自動化に取り組みたくても、最初の題材が決まらない。そんなときは、新しいツールを探す前に、日々の繰り返し作業を見直してみましょう。
この記事では7つの候補と、着手する仕事を選ぶ基準をまとめます。読み終えたら、自分の仕事を一つ選べることを目標にします。
1.Excelへの転記
システムから出した一覧を、別のExcelへ貼り付ける仕事です。列の対応が毎回同じなら、読み込みや参照の仕組みで置き換える候補になります。
最初に確認したいのは、コピー先にしかない情報です。担当者が手で加えたメモまで上書きすると困ります。「転記する列」と「人が記入する列」を分けるところから始めましょう。
2.決まった条件での集計
部署別売上、商品別件数、達成率など、毎回同じ計算を繰り返す作業です。
ただし「売上」の定義が人によって違うと、計算だけ自動にしても結果がそろいません。対象期間、返品の扱い、税込・税抜などを先に決めます。数字の意味をそろえることが、集計を任せる土台になります。
3.日報・週報・月報の下書き
実績を集め、前回と比べ、コメントを添える報告業務です。定型部分の作成を減らせる可能性があります。
数字の比較と、理由の判断は分けてください。売上が減ったという事実だけで、「営業活動が不足した」とは言えません。根拠のない原因は書かず、確認が必要な項目として残す設計にします。
4.定型メールの下書き
資料の送付案内、回答期限の連絡、社内への依頼などです。同じ構成が多いなら、テンプレートだけで十分に楽になることもあります。
最初は下書きまでを対象にし、宛先、添付、日付は人が確認します。文章の作成と送信を別の工程にすると、見直す場所が明確になります。
5.見積書・報告書の作成
顧客名や数量を、前回のファイルから書き換えていませんか。元データと文書のひな型を分けると、古い顧客名や条件を残すミスを減らす設計ができます。
値引きや特別条件は、文章からAIに推測させず、確定した入力項目として管理します。金額を扱う部分ほど、計算と承認のルールが必要です。
6.ファイル名の変更と振り分け
日付を付ける、部署ごとに分ける、所定の場所へ保存するといった作業です。命名規則が決まっていれば、AIを使わない自動化も考えられます。
同名ファイルがあった場合や、日付が読み取れない場合の扱いを先に決めましょう。最初は移動や削除をせず、コピーを作る方式なら確認しやすくなります。
7.未入力・重複・期限のチェック
必須項目が空欄になっていないか、同じ番号が二度登録されていないか。条件が明確なチェックも候補です。
ただし「重複に見えるが別の取引」という例外もあります。見つけたら自動で消すのではなく、確認用の一覧へ出す。その程度でも、目視で探す負担を減らせます。
自動化の前に、やめる・減らす・整える
候補が見つかったら、まず「誰が、何のために使っているか」を確かめます。使われていない報告なら、廃止や頻度の変更を関係者に相談できるかもしれません。
週5回を週1回にできれば、仕組みを作る前に作業が減ります。必要な仕事でも、入力形式をそろえるだけで楽になる場合があります。
やめる。回数を減らす。形式を整える。そのうえで、残った繰り返しを任せる。この順番で考えると、不要な手順まで自動化せずに済みます。
最初の一つを選ぶ、三つの基準
「頻度が高い」「条件を説明できる」「失敗しても元に戻せる」。この三つがそろう仕事から始めてみてください。
たとえば、緊急性の高い顧客対応より、社内向け集計表のコピー作成の方が試しやすいでしょう。入力と正解を見比べられる仕事なら、改善できたかも確かめやすくなります。
そのまま使える候補メモ
仕事名:月末の部署別集計
頻度:月1回
毎回同じ部分:部署コードで分けて金額を足す
例外:部署コードが未入力の行
最初に任せる範囲:コピーしたデータの集計表を作る
確認方法:従来の集計表と合計を照合する
この例を、自分の仕事に置き換えてください。空欄が多い項目は、着手前に確認することです。
次回は、
候補に挙がりやすいExcel集計を取り上げます。
「Excel集計に毎月1時間。AIとPythonでどこまで自動化できる?」
をテーマに、数字と文章の役割を具体的に分けてみます。
