACDの上向き転換、もしくはハンマー型の反転ローソク足
・ストップロス:-2%
・利確目標:+4〜6%
この戦略の背景には、「上昇トレンドにおける押し目買いは、確率的に最も優位性が高い」という検証済みの原則があります。
● ショート(売り)戦略【慎重派向け】
・エントリーポイント:113,000〜114,000ドル(直近高値圏)
・条件:RSIが75を超えた過熱状態+MACDのデッドクロス兆候
・シグナル:ピンバー(上ヒゲ長)や陰線包み足などの反転ローソク足
・ストップロス:1.5%
・利確目標:+2〜3%
重要なのは、ショートは「本命ではない」という前提。相場の勢いは上に向いており、売りはあくまでも短期的な逆張りスキャルピングの手段です。
- 相場観の鍛え方と中長期展望
● 相場を「構造」で見る
価格は常にノイズに満ちています。重要なのは、相場がいま「どのフェーズ」にあるのかを見極めることです。現在のビットコインは「価格発見段階(Price Discovery)」の中盤に差し掛かっており、大きなトレンドが進行中です。
● 中長期シナリオ(2025年後半)
・強気ケース:20万ドル(ETF資金+半減期効果が継続)
・中立ケース:13万〜16万ドル(調整を含む健全な上昇)
・弱気ケース:10万ドル前後でのレンジ(短期投資家の利確優勢)
いずれにせよ、「強い押し目があれば拾う」という姿勢を維持すべき局面です。
- 結論:この相場は“まだ終わっていない”
多くの個人投資家が「出遅れ感」や「急騰後の反落懸念」で参入をためらっています。しかし、機関投資マネーは一度入るとそう簡単には抜けません。彼らの買いは時間をかけて入り続け、価格を下支えし、段階的に次のフェーズへ移行します。
今は、「順張り+リスク管理」の王道が最も強い局面。焦ってショートを取るのではなく、押し目を計画的に拾い、次の価格帯へ備えることこそが、今この相場に求められる投資家の姿勢です。