SNSを開けば、今日も誰かの「最高の一日」が流れてくる。
フリルのついたブラウスに、淡い色のロングスカート。
お人形さんみたいに華奢な肩。
そんな可愛い服を完璧に着こなして、お洒落なカフェで微笑んでいる同い年の女の子たち。
画面の中の彼女たちは、まるで光そのものを纏っているみたいに眩しい。
正直に言えば、めちゃくちゃ憧れる。
私もあんなふうに、自分を「可愛い」と信じて、誰かに見せびらかしてみたい。
でも、ふとスマホを置いて鏡を見ると、そこにはいつもの私が立っている。
バイトで段ボールを運ぶために選んだ、色気のない服。
少し猫背気味の、可愛げのないシルエット。
「もし、あの服を私が着たら」
なんて一瞬だけ想像してみるけれど、すぐに頭の中で打ち消してしまう。
私が着たら、きっと服だけが浮いて、なんだか無理をしているみたいに見えるんじゃないか。
あの子たちみたいに、自然な「正解」として着こなせる自信なんて、どこにもない。
私には、あっち側の世界に踏み込む勇気も、自分を「可愛い」と思い込むための準備も、まだできていない気がする。
憧れれば憧れるほど、画面の中と現実の距離が浮き彫りになっていく。
あの子たちがキラキラした魔法にかかっている時間に、私はスマホの光を消して、ただの自分に戻る。
キラキラした世界は、指先でスクロールして消せる。
でも、その後に残る「何者でもない私」の質感だけは、いつまで経っても消えてくれない。
