渡せたもの、渡せなかったもの
先に結論を書きます。
渡せたもの
・社内規程と申請書のたたき台
・契約書を読んで、こちらに不利な条項を拾う作業
・営業リストの収集、重複の除去、優先順位づけ
・SNSの投稿文の作成と、予約投稿を入れる作業
・投稿結果の記録と、型ごとの比較
渡せなかったもの
・最終的な判断
・社外に出す文書の責任
・相手の表情を見て決めること
この記事は、この線をどうやって引いたかの記録です。
書いているのは誰か
会社を4つ経営しています。
業種はばらばらで、フランチャイズ本部の運営が中心です。
ソフトウェアの会社ではありません。プログラマーでもありません。
社内にエンジニアはいますが、ここに書くことはすべて、私自身が自分の手で動かしたものです。
経営者なので、ふだんは発注する側にいます。
AI導入の提案を受ける側で、何にお金を払い、何に払わないかを決めてきました。第3部は、その立場から書いています。
この記事でわかること
・社内の仕事のうち、どれをAIに渡せて、どれを渡すと危ないか
・規程や契約書をAIに扱わせるときに、どこで線を引くか
・営業リストを作る具体的な手順
・SNSの投稿を自動で入れる仕組みと、つまずいた箇所
・うまくいかなかったこと(これがいちばん長いです)
・AI導入を他社に売るとき、発注側の社長が何を見ているか
向いている人
・従業員が数人から数十人の会社の経営者、役員、総務担当
・人を増やす前に、いまの人数でできることを増やしたい人
・AIを少し触ったが、業務にどう載せるかで止まっている人
・AI導入の支援を売りたい人(第3部が該当します)
向いていない人
・コードを書いて大きなシステムを作りたいエンジニア
・短期間で大きな収入を得る方法を探している人(この記事にはありません)
・ツールの操作手順だけを知りたい人(考え方の説明が多いです)
・すでにAIを業務に組み込んでいて、仕組みが回っている人
正直に書いておくこと
この記事には、「月◯万円稼げた」という話は出てきません。
私がやったのは、すでにある会社の仕事をAIに渡したことであって、AIで新しく稼いだわけではないからです。
そして、失敗した話が多く入っています。
効かなかった施策、途中でやめた仕組み、方向を間違えた期間。それも含めて書いたほうが、読む人の役に立つと判断しました。
目次
第1部 社内の実務をAIに渡す
1-1 渡せる仕事と渡せない仕事の見分け方
1-2 規程と社内文書:たたき台まではAIに書かせる
1-3 士業の領域に踏み込まないための線引き
1-4 契約書:読ませる使い方と、書かせない理由
1-5 営業リスト:集める、重複を消す、温度を付ける
1-6 社内に展開したときに起きたこと
第2部 SNS運用を自動化した全手順
2-1 設計:何を人がやり、何を機械に渡すか
2-2 予約投稿を一括で入れる
2-3 画像を自動で作って添付する
2-4 つまずいた箇所と対処(技術メモ)
2-5 数字の記録と、型ごとの比較
2-6 やってみて効かなかったこと
第3部 外に売る側の設計図
3-1 発注する社長が断る5つの理由
3-2 値付けの考え方
3-3 提案の型
3-4 手を出してはいけない領域
3-5 契約の前に決めておくこと
付録 テンプレート
・業務棚卸しシート
・AIに渡す前のチェックリスト
・提案書の骨子
・指示文の型
無料で1つだけ:いちばん効いた考え方
有料部分に入る前に、ひとつだけ無料で書きます。
この記事全体で、これがいちばん効いた考え方です。
AIに渡せるかどうかは、仕事の難しさでは決まりません。「間違えたときに誰が気づくか」で決まります。
私は最初、これを取り違えていました。
簡単な仕事から渡そうとしたのです。データの入力、文章の要約、議事録の整理。たしかにできました。でも、ほとんど楽になりませんでした。簡単な仕事は、もともと時間を食っていなかったからです。
逆に、難しくても渡せる仕事がありました。
社内規程のたたき台です。これは専門的ですが、私が読めば間違いに気づける。だから渡せました。
渡せなかったのは、専門的で、かつ私が読んでも間違いに気づけないものです。
たとえば、特定の助成金の細かい要件。合っているように見える文章が返ってきても、私には判断できません。ここを渡すと、間違いが社外に出ていきます。
この線引きを、私はこう呼んでいます。
・渡す:自分が検品できる仕事
・渡さない:自分が検品できない仕事
・渡すが必ず専門家に通す:検品できないが、通す先がある仕事
社内の仕事を全部この3つに分けるところから始めました。
その分け方のシートを、付録に入れています。
収支の話は、別の記事に分けました
この記事は「どの仕事をAIに渡したか」の記録です。
渡した結果、会社の収支がどう動いたか、動かなかったかは、経営者の視点で別の記事にまとめています。
「時間は空いたのに、利益が増えない」と感じている方は、先にこちらを読むと順番がわかりやすいと思います。
→ AIを入れたのに利益が増えない会社は、何を間違えているのか|経営者の視点で「収支に出るAI導入」を設計する手順書
ここから先が有料です。
第1部では、この線引きを実際の業務にどう当てはめたかを書きます。
