朝、秘書室のフォルダで「おはよう」と打つと、その日の日報が1枚のファイルで届きます。いちばん上には、僕にしかできない1手が、1つだけ書いてあります。
その下に、AI に任せられることが通し番号で並びます。「2番やっておいて」と打てば、その仕事は担当のフォルダへ派遣され、終わると報告が決まった場所に届きます。動かしているのは Claude Code(Anthropic 社の AI)です。
この記事は、1人でいくつもの仕事を Claude Code に任せていて、AI からの確認がチャットのあちこちに散らばって困っている人のためのものです。僕の秘書室の組み方を、決まりの原文と、そのまま置けるひな形の ZIP つきで渡します。
今の形にした最初の7日(9月30日〜10月6日)で、依頼は100件を超えました(依頼のファイルを数えた数です)。回してみると、困る所は2つありました。AI の仕事が止まることと、AI から僕に届く確認です。確認について僕が秘書に出した指示は、記録にこう残っています。
ターミナルの中で確認されると、質問をコピーして答えを付けて、また次の質問をコピーして…となって面倒
AI に仕事を任せるほど、僕への「これでいい?」という確認も増えます。確認をメモで受ける決まりにしてから最初の4日(10月3日〜6日)で、メモは40枚を超え(まとめ直した分も数えて)、メモの中の質問は100を超えました。
これでは、読むだけで1日が終わってしまいます。そこで、AI から僕に届く物を、3種類だけに絞りました。どれも、最初の数行の書き方を決めてあります。
- 日報:今日、僕にしかできないことを1つだけ書く
- 報告:最初の2行で「終わったか」と「僕が押す所があるか」が分かる
- デシジョン・メモ:選択肢にチェックを付けて保存し、「答えた」と送るだけ
しかもデシジョン・メモの答えは、保存すると30秒ほどで AI が拾って、そのまま次の作業に進めてくれます。
この書き方は、AI に仕事を頼む時の文に、最初から入れておきます。
効いているかを、10月7日の朝に数えました。頼む文に「僕が押す所を書いて」と入れた88件では、報告にその行が抜けたものは0件でした。入れなかった14件では、10件で抜けていました(4件は書いてありました)。頼む時に書いておけば、AI は忘れない、ということです。
AI が途中で止まった時も、確認の受け方も、この3つの形で受け取ります。最初の約1週間でつまずいた所と、そのたびに足した決まりは、日付順に後ろにまとめました。
秘書室の形:話しかける相手は1人
仕事の全体を、ホワイトハウスに見立てています。たとえは、役の線を守るための道具です。呼び名は「社長と秘書と部長」でもかまいません。
- 大統領=僕。決めて、押す(公開・送信・支払い)
- 首席補佐官=僕の窓口。秘書室のフォルダで「おはよう」を受ける Claude Code のセッションです。日報を出し、仕事を派遣し、紙を渡す。作業場のファイルを直接は書き換えません
- 長官(3人)=秘書室に置いたサブエージェント(役ごとの定義ファイルで動く、補助の AI)。受け持ちの事業を読みに行き、形の決まった報告を首席補佐官に返します
- 各部署=事業ごとのフォルダ(作業場)と、そこへ派遣されたセッション。書く・作る・直すは、ここでします
仕事の状態は、フォルダで分かるようにしています。依頼の記録は inbox、報告は outbox、確認のメモは questions、日報は briefs、済んだものは archive です。どこにあるかで、仕事がどの段にあるか(派遣した・僕を待っている・済んだ)が分かります。
今この形を気に入っている理由は、話しかける相手が1人で済むことです。この秘書室を人に渡せる形にするか、秘書に相談した日の僕の言葉が、依頼文に原文のまま残っています。
大統領の私がいて、組織としてホワイトハウスがある。で、大統領の下に側近がいて、それぞれさらに下にも部長がいて……みたいな感じで、一つのこの側近に話しかけるだけで全部進んでいくっていうのがすごく整理されててやりやすいし、しかもそれを Orca で使うっていうところもかなりやりやすくて、今気に入っているんです。
呼び名は借り物です。日報はアメリカの大統領が毎朝受け取る報告から、デシジョン・メモは大統領が決める文書から借りました。AI を秘書(Chief of Staff)として組む発想も、Anthropic の公式の見本や無料の公開例にあります。返してほしい形を、頼む時の文に書いておくのも、よく知られた指示の書き方だと思います。
このキットが足すのは、それを AI との間で1週間回して直した、決まりの原文と落とし穴です。
僕に届く3種類の紙
1枚め:日報(ひな形での名前は「大統領日報」)
日報は、毎回数え直します。前の日の一覧をそのまま引き継がず、済んでいない手は、元の日付つきで持ち越します。秘書室の USER.md(首席補佐官が読む、僕についての前提)には、こう書いてあります。
数日集中して一気に進め、しばらく空くこともある。だから毎日積み上がるToDoは腐る。秘書は開かれた時点の状況を毎回ゼロから出す
いちばん上は、僕にしかできない1手を1つだけにする決まりです。1手に選ばれなかった候補も消えません。AI が準備できるものは「任せられること」の欄に移り、番号が振られます。
2枚め:報告(頭の2行で、次の手が分かる)
派遣先は、終わったら outbox に報告を書きます。見出しと派遣先の行のすぐ下に、2行を置く形です。状態は「完了/計画のみ(確認待ち)/途中で止まった」から、1クリック(僕の手が要るか)は「要る/要らない」から選びます。ひな形の見本(架空の代表が、ネットショップの出品の下書きを頼んだ回)では、こう並びます。
・状態:途中で止まった(価格の決定待ち。デシジョン・メモ A1)
・代表の1クリック:要る(A1 に答える → 価格の入った下書きを公開)
この2行で、次の手はまず価格を決めることだと分かります。この形は、派遣の依頼文の「■終わったら」の欄で渡します。冒頭で数え直したのは、この2行めです。
3枚め:デシジョン・メモ(チェックを付けて、保存する)
AI が僕に確認したい時は、チャットで聞かずに、questions/ にメモを1枚書きます。冒頭の指示から作った決まりです。
問いごとに、選択肢のチェックと「回答」の行があります。僕はチェックを付けて保存し、「答えた」と打ちます。問いの数は減りません。減らせるのは、答える手間です。形は、次の節でそのまま渡します。

無料で渡す1枚:デシジョン・メモの頼み方
3種類のうち、今日から1人でも使えるのはデシジョン・メモです。ZIP の templates/memo.md と questions/README.md の決まりを、AI に貼って頼める1つの文に縮めました。
1人で使う形に合わせて、2か所を変えています。どう扱ったかを書く先を、日報からチャットに。✅ を付けて archive へ移す合図に、ひな形には無い「閉じた」を足しました。
私に確認や判断を求める時は、チャットで質問しないで、questions/ に「YYYY-MM-DD_HHMM_<毎回ちがうコードネーム>.md」というファイルを1つ作って。見出しは「# 🦅 DECISION MEMO「<コードネーム>」」。問いは、1つの件で全部の答えがそろわないと進められないものを1つの PACKAGE(見出しは「# 📦 PACKAGE A:<件名>」)にまとめ、ほかと関係なく決められる問いは1問だけの PACKAGE にして。問いの番号は A1・A2・B1 のように。問いごとに「- [ ]」の選択肢(おすすめを先頭に「(おすすめ)」、1つだけか複数かも書く)と、「回答(選択肢にないこと・補足):」の行を置いて。一度出したメモは、私が「閉じた」と言うまで書き換えないで(足す問いは新しいメモで)。私が「答えた」と言ったら読んで、PACKAGE の中が全部答えられた所だけ進め、どう扱ったかはチャットに書いて。私が「閉じた」と言ったら、処理した問いの見出しに ✅ と「→ どう扱ったか」を足して。全部の問いが片付いていて、私が「閉じた」と言ったら、同じ名前のまま archive/YYYY-MM/ に移して。
この文を、いつも使う作業のフォルダの CLAUDE.md(Claude Code が起きるたびに読むファイル)に貼っておけば、次のセッションでも効きます。ひな形では、1問がこの形になっています。
1つ選ぶ:
- [ ] ア. <案>(おすすめ)
- [ ] イ. <案>
- [ ] ウ. <案>
回答(選択肢にないこと・補足):
束ねる例は、「価格・売る場所・月の件数」です。3つそろわないと、出品が作れません。PACKAGE を足した日の僕の言葉が、日報に残っています。
1つの件で全部そろわないと進められない問いは、まとめて分けて。そろった時だけ進めて
束がそろうまで待たせれば、欠けた答えを AI が推測で埋めずに済みます。時間が無い日は、「この PACKAGE までは答えておこう」と束ごとに選べます。

今日できることは1つです。上の文を AI に渡してから、決めたいことを1つ選び、「〇〇を決めたいので、デシジョン・メモにして」と頼んでください。
ファイルを書ける AI(Claude Code など)が要ります。questions/ にメモが1枚できて、チェックを付けて「答えた」と打ち、AI がそろった束から進めば、3枚めの紙は動いています。
有料の部分にあるもの、要るもの
有料の部分では、残りの2枚(日報・報告)と、窓口・長官・派遣の組み方を、ひな形の組む順番7段に沿って書きます。段ごとに、作るもの・決まりの原文・確かめ方・落とし穴(踏んだものは記録つきで)を並べます。
最初の約1週間で足した決まりも、日付順の一覧にしました。ひな形の落とし穴の表は14個で、そのうち11個は、起きた記録(月つき)があるものです。
例えば、利用の上限で派遣がそろって止まった日、画面の選択肢に、従量課金へ切り替える「Switch to usage credits」がありました。それは支払いなので選ばない、と決まりに書いてあります。こういう1行を、段の中に入れてあります。ひな形の ZIP(37のファイル)は、有料の部分の最後に付けています。
渡さないのは、僕の実物の日報・報告・メモの中身と、事業の名前と、効果の数字です。効果は測っていません。この形で仕事が減るとも、売上が増えるとも約束しません。
使うのに要るものは、次のとおりです。
- Claude Code(僕は定額のプランで動かしています。利用の上限があります)
- Mac(僕が確かめたのは macOS だけです。Windows と Linux は確かめていません)
- Python 3.9 以上(道具を使う時だけ。追加のライブラリは要りません)
- Orca は任意(無料・オープンソースのアプリ。無い時の起こし方も、ひな形に入れてあります)
API キーを別に用意する必要はありません。ZIP の中に、API を呼ぶコードは入っていません。
向いていない人も書いておきます。仕事のフォルダが1つだけなら、窓口を1つにする値打ちは出にくいと見ています。公開や送信まで AI に任せたい人にも向きません。この秘書室で押すのは、僕です。このキットは個人が作ったもので、Anthropic や Orca の開発元とは関係がありません。
